女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集

厚生労働省

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2022年度

両備ホールディングス株式会社 (運輸業、郵便業)

男女とも利用できる独自のフレキシブルワークプランを設定

認定マーク

企業プロフィール

設立
1910年
本社所在地
岡山県岡山市
事業内容
運送、郵便、観光、不動産等
従業員数
2,200人(うち女性990人)
企業認定・表彰等
くるみん認定

取組内容

仕事と育児の両立支援仕事と介護の両立支援男性育児参画女性活躍推進女性管理職登用

特徴的な制度・取組など

  • 所定労働日数の短縮
  • 所定労働時間の短縮
  • 所定外労働の免除
  • 時差出勤を法定よりも長期間利用可

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インタビュー

  • 両備経営サポートカンパニー
    人財本部 グループ人事企画部
    小谷 敬子さん

取組のきっかけ・経緯
女性活躍推進法を機にプロジェクトスタート

 2016年の女性活躍推進法の施行をきっかけに、グループ内の異なる会社や部署に所属するメンバーで構成するワークライフバランス・ダイバーシティ推進チームを発足しました。当社は、運輸業、不動産業、旅行業、小売業など業種の異なる40以上のグループ会社を擁する会社です。ワークライフバランス・ダイバーシティ推進チームは、各グループ会社から集まったメンバーで構成され、主に育児や介護と仕事の両立のために、どのような課題があるか議論し、必要な制度を検討してきました。業種や職種によって求められる働き方は違うので、すべてのグループ会社に適用できる最適解を見つけるのは簡単ではありませんが、できるだけ、多くのグループ会社で運用できる施策を検討し、その成果の一つとして、男女ともに利用できる「両備フレキシブルワークプラン」を創設しました。

具体的な取組の内容
手厚い育児・介護支援制度

(1)両備フレキシブルワークプラン

 正社員限定ではありますが、育児や介護のため、一時的に働き方に制約がある場合、利用できる制度を法定より手厚くしています。たとえば、1)1週間の所定労働日数の短縮、2)1日の所定労働時間の短縮、3)所定外労働の免除、4)時差出勤の4つは、育児事由の場合は小学校卒業まで、介護事由の場合は3)を除き、通算10年まで利用できます。( 3)は要介護状態の家族を介護する間は利用可能)。

(2)育児、介護の情報提供

 子育て支援セミナー、介護支援セミナーを開催するほか、社内ホームページを利用して、子育て、介護支援に関する情報提供・共有をしています。

(3)管理職への周知・教育

 ダイバーシティの意識を浸透させるため、マネジメント層やリーダー層を対象に、ダイバーシティマネジメント研修を実施しています。ダイバーシティに関する基本情報を学ぶこと、グループ全体の現状を把握すること、その上で自分の持ち場でできる施策を考えることが目的です。研修受講後、朝会や1on1ミーティングの実施などでチームメンバーの状況を適宜把握したり、日常のコミュニケーションの中で自分自身のアンコンシャスバイアスを意識したりするなど、一人ひとりが行動を変えていくきっかけになっています。

(4)グループ横断プロジェクト「KiraRi」

 商品企画・開発の分野で活躍する女性社員の育成・登用のため、部署を横断した女性従業員で構成するプロジェクト「KiraRi」を発足。商品やサービスの企画・開発を行う活動をしています。他社様とのコラボで実際に商品化したものもあり、この活動で自信を持った女性従業員の職域の拡大や一層のキャリアアップに向けた動機付けにもなっています。

(5)女性幹部候補の育成

 両備グループには幹部養成のしくみとして「青年重役会」という制度があります。この制度では、選出されたメンバーで、同業他社や異業種の視察、海外視察なども行いながら、両備グループ内の課題解決や新規事業展開などについて一年間に渡って検討し、トップに提言を行なっています。幹部としての心得を様々な人材交流や実践の場を経験しながら学び、視座を高め、視野を広げていくことを目的としています。女性活躍の観点から、女性に特化した会の編成も経ながら、現在は男女の別なく育成が行われています。

(6)男性の育休取得推進

 女性の育休取得率は100%を継続していますが男性の取得は非常に少ないのが現状です。そのため男性のための育休ガイドブックを作り、制度の概要、家事育児の分担、育休中の収入や給付金の情報、体験者の声等の情報を提供しています。

 同時に、管理職向けには部下の仕事と育児の両立支援のために留意すべき事柄についてガイドブックを作りました。社内ホームページでも情報を公開しています。


取組の成果
具体的な成果はこれから

 「両備フレキシブルワークプラン」の制度構築により、ライフステージに応じた柔軟な働き方の選択肢を新たに提供することができました。育児や介護により、制約があっても、キャリアを継続しながら安心して働き続けることができる両立支援制度は、ワーク・ライフ・バランス充実の観点から、採用時のPRにも役立っています。

 グループ全体の女性管理職比率については、2018年の 5.8%から2021年には7.8%に上昇してきています。全国平均には及びませんが、少しずつ成果が出てきています。

 ダイバーシティに関する具体的な施策は、現場の状況を確認し、環境変化も考慮しながら検討を進めています。すぐに成果が出るとは限りませんが、定期的にモニタリングを行いながら、有効性の評価と改善を行なっています。

取組を進めるにあたっての工夫・苦労
必要な人にいかに情報を届けるか

 一番苦労していることは情報の周知です。育児支援については比較的、対象者を把握しやすいのですが、介護については、対象者がわかりづらく、情報を届けるのが難しいと感じています。制度の利用も少ないです。対象者が少ないから使われていないのか、必要な人に情報が届いていないのか、あるいは使いづらいのか、原因の精査が必要と考えています。

 当社では、介護離職ゼロを目指していますので、ダイバーシティ・マネジメント研修などの機会を利用して、介護支援の情報についても周知していきたいと考えています。

今後の展開
意識改革や業務の見直しが次の課題

 2016年からの取り組みによって、制度は整ってきました。次のステップとしては、制度を使いたいときに使える環境を整えることです。意識改革も必要ですし、各部署で仕事の進め方も見直す必要があるかもしれません。まずは管理職の意識・行動から変えていくことが課題と考えています。

従業員の声

制度のおかげで
働き方の選択肢が増えた

事務職
Nさんさん

育児短時間勤務の期間を延長

 入社以来、グループ会社で旅行業務に長く携わり、2021年に現在の部署に異動してきました。2016年に出産し、育休後復帰。育児短時間勤務制度を利用しています。法律上の育児短時間勤務制度は小学校入学まで努力義務とされていますが、3月31日に保育園を卒園して、4月1日から急にこどもの手が離れるわけではありません。学童保育に入れても最初は保護者の送迎が必要ですし、学童からこどもを1人で帰宅させることに不安がありました。そこで、こどもが小学校に上がる時に「両備フレキシブルワークプラン」を利用して、育児短時間勤務制度を延長しました。

 制度を利用したことで、こどもを1人で下校させなくてすみ、その安心感は大きいです。また、小学校低学年のうちは、宿題を見てあげるなど保護者が手助けしなければならないことも多いので、早く帰宅できて大変助かっています。

 授業参観などの行事のときは、1時間単位で利用できる時間有休の制度があり、これもよく利用しています。

 時短勤務のため、どうしても終わりの時間は変更できないので、日々時間との戦いです。時間内に業務を終わらせるように、集中して取り組み、効率的に業務を行うことを常に意識するようにしています。

 ただ、どうしても時間の調整が難しい時には、仕事はチームのメンバーにフォローしてもらい、子育ては家族や親の協力を得ています。会社と家族、双方の協力があるおかげで、今の両立に繋がっています。皆さんが気持ちよく助けてくださるので感謝しています。

今後は後輩を支援する側になりたい

 「両備フレキシブルワークプラン」ができたことは画期的でした。制度によって働き方の選択肢が増えることはとてもいいと思います。ただ、私の場合は女性の多い部署にいたため、制度の存在を知っていましたが、部署によっては制度を知らない人もいます。もっと制度が浸透して、使いやすい環境になっていればいいと思います。そして、私も周囲に助けられて両立ができているので、今後は、後輩たちのフォローやサポートができる人材になりたいです。

(データの取材時点:2022年9月)

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