女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集

厚生労働省

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2022年度

株式会社トモエシステム (製造業)

大胆な働き方改革により離職率低下、売上増と顕著な成果

認定マーク

企業プロフィール

設立
2011年
本社所在地
兵庫県神戸市
事業内容
建設機械・農業機械等の産業機械部品を扱う専門商社
従業員数
85人 (うち女性 34人)
企業認定・表彰等
くるみん認定

取組内容

仕事と育児の両立支援 仕事と介護の両立支援 テレワーク 妊娠中の労働者支援 男性育児参画 短時間正社員制度 女性活躍推進 女性採用拡大 女性職域拡大 女性管理職登用

特徴的な制度・取組など

  • パパ休暇規程、ママ休暇規程を制定
  • 育児短時間勤務制度を小学校就学までに延長
  • 出産手当に加え育休手当の支給
取組事例ダウンロード 

インタビュー

  • 執行役員人事総務部長
    大竹 祥司さん

取組のきっかけ・経緯
将来を見据えた改革に取り組む

 当社は、産業機械部品の専門商社です。特にショベルカー市場では国内で製造されるショベルカーの100%、海外で製造されるショベルカーの約50%に部品を供給しています。メーカーとサプライヤーの意向と技術を引き出し『ともに創る』当社の強みをより広めたい。その改革の取組として中長期の経営優先課題を抽出しました。

 少子高齢化による労働力人口の減少や、ボーダレスな競争社会の激化が予想される中、企業成長のためには人が原点であり、最大の財産です。新卒超売り手市場の2019年、中小企業の有効求人倍率は9.91倍。当社も採用難に直面していました。そこで、「社員がイキイキと働ける職場環境づくり」と「グローバル化に対応できる人材確保」が喫緊の課題となりました。これらの課題を解決するためにも、「働きやすさと働きがいの追求」をコンセプトに、社員満足度を高める様々な施策に取り組み、より強固な社員と会社の信頼関係を目指し、トップダウンでスピード感を持って進めました。

具体的な取組の内容
報酬増など思い切った施策を

(1)報酬増で人材確保

 まず取り組んだのは、賃金制度改革です。2016年に、3年間で平均年収20%増とすることを決め、財源確保のためコスト見直し等の施策に取り掛かり賃上げを実現。2022年には32%(2015年比)の増加となりました。

(2)執務スペースの刷新

 各事業所を改装・移転し、オフィス家具も一新。コロナ禍以前から海外の取引先との密なコミュニケーションを狙い、全事業所の会議室をWEB対応仕様に替え、快適さだけでなく、機能性・デザイン性・セキュリティ機能を備えた職場環境を整えました。

(3)休日の増加

 業務の効率化によって休日を確保。休日を2015年から15日間増やして124日に。1時間単位の有給休暇も40時間設定し、有休取得率は80%前後で推移しています。

(4)福利厚生の充実

 福利厚生サービスに加入し、全国5万カ所の施設を利用可能に。また、教育面でも能力開発のための研修を強化継続し、e-ラーニング受講料や資格取得の受験料、テキスト料の補助等も行っています。

(5)手厚い両立支援制度

 育児短時間勤務制度対象者を小学校就学までに拡大、当社独自の育休手当を支給するなど、法定以上の制度としました。

(6)男性育休100%宣言・達成

 2019年に男性育休100%取得を宣言、同年達成。業務の棚卸し、見える化・共有化を行うことで休みやすくなり、その後4年間継続して対象者全員が取得しています。

(7)人事制度の刷新

 2020年、コロナ禍を受けて人事制度を刷新。『やれば 認めて 遇する』経営の加速化・鮮明化を推進し、入社年次や採用区分などによらない、個人の意欲や成績を評価できる制度に変更しました。この改革で、女性マネージャーが0%から20%に大幅に上昇しました。


取組の成果
離職率の大幅な低下、売上は倍増

 採用面では、ホワイト企業アワードの受賞等が奏功し新卒のエントリー数が3倍増。会社説明会の参加者数は5倍増となりました。TOEICスコア900点以上の社員を6名(全社員中7%)採用し、グローバルに対応できる体制を強化。その結果、「海外商材に強い専門商社」という当社のプレゼンスが向上しました。外貨建取引の構成比が上がり、為替の激変も新たな課題となりました。

 個性と能力が光る人材が多く集まるようになった一方で、離職率は急速に低下しています。業界平均は14~15%ですが、当社では2017年の13.2%を境に、2018年5.4%、2019年3.7%。2020年2.3%と平均を大きく下回っています。業績にも顕著な効果が表れています。2015年に79億円だった年間の売上高は、活況な市場環境にも恵まれ2021年には150億円。6年間で倍増しました。

取組を進めるにあたっての工夫・苦労
男性の育休を業務改革の好機ととらえる

 両立支援はトップダウンで行ったため、スムーズに進みました。男性の育休取得は「忙しいから無理」という意識が強かったのですが、日常業務の価値を見直す好機ととらえ、業務を棚卸し、ABC分析、整理・統合、業務の見える化・共有化を行うことで、育休取得がより円滑になりました。

 男性育休の取得第1号は、業務の代替がしづらいSE職で、当初は本人にも周囲にも不安があったようですが、実際に1週間の育休を取得してみて、「休業して仕事と距離を置いたことで、業務の改善点が見えたり、リフレッシュできて意欲が増した」など、前向きなコメントが上がっています。この前例にならい、対象者全員が4年間100%取得、完全に浸透した同制度は社内の話題にもなりません。育休期間は現在は1週間程度が多いですが、今後は長期取得する者も出てくると思います。

今後の展開
働きやすさは、そこそこ達成。今後は働きがいの追求が課題

 2016年からの改革は「働きやすさと働きがい」の2つを追求してきました。働きやすさは会社が提供できますが、働きがいは社員一人ひとりの価値観の問題です。社員が働きがいを感じながら仕事ができるよう、様々な教育研修を実施し、新たな仕組みも取り入れたいと模索しています。社員とともに成長する会社でありたいと願っています。

 世界のインフラ整備に当社が寄与できる市場が世界にはまだまだあります。社員個々が自律し、イキイキ、ノビノビ、ハツラツと能力を引き出し、個性を発揮できる場を創りたい。これが企業価値の向上となり、社員満足度の向上に繋がり、企業競争力を高めると信じています。

従業員の声 制度利用者の声画像

女性のキャリアアップを
支援してくれる会社

人事総務部
船曳 優花さん

一般職から総合職に転換。活躍の幅が広がった

 2019年に新卒入社して、現在4年目です。当初は一般職として営業事務に配属され、2019年8月に人事総務部に異動してきました。

 2020年に人事制度が刷新され、一般職からエリア総合職に転換。その後、2021年に総合職に転換し現在に至ります。以前は、入社時に一般職か総合職かが決まると変更となる例が多くなかったのですが、新しい人事制度では意欲や適性などによって、コース転換がより柔軟にできるようになりました。私の場合、会社側からコース転換を提案していただき、ありがたく受け入れました。

 コース転換をするにあたって、不安よりは嬉しい気持ちのほうが強かったですね。会社が評価してくれたことに感謝し、会社の期待に応えたいと思いました。

 以前は自分のキャリアについてあまり深く考えたことはありませんでしたが、これまで以上に自分で考え、それぞれのテーマの目的に本当に沿った提案が出来ているのか?創造的なアウトプットになっているのか?価値ある内容になっているか?コストと見合うのか?など思い悩むことも多いですが、自分ができる仕事の幅も広がりやりがいを感じています。

大学院で知見を広げる

 現在、広報や社員教育、採用の仕事を担当しています。上司から求められたのは「会社のプレゼンスを上げること」。そのためには客観的に会社の評価を上げる必要があると考え、ホワイト企業アワード、ユースエール企業認定などの申請にチャレンジしました。ユースエール企業の認定は難易度が高く、神戸市では初めての認定企業となりました。

 また、今年度会社からの派遣で、大学院の女性リーダー育成プログラムに参加させていただいています。他社からも20名の女性たちが参加しています。様々な価値観に触れ、大変刺激になっています。仕事との両立は大変ですが、学んだことを会社に還元していきたいと考えています。

(データの取材時点:2022年9月)

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