女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集

厚生労働省

女性の活躍推進・両立支援総合サイトトップ > 女性活躍・両立支援事例集トップ(事例検索) > 企業事例

2022年度

株式会社サカタ製作所 (製造業)

大胆な業務改革と属人化の解消で誰でも働きやすく

認定マーク

企業プロフィール

設立
1973年
本社所在地
新潟県長岡市
事業内容
公共産業用(非住宅向け)金属製折板屋根構成部品・ソーラーパネル取付金具・架台の設計、開発、製造、販売、施工指導
従業員数
155人(うち女性35人)
企業認定・表彰等
くるみん認定、プラチナくるみん認定、イクメン企業アワード

取組内容

仕事と育児の両立支援テレワーク再雇用制度

特徴的な制度・取組など

  • 残業ゼロへの取組
  • 男性育児休業推進(2018年から100%達成)
  • 健康経営への取組

データベース・両立支援のひろばを見る

取組事例ダウンロード 

インタビュー

  • 総務部 総務経理課
    主任
    後藤 美奈子さん

取組のきっかけ・経緯
社長自らが残業ゼロ宣言

2014年に、外部の講師による働き方改革に関する講演会に全社員が参加し、「生産性向上による残業ゼロでライフの質を上げること、結婚出産などライフステージの変更 による女性の就労離脱を防ぐことが、日本の生産人口の維持につながる。引いては日本の経済を救う」という話を聞いて、大変感銘を受けました。この講演がきっかけとなって、社長が残業ゼロを宣言。2015年には、残業せずに時間内で業務を遂行できる人(時間当たり生産性の高い人)、タイムマネジメントができる上司、部下の意識改革を行う上司を評価することを全社通達し、働き方改革に取り組みました。その結果、従来は月20時間だった残業時間が、翌年2016年には、約1.1時間になりました。

具体的な取組の内容
大規模な業務の棚卸により業務を効率化

(1)業務の棚卸・属人化業務の洗い出し

 各部署の業務内容と所要時間を15分毎に記録して洗い出し、グラフ化。時間の割に成果が少ない業務、重複・属人化している業務などを見える化し、無駄な業務の削除、属人化の解消を行いました。

(2)属人化の解消・多能工化推進

 事務系の業務はマニュアル作成や引継ぎ、トレーニング等によって属人化を解消しました。工場における作業は、年間計画を立てて計画的に多能工化を推進しました。

(3)携帯電話の内線化

 社内の内線を携帯電話で受信できるようにし、電話の取次ぎ業務を廃止。

(4)IT化による効率化

 勤怠管理システムを導入し、時差出勤の管理や、時間単位有休の取得状況を把握。社外から社内のデータにアクセスできるようにし、どこからでも自分のフォルダにアクセスして仕事ができる環境に。

(5)育児短時間勤務制度等の拡充

 従業員のニーズを聞き、育児時短勤務や看護休暇などを小学校3年生まで取得可能としました。

(6)柔軟な時差出勤対応

 業務によって15分単位で時差出勤が可能。たとえば朝は比較的仕事が少なく、夕方に作業が集中する部署では、出勤・退社時間を後ろ倒しにし、無駄な待機時間を解消。

(7)テレワークの導入

 コロナ禍で一気に普及。製造職以外のテレワークが可能な部署では多くの従業員が2交代制でテレワークを実施。

(8)育休について管理職への教育

 部下に育休該当者が出た場合に上司が対応できるよう、改正育児・介護休業法について詳しく教育を行っています。

(9)トップダウンでの周知

 社長自らが、全社朝礼で育休取得推進について周知・説明しています。

(10)イクメン、イクボス表彰

 全社集会でイクメン、イクボスの表彰を2016年から行っています。2020年には、それが当たり前になったため廃止。

取組の成果
業績を維持したまま大幅な残業時間の削減

 改革前は月20時間だった残業時間が1.1時間に減少。残業時間が減少したにも関わらず、業績は維持していますので、時間当たりの生産性が向上したと言えると思います。

 属人化の解消、多能工化により、「この人がいないと回らない」という業務がなくなり、急な事情で休みやすくなりました。業務を洗い出し、見える化したことで、無駄な業務がなくなりました。

 誰もが休みやすくなり、男性も育休を取得する者が増えてきました。2018年以降は毎年100%を達成し、2回目の取得者も出ています。

 「この間は休ませてもらったので次はお返ししたい」という助け合いの風土が育ってきたと感じています。

取組を進めるにあたっての工夫・苦労
安心して育休を取得するための情報提供

 業務の属人化の解消や多能工化によって、急な欠員にも対応しやすくなり、その結果、急な病気などで休みやすくなりました。しかし、どうしても人員が社内で賄いきれない場合は、派遣社員やアルバイトで補っています。

 男性従業員の育休取得も推進していますが、そのためには不安の解消が大事だと考えています。育休を取得する従業員のお子さんの出産予定がわかったら、その従業員の職長に情報共有し、育休開始までの業務引継ぎや育休中の業務体制について職長に検討していただき、部署的に問題ないように準備をすることで育休を取得する従業員の不安を解消しています。

 育休中の収入面に関する不安については、数パターンの育休取得期間シミュレーションを総務側で行い、育児休業給付金、社会保険料の免除、行政の助成金なども含めた総収入イメージを作成し、不安を払拭するとともに、育休期間を確定しています。

今後の展開
不公平感のない評価システムが課題

 育児などで休みやすくなる反面、そのサポートに入る従業員の負担が増えることをどうするかが課題です。全く制度の恩恵を受けない従業員にも不公平感がないよう、人事評価でその人の働きを評価するなど、対策を検討しています。

 また、女性のキャリアアップ支援や女性管理職比率向上はあまり進んでいないのが現状。来期から、キャリアアップやキャリアチェンジについても評価制度の中に組み入れ、従業員を男女問わず育成していく考えです。

従業員の声

様々な制度を利用して
働き続けられることに感謝

総務部 総務経理課
吉川 みのり(仮名)さん

育児短時間勤務制度でこどもとの時間が増えた

 現在入社14年目。総務経理課の人事チームに所属、今は採用活動や健康経営を担当しています。

 4年前に第1子を出産。1年半後に復帰。その頃には働き方改革によって残業ゼロになっていましたし、業務改革や属人化の解消等の施策によって、休みやすい環境になっていました。また夫の両親に子育てを手伝ってもらえたため、育児短時間勤務制度は利用せず、フルタイムで復帰しました。2020年に第2子を出産し、約1年半ほどで復帰。この時は、育児短時間勤務制度を利用しました。育児短時間勤務を利用することで給料が減ることは不安でしたが、短時間勤務にして正解でした。こどもとの時間は、お金には換えられないかけがえのないものだと思います。

 コロナ禍でテレワークが全社的に広がり、週3回はテレワークを利用しています。通勤時間がいらないことは大きいですね。その時間を家事にあてることができ、時間に余裕ができました。

週1の進捗ミーティングで困りごとを解消

 育休を取得する前は、戻った時に居場所があるのか不安でしたが、皆さんが温かく迎えてくれたので、安心しました。当社では、1週間に1度、進捗管理のミーティングがあり、その時に、今抱えている仕事や困っていることを聞いてくれます。短時間勤務なので時間内に仕事が終わるか不安でしたが、締め切りに間に合いそうにないときはそこで分担を考えてくれます。私自身も仕事の効率を常に意識するようになりました。また、1人が休んでも、もう1人がカバーする、業務のペア化が進んでおり、それも子育てと両立する上で助かっています。最近は、任せていただく仕事も増えているのでよりスキルアップを目指したいです。

 コロナ禍でこどもが登園できない時などは、有休を使わなくても給与を保障してくれる有給の特別休暇を利用する方もたくさんいました。いろいろな制度のおかげで働き続けることができ、会社には感謝しています。

(データの取材時点:2022年9月)

PAGE TOP