女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集

厚生労働省

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2022年度

日精樹脂工業株式会社 (製造業)

地道な活動の積み重ねで育児・介護による退職ゼロに

認定マーク

企業プロフィール

設立
1947年
本社所在地
長野県埴科郡
事業内容
射出成形機・金型・成形自動システム・計測機器等の開発、製造、販売
従業員数
556人(うち女性102人)
企業認定・表彰等
くるみん認定、プラチナくるみん認定、えるぼし(認定段階2)

取組内容

仕事と育児の両立支援仕事と介護の両立支援妊娠中の労働者支援男性育児参画女性活躍推進女性職域拡大女性管理職登用

特徴的な制度・取組など

  • 法定以上の育児短時間制度、時差出勤、時間有休など柔軟な制度
  • ファミリーサポート休暇
  • 産休前と復職前の面談

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インタビュー

  • 人事部
    樋口 きみ子さん(左)
    山本 愛梨咲さん(右)

取組のきっかけ・経緯
30年かけて少しずつ働きやすい環境を整備

 当社では、1992年の育児休業法施行後まもなく、育休後も復帰して仕事を続けたいという女性社員が出てきたのをきっかけとして、30年にわたって、一歩一歩、仕事と育児の両立支援や、社員が働きやすい環境づくりを進めてきました。

 また、夫婦で共働きをしながら育児と両立する方も増えてきましたので、社員のニーズに応える形で制度を充実していきました。現在では、男女とも育休を取得し、復職するのは当たり前になっており、2010年以降の女性の育休取得率及び復職率は100%を維持しています。また、女性社員の平均勤続年数は19年、平均年齢は43歳です。男性はそれぞれ22年、44歳ですから、男女の差はほとんどありません。

 長くキャリアを積み重ねた知識・経験が豊富な女性社員が多数活躍していることは、会社が積極的に女性活躍や両立支援に取り組み、法定以上の対応を実践してきた成果によるもので、当社の強みになっています。

具体的な取組の内容
面談で不安を払拭、制度や環境づくりで両立をサポート

(1)産休前および復職前の面談

 これから産休に入る方や、育休後復職される方を対象に、事前に面談を実施しています。産休前の面談では、利用できる制度や、休暇中の給料、手当等について説明をし、復職前の面談では、所属長も含めて面談し、復帰後に円滑に仕事が進められるよう意識合わせを行っています。これらによって、社員の不安を取り除き、安心して休暇の取得や復職をしています。

(2)法定以上の制度の充実

 育児短時間勤務や、看護休暇、時間外労働免除は法定以上の小学校卒業までに拡充しています。

(3)ファミリーサポート休暇の設置

 失効した年次有給休暇を積み立てて、5日を上限に連続休暇が取得できる制度を作りました。土日を合わせると最大9日間休むことが可能となり、この制度を利用して育児のための休暇とする男性社員が増加しました。

(4)休みやすい体制づくり

 「この人がいなければ仕事が回らない」という業務の属人化を解消し、休みやすい環境をつくっています。

(5)残業の削減

 特定の社員への業務集中を防止するために、社員一人ひとりの残業時間を可視化し、業務の効率化や標準化により残業時間削減に取り組んでいます。

(6)女性活躍の伸長

 キャリア意識を喚起するために、全女性社員を対象に女性研修を行っています。また、管理職候補となる女性社員を選抜し、アドバンス研修を行っています。当社は男性の割合が多いためキャリアアップに対して気おくれをする女性も少なくありませんが、管理職に必要な知識、スキルだけでなく、心構えの面でもサポートしていきたいです。

取組の成果
ワーク・ライフ・バランスを実現

 女性社員の産休・育休後の復職率は100%。男性の育休取得率も現在40%まで上がっています。男性の育休取得が一気に進んだのは、まずは女性が両立しやすい環境を作ったという素地があったからこそだと思います。

 育児短時間制度は2016年から、男性の利用者もあり、夫婦で共働きをしながら子育ても分担するという文化ができてきたのだと感じます。

 業務改善や、残業削減の取組、休みやすい環境づくり等によって、年次有給休暇の消化率は年々上昇し、2019年の67.2%から2021年には71%に上昇しています。時間外勤務は減少し続けており、2019年は19.7時間/月だったものが、2021年には13.0時間/月に減少しています。

 休むときは休んで、効率よく働くというメリハリのある就業環境が整い、業務の効率化によって創出した時間を自己啓発に充てる社員も増えてきました。

 採用面では、当社は男性が多く、また扱う製品も一般消費者向けではないため、女性の応募者は少ない傾向にありました。しかし、女性の働きやすい環境づくりに取り組んできた結果、女子学生の応募も徐々に増えています。くるみんやえるぼしの認定も、採用面にも大変効果があったと感じています。

取組を進めるにあたっての工夫・苦労
地道な周知活動を積み重ねた

 当社は従業員の男女比が男性85%、女性15%という会社ですので、両立支援の取組を進めるためには男性の理解が必須でした。制度を作っても使えなければ意味がありませんので、管理職向けに研修を行って制度を周知したり、部下が産休・育休の対象となったときには、上司から声をかけることなどを働きかけてきました。

 2014年に初めて育休取得を希望する男性が出ました。当時はまだ男性の育休に対する理解が少なかったのですが、ぜひ実現させたいと部署にかけ合い調整しました。こうした地道な働きかけの積み重ねによって、社員が出産、育児、介護等で退職することなく働き続けられる環境ができていったと感じています。

今後の展開
男性の長期の育休取得、女性管理職比率の向上を目指す

 昨年は、男性の育休取得率が40%となりましたが、期間が1週間前後と短いことが課題です。今後は、1カ月以上取得できるように職場への周知や啓発を進めていきます。最近になって、28日間の育休を取得したいという男性が現れましたので、対象社員と上司に丁寧に制度や給付金の説明を行いました。女性管理職比率は現在4.2%、係長職は6.1%と、まだまだ低いですが、幸い、最初から管理職になりたいという想いをもって入社してくれる女性も増えています。今後も、意欲のある女性の採用を増やすとともに、管理職に向けた育成にも取り組みたいと考えています。

女性従業員の声 制度利用者の声画像

後輩の良き
ロールモデルになりたい

技術第2部技術管理課
知的財産室
田中 おりえさん

手厚い子育て支援制度に感謝

 2006年に新卒で入社し、2012年に第一子を出産、2016年に第二子を出産しました。かねてから出産後も正社員として働き続けたいという思いがありましたので、二人の出産時には迷うことなく産前産後休業・育児休業を取得しました。わが家は核家族で子育てに両親の協力を得られないこともあり、復職の際に人事部、上司と相談し、短時間勤務制度の利用を決めました。

 今現在も短時間勤務制度を利用し、1日7時間勤務で働いています。最近よく「小1の壁」問題を耳にしますが、当社では小学校卒業まで育児短時間勤務制度が利用できるので、大変ありがたいです。来春、下の子が小学校へ入学しますが、こどもが学校生活に慣れるまではこのまま短時間勤務制度を利用したいと思っています。

支援制度を利用して、仕事と子育てを両立したい

 育児短時間勤務制度を利用しているのは部内に私一人で、一人だけ早く退社することに後ろめたさを感じ悩んだ時期もありました。しかし周囲の理解や協力があり、嫌な思いをすることなく今に至ります。それでも、短時間勤務制度に甘えてはいけないと常に思っています。短時間勤務でも通常勤務の社員と同等の仕事量をこなせるよう効率的に仕事をするように努め、今では責任のある仕事をたくさん任せてもらえるようになりました。仕事量が増えて業務のやりくりも大変ですが、日々やりがいをもって働いています。

 短時間勤務制度を利用することで、平日の夜にもこどもたちと向き合う時間を持つことができています。「母になっても正社員でしっかり働きたい。子育ての時間も欲しい」そんな欲張りな私の思いをかなえてくれるのが当社の子育て支援制度です。今後の私の目標は、短時間勤務制度を利用しながらも昇格し、今以上に仕事の幅を広げていくことです。

 子育て支援制度を利用することが自分のキャリアの足かせになるという印象を無くし、これから子育てをしていく当社の社員達が、子育て支援制度を抵抗なく利用できる前例を作っていきたいと思っています。

(データの取材時点:2022年10月)

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