女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集

厚生労働省

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2017年度

向洋電機土木株式会社 (建設業)

徹底したテレワーク制度により、生産性向上、従業員満足度向上を実現し、さらに働き方の充実と効率化を推し進めていきます。

認定マーク

企業プロフィール

設立
1965年
本社所在地
神奈川県横浜市
事業内容
建設業(電気設備設計・施工)
従業員数
34人(うち女性12人)
企業認定・表彰等
ダイバーシティ経営企業100選 / 新・ダイバーシティ経営企業100選

取組内容

仕事と育児の両立支援仕事と介護の両立支援テレワークフレックスタイム制男性育児参画

特徴的な制度・取組など

  • 職種を問わず、全従業員が利用可能なテレワーク制度。事前の申請があれば、トリプルケアや仕事の両立のための中抜け等運用も可能。
  • ワーケーションのための温泉付き宿泊施設を創設し、従業員と家族がいつでも楽しみながらテレワークできる環境を提供。
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インタビュー

  • CHO広報部 部長
    横澤 昌典さん

取組のきっかけ・経緯

 当社でテレワークをはじめとする、仕事と家庭の両立支援関連制度の整備に取り組んだきっかけは、私自身が当社に入社したことです。約15年前、私は別の企業で勤務していましたが、父ががんを患い、介護と仕事の両立を続ける中、状況が厳しくなり、介護休業の取得を希望しましたが認められなかったため、その会社を退職しました。その時に知人から紹介してもらったのが当社でした。

 当時は、女性従業員は妊娠したら退職することが多く、仕事と育児の両立等に悩む従業員も少なかったのだと思います。しかし、社長から「今は問題となっていなくても、今後、さまざまな理由で従業員が今のような働き方ができなくなってしまった場合、従業員をサポートする手段がないため何とか改善して欲しい」との要望を頂いていました。さらに社長は、介護のために途中で退出したり、休暇を取得したりしても構わないし、介護と仕事の両立のために必要となる制度等を導入し、自分が働きやすいように関連制度を改定して欲しい、と言ってくださいました。そこで、まずは自分が仕事と介護を両立するために必要な制度を考え、整備することから着手しました。

 次第に、当時の働き方にはロスが多いこともわかってきました。当社では現場監督等、現場に赴く業務が中心ですが、工事現場がどこであろうと会社に立ち寄り、必要な資料等を持って現場に行き、会社に寄ってから退社するという業務の流れの中、移動時間は従業員にとって大きな負担となっていました。テレワークができて必要な情報がやりとりできれば、始業時と終業時に会社に寄る必要もなくなります。制度の整備にあたっては、従業員の身体的、精神的負担に対して真正面から向き合い検討しました。そして、仕事と家庭の両立支援にとどまらず、全社の業務効率改善、コスト改善という観点から、各種の制度等を整備していきました。

具体的な制度の内容

 テレワーク制度については、原則全ての職種で利用可能とし、現在では、全従業員がテレワークの許可を受けています。密にならない環境でテレワークを“楽しみながら”できるように、福利厚生の一環として伊豆熱海にワーケーション用の宿泊施設を創出し、従業員と家族がいつでもリゾートレジャーとテレワークを行なえる最適な場所を提供しています。

 また、コアタイムなしのフレックス制を導入しています。就業時間は7.5時間を標準としており、事前の申請により、中抜けしたり、1時間単位で就業時間を短縮したり、ということも認めています。特別な事情のある一部の従業員については、1か月単位の変形労働時間制を個別に認めています。

 その他、配偶者出産休暇(有給5日付与)、子の看護休暇や介護休暇制度(年間5日以上(対象家族2名以上の場合は10日以上)の有給休暇と別途で積立休暇の日数分取得可能(最大30日))等も多く利用されています。育児、介護及び病気療養中の勤務については、対象となる従業員と予めよく話し合いを行ったうえで、個別に柔軟に対応しています。

 さらに、近年は健康経営に注力しており、年次有給休暇取得促進はもとより、従業員の食事管理や睡眠時間、運動時間などウェアラブル端末を連動させて一部管理職が確認できる仕組みを2019年に導入しました。人間ドックや婦人科健診を提供したり、家族分の抗原検査キット配布、徹底したコロナ対策の様子を動画で家族や取引先に提供する等、全従業員で健康維持増進に取組んでいます。

制度導入による効果等

 テレワークの導入によって、経費の大幅な削減を達成しました。残業代もさることながら、電気代、ガソリン代が大幅に削減し、導入前と比較すると従業員数は19名増えましたが、電気代、ガソリン代ともに、当時を上回ることはありません。削減した経費は、従業員の希望により設備投資(IT系)に充て、iPhoneとノートPCを全従業員に支給しました。また、電気施工のバックオフィス業務をいつでも行なえるように、ネットワーク環境とクラウドソフト・アプリを完備しました。取引先の協力を得ながら、図面資料の共有や現場での打ち合わせ、会議をオンラインでリアル共有や現場での打ち合わせ、会議をオンラインでリアルタイムに実施し、従業員や関係業者と円滑なコミュニケーションを実現しています。

 従業員の定着率も非常に高くなりました。電気資格の勉強会用動画を社内で作成し、スキルアップの底上げをしながら互いの資格に対する理解を深めることで、従業員のモチベーションや帰属意識も高まっており、生産性高く勤務する従業員が非常に増えたと感じています。

 子育て中の従業員が大幅に増え、第2子、第3子が誕生した従業員もいます。職場環境の整備や、残業時間の削減といった取組にとどまらず、家族とゆっくり過ごす時間を確保し、仕事もオフも楽しみながら満足感のある仕掛けを社内制度で即実践するという、会社の風土意識がさらに高まりました。当社が各方面から表彰され、取組がメディアに紹介されたことにより、当社の取組を知り、入社を希望する人も非常に多くなっており、優秀な人材の確保につながっています。

今後の課題・展望

 現時点ではさまざまな取組がうまく機能し、従業員が働き甲斐をもっていきいきと働いており、売上も伴ってきています。今後も、テレワークの仕組みをさらに充実させながら脱属人化を進めていきます。

 そして、社員が互いの業務内容や進捗状況を把握し、協力しあえる仕事を率先してシェアすることで業務効率化を図ります。

 社員同士がジェネラリストとして協力して仕事を行う関係が大切になってくるので、人事異動などで従業員それぞれの仕事力、社会力の幅を広げられるようジョブローテーションも行っていきます。

制度利用者の声

介護、育児と自らの疾病の
トリプルケアと仕事の両立のために

CHO広報部 部長
横澤 昌典さん

柔軟性の高い勤務制度により、働ける時に働く環境が完備されています

 私は父の介護のために前社を退職し、2007年当社に入社しました。その後、2010年に第1子が生まれて育児が加わりましたが、同時期に私自身も長期的な治療を要する病気に罹患していることが分かりました。親・私・子どものトリプルケアを抱えながら、仕事をすることになってしまったのです。

 幸いなことに当社の社長は、私が働き続けやすいように制度を改定して欲しいと言って下さっていたため、自分が働き続けるために必要な制度を試行錯誤しながら導入・整備することができました。テレワークとフレックスタイム制を導入したことにより、入院中も体調が比較的安定している時は仕事をすることができましたし、子どもの授業参観等の日には、半日は休暇を取得し、残りの半日は在宅で勤務する等の柔軟性の高い働き方が可能となっています。また、役所での手続きや病院の立ち寄り等の特別な事情があれば、欠勤扱いにはなりません。私自身、制度によって効率的に働くことが可能となり、働き続けることができました。

 テレワークやフレックスタイム制等の働き方の柔軟性を高める制度は、育児や介護等、働く時間に制約のある従業員だけのためではなく、全ての従業員が効率よく、ストレスが少なく働き続けるための制度であると考えています。移動時間のロスをなくして自らの業務に関連する資格取得の勉強をしたり、あるいはしっかりと休むことにより、自身の健康を増進することは、全ての従業員にとって重要であるからです。また、育児・介護等がなくても、いつ自分が病気や怪我をするかも知れませんし、万一の災害時等で出社ができない時の備えにもなります。入院期間中に欠勤して休業補償を受ければ支給額が給料の3分の2になってしまいますが、病院でしっかり業務を行いながら出勤を維持すれば、給与が減る心配もありませんし、コロナ禍以前から、当社ではこのような取組を先進的に行っていました。そこからテレワーク制度をさらに充実させて、ワーケーション施設をいつでも利用できるようにし、密を避けながら同僚や家族で楽しめるようなイベントをオンライン・動画配信をしたりもしています。従業員だけでなく、家族や取引先にも配慮してお互いの声や様子を感じられる関係性を大事にしてくれています。

 ここまでテレワークを充実させ、実働可能にしている企業は他にないだろうと思います。最近では、各地で講演会、勉強会等の機会も増え、ますます効率的な働き方が求められるようになっていますが、テレワークにより、今後もトリプルケアとの両立をしっかり図ってきたいと考えています。

掲載年度:2017年度(2023年2月更新)

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