女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集

厚生労働省

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2022年度

株式会社たねや (製造業)

全従業員のウェルビーイングを目指ししあわせ推進室を設置

認定マーク

企業プロフィール

設立
1872年
本社所在地
滋賀県近江八幡市
事業内容
和菓子・洋菓子の製造販売
従業員数
1,789人(うち女性1,359人)
企業認定・表彰等

取組内容

仕事と育児の両立支援仕事と介護の両立支援女性管理職登用

特徴的な制度・取組など

  • 育児介護時短勤務制度(小6まで)
  • 各相談窓口設置(育児、介護、働き方、健康)
  • ワークショップ

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インタビュー

  • 経営本部 しあわせ推進室室長
    田原 佳代さん

取組のきっかけ・経緯
誰もがいきいきと働き続けられる職場環境づくり

 当社は店舗での販売業務に就く従業員が多く、女性比率が約7割超と高い会社です。必然的に育児や介護をしながら働き続ける人が多く、ライフステージに応じたきめ細かい支援が重要だと認識していました。現場で課題が発生すれば、その都度対応に努めてきました。

 2021年4月より、しあわせ推進室を設置し、女性だけでなく、すべての社員が健康でいきいきと働き続けることをミッションとして活動しています。

具体的な取組の内容
よろず相談ができるしあわせ推進室を設置

(1)相談窓口の設置

 育児、介護、健康、働き方、パパ育休、ハラスメントなど、さまざまな困りごとの相談窓口として、しあわせ推進室を設置。まずはここに相談に来ていただけば、相談内容に応じて人事や総務、保健師など、必要な部署に橋渡しをしています。悩んでいる人に寄り添って、ともに解決策を探るのがしあわせ推進室の役目です。また、保健師と連携しながら健康教室の開催・医師を招いてのセミナー開催、女性のヘルスケアに関するセミナー、ワークショップ、親子参加スイーツクッキング開催なども行っています。

(2)妊婦面談

 妊娠した従業員には、出産予定日がわかり次第、妊婦面談を行い、産休まで元気に働いていただき、育休が空けたら安心して復帰できるよう、様々な情報提供やサポートをしています。保育園の申請方法などもアドバイスしています。

(3)リモート保育園

 育休中は孤立感を持たないよう、週1回リモート保育園を開催しています。絵本の読み聞かせや歌などこども向けの内容だけでなく、同時期に出産した全国のお母さん同士の交流の場にもなっています。勤務先が異なり、普段は会わない従業員同士も交流できる貴重な機会となっています。

(4)ワークショップの開催

 育児や両立支援、働き方、健康に関する様々なワークショップも開催しています。

(5)育児短時間勤務制度

 育児短時間勤務制度を、小学校6年まで延長しています。大変好評で、多くの方が利用しています。


取組の成果
女性社員のほぼ全員が育休・復帰。管理職比率も高い

 育児休業の利用率は99%、育児休業復帰率は97.3%と高く、育児短時間勤務制度は、育休復帰者のほとんど(現在180名)が利用しています。また、女性管理職比率は46.9%、役員も7人中2人が女性で、多くの女性が活躍しています。

 しあわせ推進室は設置してまだ日が浅く、試行錯誤しながら、様々な課題の解決に取り組んでいるところです。しかし、しあわせ推進室ができたことで、「どこに相談したらいいかわからない」という悩みが解消されたことは一つの成果と考えられます。

取組を進めるにあたっての工夫・苦労
気持ちよく休むには心理的なプレッシャーの解消が必要

 育児短時間勤務制度を利用している従業員の中には、周囲に申し訳ないと思っている人も多いです。周囲に気を遣うことなく、短い時間でもしっかり働いて、気持ちよく帰れるように、会社全体で取り組んでいかなければならないと思います。長時間働くよりも、限られた時間内にしっかり成果を出すほうが良いと社内でも発信していますが、なかなか意識を変えるのは難しい。繰り返し伝えていくことが大事です。

 女性活躍推進のためには、働き方改革や業務改革も含めて、トータルに、全社員が幸せに働けるよう、制度を整えていかなければならないと考えています。そのためには現場の声を拾うことが重要だと考え女性管理職全員にヒアリングを行いました。ヒアリングから出てきた課題を「制度・人材・環境・福利厚生・教育」の分野に分け、課題の重さや進め方を整理し対応を進めています。

今後の展開
多様な従業員が不公平を感じない仕組みづくり

 短時間勤務制度が好評で利用者が増えているのは良いことですが、そのために負担が増えているスタッフもいます。こどもがいる人、いない人、短時間勤務制度を利用する人しない人、多様な働き方の人が不公平を感じないような仕組みを作ることが今後の課題です。当社は土日祝日の勤務や、夜遅くまでの勤務もあります。そのような制約の中で、いかに働き方を改革していくか、頭を悩ませているところです。

 また、男性の育休取得者も少しずつ出てきています。「たねやのお父さんはすばらしい」と言ってもらえるように、お父さん育てもしていきたいです。


従業員の声 制度利用者の声画像

短時間勤務で働く先輩も多く
安心して働ける

ラ コリーナ工房
冨田 春菜さん

働くことが、こどもとのよい距離感に

 以前、当社の企業内保育園で調理の仕事をしていました。1人目の出産・育休後、保育園にこどもを預けて復帰。その約1年半後に、2人目を出産・復帰時には菓子製造部署へ配属されました。同じ調理の仕事ではありますが、復帰前とは違う部署でしたので不安もありました。でも、周囲の方が丁寧に指導してくださったので、とてもありがたかったです。

 1人目のときから、育児短時間勤務の制度を利用しています。社内には短時間勤務で復帰後も働き続けている人がたくさんいたので、私もなんとかできるだろうと、大変安心感がありました。職場では、短時間勤務で早く退社することに対し、周囲が気持ちよく対応してくれたので安心して働けています。むしろ、働くことでこどもと適度な距離感を保つことができ、また、仕事がリフレッシュになるので、子育てだけの毎日よりも自分にとって良いと感じています。

しあわせ推進室のサポートが心強い

 2人目出産後、しあわせ推進室ができ、出産後3カ月からリモート保育園が始まりました。絵本の読み聞かせや歌の時間のほか、ちょっとした相談ができる時間もあり、復帰後の相談にのってもらって、少しずつ復帰後の心構えができました。復帰の際に、復帰先の部署の相談や復帰先部署への見学に一緒に来てもらいサポートしていただき、大変心強かったです。

 時間内でなるべく仕事をきりのいい所までできるように調整しながら仕事をしていますが、こどものことで出勤時間に時々遅れてしまうことがあり、周囲に申し訳ないと思うこともあります。でも、職場に女性が多く先輩ママもいるので、悩みを相談したり体験談を参考にしたりと助かっています。また、気軽に相談できる「しあわせ推進室」のような場があるのも心強いです。

(データの取材時点:2022年9月)

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