女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集

厚生労働省

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2022年度

学校法人 大和学園 (教育、学習支援業)

学校現場における教職員の働き方改革を断行

認定マーク

企業プロフィール

設立
1931年
本社所在地
京都府京都市
事業内容
教育、学習支援業
従業員数
196人(うち女性108人)
企業認定・表彰等
くるみん認定、えるぼし(認定段階3)

取組内容

仕事と育児の両立支援仕事と介護の両立支援テレワーク女性活躍推進女性職域拡大女性管理職登用

特徴的な制度・取組など

  • 子の看護休暇、介護休暇等の取得上限日数まで有給化
  • 在宅勤務制度や育児短時間勤務制度(子が小学校第3学年終了まで)
  • キャリア形成や動機付けのための女性活躍研修の実施

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インタビュー

  • 法人事務局 人材開発グループ
    部長
    辻 尚志さん

取組のきっかけ・経緯
えるぼし認定を目標に働き方改革に取り組む

 学校法人大和学園は1931年に創立し、京都市内4つの専門学校で、「栄養、医療・福祉、調理、製菓・製パン、食育、ホテル、ブライダル、ツーリズム」分野の職業教育を提供し、専門知識・技能やホスピタリティマインド・人間力を兼ね備えた職業人を養成しています。学生数は約2000名、教職員数は200名程度の学校法人です。

 「人の和の広がりを大きくし、もって人類の福祉増進に寄与する」という建学の精神に基づき、一般的に働き方改革の推進が難しいとされる学校教育現場において、すべての教職員に対し、安心安全な職場環境の整備に取り組んでいます。

 当法人では、女性活躍推進法の施行に伴い一般事業主行動計画を策定し、義務化前の2016年3月より女性活躍推進に向けての取り組みを地道に行ってきました。当時の中期計画で「中長期的にえるぼしを取得できるように!」と目標を掲げ、2018年より、「taiwa流働き方改革」プロジェクトを発足。足掛け約5年かかりましたが、2021年にえるぼしの「認定段階3」を取得。これを機に、さらに各種取組を推進し、2022年には「くるみん」も取得できました。

具体的な取組の内容
制度の充実と業務のDX化が改革の柱

(1)女性従業員比率、管理職比率上昇

 女性管理職比率は26.8%(2021年7月時点)で、産業平均値の20.7%を上回っていますが、30%を目標に取り組んでいます。正社員に占める女性労働者の割合は約5割を占めています。

 2016年から毎年定期的に、キャリア形成や動機付けのための女性活躍研修を行っています。

(2)働きやすい制度の整備

 女性教職員を含むすべての教職員が安心安全な職場環境で働けるよう制度を充実。育児短時間勤務制度は養育する子が小学校第3学年終了まで、子の看護・介護休暇等の取得上限日数まで有給化など、法令以上の対応をしています。

(3)「taiwa流働き方改革」

 DXを推進する専門の部署を設置し、学園各校における業務のデジタル化・DX化を推進しています。例えば、グループウェアを有効活用し、在宅でも授業や業務が行える体制を整えています。また、勤怠管理システムも導入し、年次有給休暇の取得促進や過度の時間外勤務抑止など教職員の適正な労働管理を実施しています。

(4)ダイバーシティ&インクルージョン

 柔軟に勤務時間を設定するなど、女性のみならず、高齢者、外国人、障がいのある方など、様々な従業員がそれぞれのライフステージに合わせて働きやすい環境づくりを実践しています。また、ハラスメント防止委員会や衛生委員会を定期的に開催し、安心・安全な職場環境づくりに取り組んでいます。

取組の成果
職員の満足度は99.5%と高評価

 2021年度から導入した「教職員職場満足度調査」では、満足度80%以上の目標に対し99.5%の高評価となりました。教職員からは、「ワーク・ライフ・バランスが取れ充実した日々を過ごせている」、「勤務日数・勤務時間の調整や年次有給休暇の時間単位取得など、勤務しやすい制度に感謝」、「個々に合った働き方を選択しやすくなった。それが心の健康につながり、活き活きと働くことができる」、「働きがいを生む人事制度や職員への資質向上への取組が活発。仕事を通して成長が感じられる」等の声があがっています。

 「えるぼし」や「くるみん」を取得できたことで、女性の活躍を推進している企業であることや、仕事と育児の両立支援を積極的に行っている企業であることを学外のステークホルダーにアピールすることができました。これにより、取材の問い合わせをいただいたり、採用において応募者増にも繋がったと感じています。さらに、こうした第三者からの認定を受けたことで学園内の「taiwaプライド(大和学園の一員であることの誇り)」も醸成され、優秀な人材の流出防止等、選ばれ続ける学園づくりの実現に繋がっていると感じています。

取組を進めるにあたっての工夫・苦労
覚悟をもって繰り返し周知・浸透を図る

 2018年度より「taiwa流働き方改革」を施行し、業務効率化・生産性向上、組織の多様性(ダイバーシティ)の推進、心理的安全性の高い職場づくりの実践など、全ての教職員にとって働きやすく、「働きがい」が向上するよう様々な施策に取り組みました。新しい取組には抵抗感を持つ人もいるため、強い意志と覚悟を持って、何度も何度も教職員を対象とした研修や勉強会を実施し、周知・浸透を図りました。

 コロナ禍では学校運営や教育活動等に様々な制限が生じましたが、学園各校では遠隔授業の推進や、各業務のデジタル化、オンライン化を一気に加速させました。 授業・会議・オープンキャンパス等、あらゆる場面でオンラインを活用し、コロナ禍でも支障なく業務を遂行し、学生の「学びを止めない」教育環境を確保しました。

今後の展開
異なりを認め合い助け合える環境に

 今後も、多様な働き方、業務改善を推進し、教職員・学生に寄り添える学園づくりを行っていきます。

従業員の声 制度利用者の声画像

手厚い制度と周囲に助けられて両立

京都調理専門学校
京都製菓製パン技術専門学校
就職部 主任
伊井 紗央里さん

短時間勤務の不安を周囲の協力で乗り越える

 2012年に入職して以来、就職部に勤務しています。2015年と2018年の2回、産休・育休を取得し復職。現在は短時間勤務制度を利用しながら働いています。

 産休・育休の後、復帰を温かく迎えていただきましたが、1年間のブランクが仕事にどのような影響を及ぼすのか、時短勤務で仕事がこなせるのかと不安はありました。特に私の場合は学生対応の仕事が多く、授業終了後に相談に来る学生が多いため、時短勤務でどのように対応するか悩みました。しかし、学生に事情を説明し、相談があるときは昼休みに来てもらったり、あらかじめ相談内容を聞いておいて同僚に引き継ぐなどして対応しました。どうしても都合がつかないときは、相談業務の担当をはずしてもらって事務作業をメインにすることもありました。

 学生や周囲の方たちの理解と協力に随分助けられました。

資格取得を目指して勉強中。さらにステップアップしたい

 育休を取得して、出産後、1年間こどもと一緒に過ごせたことは大変貴重な時間でした。1年後に復職できる場所があるという安心感は心強かったですね。ただ、1日中子育てをしていると、社会とのつながりがなくなって不安に思うこともありました。仕事があって働けるということは大変恵まれていることなのだなと改めて実感しました。

 育休後、仕事への復帰はスムーズにできましたが、こどもが月に2、3回熱を出し、入院したこともあります。同僚にも申し訳なく、こどもにも「働きたいという私のエゴのせいで負担をかけている」と思ったこともあります。しかし、同僚や先輩職員、上司たちが「みんな同じだよ」と励ましてくださり、それが救いになりました。

 こどもの行事などのときには、半休や時間有休も利用でき看護休暇も1時間単位で取れるので助かっています。上司の方から「行ったほうがいいよ」と言ってくださるのでありがたいです。

 夜はこどもが寝てから資格取得のために勉強をし、目標とする資格を1つ取得できました。限られた時間の中ですが、さらにステップアップできるように勉強していきたいです。

(データの取材時点:2022年10月)

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