女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集

厚生労働省

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2023年度

株式会社コジマ (卸売業、小売業)

店舗で実例を積み重ね、キャリアを諦めない両立支援の推進

認定マーク

企業プロフィール

設立
1963年
本社所在地
栃木県宇都宮市
事業内容
家庭電化製品および電気製品の販売および修理・工事
従業員数
4,653人(うち女性1,497人)
企業認定・表彰等
くるみん認定、プラチナくるみん認定、えるぼし(認定段階2)

取組内容

仕事と育児の両立支援男性育児参画女性管理職登用

特徴的な制度・取組など

  • 育児・介護と仕事の両立支援制度周知冊子を作成
  • 育児休業から復職した従業員向けのセミナー開催
  • 上司向けに育児休業制度周知の説明会開催
  • 育児休業を3歳まで延長
  • 育児短時間勤務を小学校6年生まで延長

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インタビュー

  • 執行役員
    総務人事本部
    人事部
    ウェルネス推進室長
    大野 幸恵さん(左)

    ダイバーシティ推進室長
    野口 弥生さん(中央)

    ダイバーシティ推進室主任
    佐久間 萌さん(右)

取組のきっかけ・経緯
育児と仕事を両立しながら活躍する人材を

 当社では以前、育児を理由とした退職者が多く、仕事と育児を両立しながら働ける女性がまだまだ少ないという状況にありました。そうした状況を改善するために、女性の活躍支援に向けた取組を強化してきました。

 例えば、育児休業制度は法定で保育所等に入れないなど一定の要件を満たす場合に2歳まで取得可能とされていますが、子どもを預けて職場復帰することが難しい、いわゆる待機児童の問題も多いため、当社では2015年5月から3歳になるまで休業の取得を可能とする独自の制度を導入しています。育児の短時間勤務制度についても同様で、2017年4月からは子どもが小学校6年生まで利用出来るように制度改定を行い、更に2017年5月には最大3時間の短縮(通常8時間勤務)ができるように制度の内容を拡充しています。

具体的な取組の内容

制度の理解を広め、両立できる人材を増やす

 仕事と育児の両立支援については、制度を周知し、理解してもらい、利用してもらうことが大事だと考えています。

 全従業員向けに相談窓口を設置し、育児休業の制度利用や子育てとの両立に関する相談を受け付けています。また、制度を周知するためには店長や各部署長が制度を理解することが重要であることから、改正育児・介護休業法が2022年4月から段階施行されたタイミングで、2022年は4月と10月の計2回の説明会を行い、産後パパ育休制度をはじめとした制度の理解を徹底する取組を行いました。また、制度利用者である従業員向けのセミナーや、育児休業中の人が横のつながりを持つことを目的としたセミナー、復職者向けセミナーなども行い、双方向から理解を促せるような取組をしています。


困ったときに支え合えるような相談体制

 当社は全国に142店舗を展開する家電量販店であり、各店舗の管理監督者である店長を主なターゲットにして情報発信を積極的に行っています。育児と仕事の両立について等の相談事がある場合にはダイバーシティ推進室が窓口となり、店舗運営に係る困りごとがあれば、営業部長や担当する地域内の店舗を統括するブロックマネージャーを交えた相談ができる体制にしています。特に、従業員が産前産後休業制度や育児休業制度を利用する際には他のメンバーへのフォローはかかせないため、困ったときにお互いに支え合えるような職場環境づくりをしてほしいと、店長にお伝えしています。


広報を充実・経営戦略の一部に

 広報としては、両立支援制度の利用者の事例を男女問わず紹介したり、キャリアアップ事例を紹介したりと、仕事と育児の両立を実現しているケースを身近に感じてもらい、また実際に制度利用の際の参考にしてもらうような情報発信を行っています。具体的には、2022年度に、育児・介護に関するガイドブックを従業員へ配布しました。経営戦略においても、「育児・介護を両立しながら安心して働ける環境整備」と銘打って、会社としてバックアップしていくということを発信しています。

取組の成果・取組を進めたことによる効果等
育児と仕事の両立が当たり前になってきたことを実感

 育児休業取得率の現状を踏まえると、育児休業取得を推進する上で、男性と女性で取組を分けて考えるのが適切と考えています。

 男性に関しては、育児休業取得率が、2021年8月期に8%であったものが翌2022年8月期には50%、2023年8月期には76%と目に見えて上昇してきています。また、取得率だけでなく、平均取得日数も49日に伸びています。男性の育児休業取得率の上昇は、これまでの取組の成果の現れであり、喜ばしいことはもちろんですが、それに加え、平均取得日数の増加が見られることは、従業員による単なる制度の利用にとどまらず、それぞれの家庭の実態に見合った意味のある休業取得ができているものと考えられます。ちなみに、店長、店長業務の補佐を勤める店長代理といった、役職者でも男性による育児休業の取得が増えてきています。

 当社は従業員の平均年齢が40歳ですが、年齢構成を見れば、中間層となる30代が比較的少なく、若年層の入社が増えてきています。上の世代(役職者)が育児休業を取得している姿を見せることで、若年層の従業員に、育児休業を取得しつつ、仕事も両立できている、仕事がしやすい職場であると感じてもらえていると考えています。

 女性に関しては、店長代理の育児休業取得が増えてきており、実は、私(ダイバーシティ推進室長)自身も制度の利用者です。まだまだ役職者の取得実績が少ないですが、率先して育児休業を取得しやすい風土を作っていきたいと考えて取組を進めています。足元での女性の取得率は100%を達成しております。職場復帰への早期化が進み、子どもの1歳を待たずに復職するケースが増えており、育児と仕事を両立することが当たり前になってきていることを裏付けるものと実感しています。

 こうした取組の成果の一つとして、2020年にプラチナくるみん認定を取得しました。採用面接などで応募者から質問されることも多く、当社の取組のPRに活用しています。

取組を進めるにあたっての工夫・苦労
実例を積み重ねて理解を浸透

 両立支援の取組については、経営層の理解を得ながら進めることができています。もちろん、より現場に近いところでは、育児休業取得による人員の減少は店舗運営や業務進行に影響が出る可能性があるため、制度利用の推進とのバランスを取りながら、ダイバーシティ推進室の取組を理解してもらうことが必要になります。

 店舗規模はさまざまで一様には語れないのですが、比較的少人数の店舗の例で店長から直接聞いた話ではこのようなことがありました。男性従業員1名が1か月の育児休業を取得する際、最初はとても困り、不安もあったそうですが、あえて人員の補充を行わず、一旦一人抜けた状態でやってみようと考えて実行したところ、限られた人員の中で知恵を絞って1か月程度は何とかやりくりができたとのことでした。現場レベルでの理解浸透をさらに図っていくためには、こうした実例一つひとつを積み重ねていくことが大事と考えています。

今後の課題・展望
仕事と育児を両立しながらのキャリアアップを支援

 当社の両立支援に関する制度の周知は、かなり図れてきていると考えています。最近は、育児をしながら昇進・昇格をする女性従業員が増えています。育児休業や短時間勤務制度を利用しながら、限られた時間の中で実績を出している従業員には、適正な評価をすることが大事だと考えています。制度利用者がキャリアロスすることなく、働きの成果が評価者の目に届き、相応の処遇をされるような制度、また働く環境の一層の整備が必要です。

 現状は男女ともに育児休業取得によりキャリアを中断するようなケースは見られていません。そうした状況が維持できるように、制度の浸透と取組の推進の徹底が必要と考えています。

従業員の声 制度利用者の声画像

店長からのアドバイスが育児休業取得のきっかけに

店舗所属 店長代理
五木田 直樹さん

 2014年4月に入社し、現在入社10年目です。2015年12月に長男(第1子)が誕生し、2022年9月に長女(第2子)が誕生しています。一人目の時に育児休業を取得していなかったので、二人目の時にも取得するつもりはありませんでした。しかし、当時所属していた店舗の店長から育児休業制度の利用を勧められたことがきっかけで、制度に関する資料の紹介やアドバイスをもらいながら制度を利用することにしました。

 育児休業制度は2回に分割して利用しました。最初は妻の入退院に合わせて2週間、その後、妻が産後育児休業から職場復帰するときに合わせて1か月取得しました。正直申し上げると、一人目は妻に任せきりでしたので、妻が働いている間に一人で家を守るということがこんなにも大変なことだとは思いませんでした。その間、長男ともコミュニケーションが取れて、育児のモチベーションが高まりました。育児をしていて気づいた、5分でも10分でも時間を作りたいという当時の経験が、時短家電のご提案といった形で接客に結びついています。

 育児休業を取得した当時所属していた店舗は店長代理が3名いる大きな店舗でした。現在は当時の店舗とは環境が変わり、現状男性で育児休業を取得したメンバーはおりません。そこで店舗のメンバーに育児休業取得の希望があるかを聞いてみたところ、やはり「今の人員では取りにくい」との声があった一方、「店長や店長代理が取っているなら取りやすい」という声もありました。実際に私が取得経験者ですので、その時の経験を伝えることができました。店舗メンバーが安心して制度を利用できるよう、サポートしていきたいと思います。

従業員の声 制度利用者の声画像

異動後の職場復帰も周囲の理解でスムーズに

営業部Smile推進室 係長
平岡 史子さん

 2007年に中途採用で当社に入社しました。16年間、店舗での勤務を経験し、店長代理となり、店舗メンバーの育成にも携わりました。今年の4月から営業部Smile推進室に所属しており、北関東地域を主に統括するリーダーを務めております。Smile推進室では実演販売や、生活に寄り添った商品提案の売場づくりを行っています。

 2019年に結婚、出産を経験し、同年10月から1年半の産前産後休業・育児休業を取得しました。2021年4月に職場復帰した後、短時間勤務制度を利用し、復帰直後は9時から16時まで勤務(2時間の短縮)していましたが、生活に慣れてきたこともあり勤務時間を延ばし、9時から17時まで勤務(1時間の短縮)しています。

 店長代理としての復職であったこともあり、周りと同じように働けるか不安がありました。社内では復職者を対象としたセミナーはありましたが、新型コロナウィルス感染症の影響で参加できませんでした。しかし、現在の相談窓口であるダイバーシティ推進室の野口さんに悩みを相談することができ、不安を払拭できました。現在は、店舗勤務ではなくなりましたが、直属の上司を含め職場のメンバーに理解してもらえていることも助かっています。特に、出張と保育所へのお迎えが重なった時などは半日単位の年次有給休暇を利用するなど、臨機応変に勤務の対応をさせてもらえています。

 短時間勤務制度の利用により時間に余裕ができ、子どもと保育所での出来事などをゆっくり話す時間ができている点が良かったと感じています。今は、短時間勤務は1時間のみの利用ですが、子育てしながらの1時間は非常に貴重であるというのは実感しており、上司に相談しながら、仕事と育児のバランスを取っています。

 今後は、出産育児を経験する人が社内で増えてくると思います。後輩の見本となるように仕事を楽しんでいきたいと考えています。

(データの取材時点:2023年9月)

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