女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集

厚生労働省

女性の活躍推進・両立支援総合サイトトップ > 女性活躍・両立支援事例集トップ(事例検索) > 企業事例

2023年度

株式会社栗本鐵工所 (製造業)

ママ・パパだけでない従業員一丸となった取組で仕事と育児の両立がしやすい会社へ

認定マーク

企業プロフィール

設立
1909年
本社所在地
大阪府大阪市
事業内容
製造業
従業員数
1,341人(うち女性102人)
企業認定・表彰等
くるみん認定、プラチナくるみん認定

取組内容

仕事と育児の両立支援男性育児参画

特徴的な制度・取組など

  • 女性従業員だけでなく全従業員を巻き込んだ取組へ
  • 多様な制度を取り入れて働きやすさを実現
  • 「ママ・パパ・ボス」をキーワードに「育児と仕事の両立ガイドブック」を作成
  • 積極的な研修の実施で従業員の「分かっているつもり」を防ぐ

データベース・両立支援のひろばを見る

取組事例ダウンロード 

インタビュー

  • 人材開発部 人材開発グループ長
    周藤 雅美さん

取組のきっかけ・経緯
女性従業員だけでなく全従業員を巻き込んだ取組へ

 取組を始めたきっかけは、2005年の育児・介護休業法の改正でした。取組当初の仕事と育児の両立は、出産を経験する女性従業員を対象とした社内制度の整備が主な内容でした。しかし、取組を進めるに従って社会の状況も変わりました。男性従業員の割合が多い当社の取組は、配偶者が出産をする男性従業員に向けた制度の整備や、制度利用者に対する職場の理解促進といった全従業員を巻き込んだ内容へと広がり、現在に至っています。

具体的な取組の内容

多様な制度を取り入れて働きやすさを実現

 当社では、法令で求められている内容を超えた複数の制度を用意しています。例えば、従業員の給与をサポートする観点から、本人または配偶者が出産を経験する従業員を対象に有給扱いとなる10日の特別休暇を付与しており、対象となる従業員の大半が利用しています。また、育休取得の障壁となる職場メンバーへの仕事のしわ寄せや本人のキャリアへの影響を考慮して、労使協定の合意に基づいた一時的・臨時的な就労に限られますが育児休業中の部分就労を認めており、年次の研修に参加するといった従業員の利用例があります。
 制度の整備には労働組合を含めた各部署との調整や規則改定などの手続き、社内への周知など人事部として一定の負担はありますが、今後も仕事と育児を両立したいと考える従業員への想いを忘れず、求められることは積極的に取り入れたいと考えています。


「ママ・パパ・ボス」をキーワードに「育児と仕事の両立ガイドブック」を作成

 当社では、「育児と仕事の両立ガイドブック」を独自に作成して従業員に発信しています。それ以前にも同様の冊子を作成していましたが、時代の変化や現在の取組に対して十分ではないと判断し、2022年度に内容を刷新しました。

 新しいガイドブックでは、「ママ・パパ・ボス」をキーワードに、会社の人事制度や経済支援の説明、「産後うつ」「小1の壁」といったトピックス、実際に制度を利用した従業員の事例を掲載しています。また、妊娠、出産、育児休業中、職場復帰の前後といったシーンごとの「ママ・パパ・ボス」の心構えを記載しています。

 今回のガイドブックの制作では、特にボスの内容を充実させることを意識しました。同じページに「ママ・パパ」向けと「ボス」向けの内容を並べて記載することで、お互いの状況を自然と知ることができる構成にしています。これは、女性活躍推進の取組のなかで、本人の努力だけではどうにもならない、周囲の理解の大切さを感じた自分自身の経験がもとになっています。仕事と育児の両立についても、職場での周囲の理解があってこそ実現できるものだと考えています。


積極的な研修の実施で従業員の「分かっているつもり」を防ぐ

 子どもが産まれた従業員には、育児休業取得を奨励するアナウンスをしています。また、子どもが産まれる予定の従業員が所属する職場には、人事部主催で1~2時間にわたる研修を実施しています。研修は全国の工場や支社に対してもオンラインで行っており、取組の裾野を広げています。

 研修の開催にあたっては、従業員から「既に十分理解しているので必要ない」といった意見も出ます。しかし、研修内でアンコンシャス・バイアスのチェックを実施すると、小さい子どもがいる従業員や定時で帰る従業員に対して、勝手なイメージを持って接していたことに気づき、「理解していたつもりで理解していなかった」という声が上がることもあります。こうした研修を通じて「分かっているつもり」を防ぎ、仕事と育児を両立しやすい職場環境の実現に取り組んでいます。

取組の成果・取組を進めたことによる効果等
ワーク・ライフ・バランスが会社のアピールポイントに

 取組により、育児休業取得率の増加や労働時間の削減といった目に見える形での効果が現れています。特に、ここ2~3年で男性従業員の育児休業の取得が加速度的に広がりました。これは、社内で実績ができたことで取得に対する心理的ハードルが低くなったためだと考えており、今後もこの傾向が続くと予想しています。

 また、数値では現されない効果も感じています。例えば、「仕事と育児の両立が難しい」という理由での離職がなくなりました。さらに、働きやすさを重視して当社を選んだというキャリア採用の方もおり、ワーク・ライフ・バランスが会社としてのアピールポイントのひとつになっていると実感しています。

今後の課題・展望
ダイバーシティ推進を経営戦略のひとつに

 このように、取組の裾野は広がりつつあり手ごたえは感じているものの、人事部主導の取組だけでは限界も感じています。育児休業取得率などの数値の公表は法令による義務化の動きにあり、また、IR情報への人事関連情報の掲載は人的資本経営といった観点から重要性が増しています。採用の場面でも、積極的に情報を公表し働きやすさを伝えることは、エントリー数の増加などにつながり、より良い人材確保のために重要だと考えています。

 今後は、ダイバーシティ推進を会社の経営戦略のひとつとして、全社的な方針づくりや他部署を巻き込んだ体制づくりにも取り組んでいきたいと考えています。

従業員の声 制度利用者の声画像

仕事と育児を両立することは自然なこと

建材事業部 技術開発部 技術開発課
山添 照之さん

子育ては夫婦で支えあうもの

 私は新卒4年目で、開発部に所属しています。昨年の7月から8月にかけての1か月間、育児休業を取得しました。夫婦ともに親元から離れて就職したため両親の手助けを期待することが難しく、子どもが産まれるにあたって自然と育児休業の取得を考えていました。自分が所属する開発部は年齢層が比較的高く、周囲に育児休業を取得している人はいませんでした。しかし、子どもが産まれることを伝えた際には上司の方から育児休業取得について声がけがありました。とてもありがたかったです。

 育児休業は、妻が仕事に復帰するタイミングで入れ替わりになる形で取得しました。日中に1人で子どもの面倒をみることは想像以上に大変で、子育てに対する今までの自分の考えの甘さを痛感しました。それまで同じ状況で子育てをしていた妻の気持ちもより理解できました。この経験は、夫婦で支えあう現在の子育てにも活かされています。

社内の制度を活用することで仕事と育児を両立が可能に

 育児休業からの復帰後は、仕事と家庭の両立を意識した働き方をするようになりました。開発職で自分のペースで仕事をしやすいこともありますが、在宅勤務やフレックスタイムなどの会社の制度を活用することで実現できていると思います。また、周囲の理解があることも大きいです。例えば、子どもが急に病気になったときに、お迎えのために早退する場合も快く対応してもらえます。

 当社は、他社と比べていろいろな制度が用意されていて働きやすいと思います。10日の特別休暇も利用しましたし、配布されたガイドブックも読みました。ガイドブックでは2022年度の育児・介護休業法改正の内容が分かりやすく説明されていたので、第2子が産まれた際にはまた参考にしたいと考えています。

(データの取材時点:2023年9月)

PAGE TOP