女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集

厚生労働省

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2022年度

株式会社トキハ (卸売業、小売業)

外商部に女性を配置 今後も増やしたい

認定マーク

企業プロフィール

設立
1935年
本社所在地
大分県大分市
事業内容
百貨店業
従業員数
860人(うち女性602人)
企業認定・表彰等
くるみん認定

取組内容

仕事と育児の両立支援仕事と介護の両立支援再雇用制度女性活躍推進女性採用拡大女性職域拡大女性管理職登用

特徴的な制度・取組など

  • 育児短時間勤務制度を小6まで延長
  • ストック有給休暇制度
  • バースデー休暇
  • パートから正社員への登用制度
  • 男性が多かった外商事業部に女性を配置等

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インタビュー

  • 人事部人事グループ
    平 英一郎さん

取組のきっかけ・経緯
指導的立場の女性を増やすためプロジェクトを発足

 当社は百貨店業で、販売職が多いことから、もともと女性従業員が多い会社です。また女性の勤続年数も約20年と長くなっています。そのため、育児・介護による休職後、復帰する従業員は多く、会社としても早くから両立支援を行ってきました。

 今後は、育児・介護との両立支援だけでなく、指導的役割を担う女性も増やしていきたいという考えから、2018年に「女性の働き方改革プロジェクト」を発足。本社の人事と労働組合から女性メンバーを集めてチームを結成し、女性の活躍について従業員へのヒアリングと意見集約、課題抽出を行い、その上で優先的に着手すべきことを洗い出しました。人事制度・評価のしくみの改定や、キャリア教育を通じた企業風土の改革といったことが対策として挙げられ、それを会社側に提言するということを行ってきました。

具体的な取組の内容
短時間勤務、時間単位有休、女性職域拡大など

(1)育児短時間勤務の延長

 法定では3歳までの育児短時間勤務制度を、小学校1年生の夏休みまでに延長。その後、従業員からの要望が多かったため、小学校3年生の夏休みまでに延長しました。更に延長することも検討中です。

(2)ストック有給休暇

 その年に消化できなかった年次有給休暇を積み立てることができるストック有給休暇制度があります。従来は、自分のケガや病気の際にしか使用できませんでしたが、親の介護やこどもの看病でも使えるようになりました。

(3)女性管理職の登用・職域の拡大

 女性を積極的に管理職に登用した結果、現在はフロアマネージャー(課長級)12人のうち5人が女性です。また、従来はお客様の自宅や事業所に1人で出向き商談・納品・回収を行う外商部は、女性には不向きと思われていましたが、個々の能力を評価した結果、徐々に女性を配置するように。現在は3割以上が女性です。今後さらに増えると思われます。

(4)パートから正社員への登用制度

 経験や意欲のある者は、積極的に正社員に登用。この5年間で28人がパートから正社員になりました。

(5)時間単位有休制度

 2022年6月より、年次有給休暇の1時間単位の取得を可能としました。PTA活動や学校行事のために利用できると好評です。

取組の成果
育児・介護による退職ゼロを目指して

 「育児・介護による離職ゼロ」を目標に掲げており、実際に育児・介護で離職する者は減っていると思います。

 女性の管理職比率については、2018年度の10%から2022年は19.1%とほぼ倍増しました。


取組を進めるにあたっての工夫・苦労
意識合わせに時間をかけた

 「女性の働き方改革プロジェクト」を発足し、どのような改革が必要か、従業員にヒアリング、意識調査などを行いました。その結果、従業員の役職や年代によって考え方が違う傾向がわかりました。企業風土から変える必要があり、ハードルが高いと感じました。地元の女性活躍が進んでいる他社からヒアリングを行ったり、研修を行うなど、時間をかけてこの壁を乗り越えました。

今後の展開
全従業員が働きがいを感じられる人事制度に

 近年の人材不足への危機感から、より一層制度の充実を図っていく考えです。制度でカバーできないことは従業員の事情に合わせて柔軟に個別対応していく考えです。

 女性に限らず、全社員が働きがいをもって仕事に取り組めるよう、人事制度を大きく変えていきたいと考えています。今は年功序列がベースとなっていますが、今後は働きに応じた給与体系や評価システムに変えていくことを検討しています。

 店舗勤務の者は難しいですが、テレワークができる環境を整えようとしています。インフラ整備に加え、出勤しなくてもできる業務の洗い出し等を進めています。

 男性の育休取得も取り組まなければならない課題です。過去に2名、育休取得者がいましたが、その後は出ていません。積極的に制度の周知を図るほか、どのような運用を行えば男性も育休が取りやすいのか、労働組合と話し合って進めていきたいと考えています。

従業員の声 制度利用者の声画像

前例がなければ自分が道を作ろうと
育休復帰に挑戦

総合企画部
羽田野 さやかさん

制度がなければ退職するしかなかった

 高校卒業後、案内係として20年間勤務しました。1年半前に総合企画部に異動し現在に至ります。

 案内係のときに、2児を出産。2度の育休取得後復帰しました。現在は育児時短勤務制度を利用し、9時半から17時まで働いています。今年の6月に時間有休制度が導入され、さっそくこどものため利用しました。

 案内係は、開店から夜7時の閉店までが勤務時間で、土日も休みはありません。入社したばかりの若い女性が多い部署でもあり、出産・育休後復帰した先輩は一人もいませんでした。両親は近くにおらず、育児との両立ができるのか不安でした。結局30歳で第一子を妊娠したのですが、その時は、「前例がないなら私が道を作ろう。ダメだったとしても何か残せるだろう」と、出産後も仕事を続けると決めました。幸い夫が協力的で、私が土日や7時までの勤務のときは快くこどもの面倒を見てくれました。同僚たちにも恵まれ、短時間勤務で私だけ夕方5時に退社しても、快くフォローしてくれました。

 両立のために1日の過ごし方も工夫しています。朝早く起きて家事を片付け、夕食の支度も済ませておき、夕方はばたばたせずにこどもとゆっくり過ごしてこどもと一緒に早く寝るようにしています。

店舗勤務でも育休・復帰が当たり前になるように

 私の異動後も、案内係で育休・復帰する人も出てきています。店舗勤務でも当たり前に育児をしながら働き続けることができるんだとみなさんに思っていただけたら嬉しいです。

 新しい部署に来て、まだまだ覚えることはたくさんありますが、「女性だからできない」ということはないと思うので、仕事をしっかり覚えてキャリアアップしていきたいです。

(データの取材時点:2022年9月)

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