女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集

厚生労働省

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2021年度

総武物流株式会社 (運輸業、郵便業)

女性活躍推進研修の実施を通じ、女性従業員の考えを理解し、取組に活かす

認定マーク

企業プロフィール

設立
1924年
本社所在地
千葉県野田市
事業内容
運輸業、郵便業
従業員数
171名(うち女性66名)
企業認定・表彰等
えるぼし(認定段階3)

取組内容

女性活躍推進女性採用拡大女性職域拡大女性管理職登用

特徴的な制度・取組など

  • 女性活躍推進研修を実施し、女性従業員の考えや意見を取組に反映
  • 外部研修や国家資格に関する情報を積極的に提供し、自主的に学ぶ意識を醸成

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インタビュー

  • 管理部 取締役部長
    香川 紀夫 さん(右)
    管理部 課長
    伊野 和晴 さん(左)

取組のきっかけ・経緯
物流業界の課題に対応するために

 物流業界全体の課題として働き手が不足しており、当社も例外ではありません。働き手不足に加え、SDGsやダイバーシティなどといった、性別に関係なく誰もが働きやすい職場づくりを促す社会的な動きに対応するため、当社としてどのように取り組み、また、貢献していくかを検討した結果、女性従業員の活躍が大きな力になると考えました。女性の活躍を推進するという取組は、これまでに実施した女性活躍推進研修で女性従業員から上がった声とも一致しており、当社としても良い方向に向かっていると確信しています。

具体的な取組の内容
女性活躍推進研修の実施と従業員への学習機会の提供

 2020年1月、当社として初めて女性活躍推進研修を実施しました。研修では、外部講師を招いて、働き方やキャリアアップに対する意識改革の講義を行ったほか、参加者同士が意見交換をする機会を設けたことで、女性従業員が普段口に出せなかったことや気持ちを周囲に伝える機会となりました。2020年の研修では対象を女性従業員に限定していましたが、参加した女性従業員から、自分たちの考えや気持ちを男性従業員にも聞いてほしいという声が上がり、2022年1月に実施した2回目の女性活躍推進研修では男性従業員も参加対象としました。研修ではグループワークを実施して、男性従業員も交えて女性従業員の働き方やあるべき姿について意見交換を行いました。参加者からは、国や社会が女性活躍推進に積極的に対応していることを知り、知識やスキル習得の必要性を認識したという声があったほか、テーマに沿ったグループディスカッションが好評で、次回の開催を希望する声もありました。
 性別にかかわらず、管理職になるには、物流業界に関する知識はもちろん、コンプライアンスやハラスメント等に関して高い意識を持つことが重要です。当社では、キャリアアップに必要となる知識を従業員に習得してもらうため、管理部から、外部の研修および運行管理者や安全衛生をはじめとする国家資格の受験案内等の情報を積極的に提供しています。以前はこのような情報提供はなく、従業員自らが自身の関心のある研修や資格を探す必要がありましたが、当社としては、従業員がさまざまな研修や資格取得に挑戦することで、普段の業務に関する新しい発見や認識が深まると考えており、現在は積極的に声掛けをしています。女性従業員は事務員として勤務している場合が多いため、現場の業務に携わる機会は多くありませんが、フォークリフトなどの資格取得を通じて現場の業務を知り、普段の業務に活かせることもあることから、資格取得に挑戦する女性従業員は年々増えています。資格取得をきっかけに現場で働く女性従業員が増えることを期待しています。
 また、働きやすい職場環境づくりの一環として、法定の年次有給休暇5日取得を遵守できるように計画年次休暇制度を始めたほか、半日休暇日数を年7日から10日に増加、事務員を対象とした時間単位有給休暇の試験的導入など、休暇に関する取組も進めています。育児休業についても、女性はもちろん男性もしっかり取得することが配偶者の安心感やゆとりにつながると考えており、法改正に対応した当社規則の改訂を行うことで育児休業を取得しやすい環境を整備し、男女ともに対象の従業員に積極的な利用を促しています。

取組の成果・取組を進めたことによる効果等
女性従業員の声からえるぼし認定を取得、取組を通じて従業員の自主性が向上

 2020年に実施した女性活躍推進研修で外部講師がえるぼし認定の紹介をしたところ、参加した女性従業員から当社でもえるぼし認定を取得してほしいという声が上がりました。そのような声を受け、認定取得に向けて女性管理職比率に関する目標を設定するなどの取組を進めた結果、2021年7月にえるぼし認定の3段階目を取得することができました。以前であれば、従業員からこのような意見が出ることは考えられなかったので、従業員発信で会社が取組を始め、認定取得という結果も得られたことは大きな成果であり、社内の期待に応えることができたと考えています。
 女性活躍推進研修の実施や自主的な資格取得を推進したことで、男女問わず従業員の自主性が向上したと考えています。例えば、社内で毎年実施している改善発表会では発表を希望する従業員が年々増えてきています。この発表会は、社長をはじめとする役員を前に、自らの取組や改善したことをプレゼンする場であるため、抵抗感を持つ従業員が多く、参加者は多くありませんでした。しかし、女性活躍推進をはじめとする当社の取組が進展してきたことで、従業員が自主的に取り組む場面が増えてきており、2021年度は女性従業員の発表内容が最優秀の金賞を受賞しました。日常業務においても経営層に報告されることが女性従業員による取組や意見だったということが増加しており、取組の効果を実感しています。

取組を進めるにあたっての工夫・苦労
研修への参加の敷居を低くするために

 これまで当社では性別にかかわらず管理職以外の従業員が研修や会議などで自分の意見を述べる機会がなく、慣れていなかったため、女性従業員は意見交換が求められる女性活躍推進研修への参加に前向きではありませんでした。対象を女性従業員に限定していたことも、参加を躊躇する一つの要因だったと考えています。管理部としては、参加してもらうために一人ひとりに呼びかけをすると同時に、研修のタイトルを「座談会」にして、気軽に参加してもらえるように工夫をしました。また、今後も内容を変えて同様の研修を開催することを考えていたので、外部講師とも十分に打ち合わせを重ねて参加しやすい研修になるように企画し、当日は会社側で飲み物を用意することで、参加者が普段の業務を通じて感じていることを自由に話すことができる雰囲気づくりに徹しました。結果として、えるぼし認定の取得や男性従業員の研修への参加を望む意見などを聞くことができ、社内からも評判が良く、研修の開催は成功だったと考えています。

今後の課題・展望
希望や挑戦を発信しやすい環境づくり

 当社は2025年度末までに女性管理職比率20%以上という目標を掲げています。目標達成に向けて、キャリアアップをするための業務に関する知識や資格取得の機会を引き続き増やしていきます。従業員に積極的に参加してもらうために、自らの希望や挑戦したいことを発信しやすい環境を作っていきたいですし、従業員の活躍や挑戦をしっかり評価していきたいです。
 当社では、ホームページで女性活躍に関する情報の発信を始めたところ、2021年4月入社の新卒採用活動では従来よりも多くの女子学生から応募がありました。採用は性別にかかわらず個人の能力を見て判断していますが、結果として6名の採用者のうち4名が女性でした。今後もえるぼし認定の取得といった、当社の取組による効果に期待しています。

従業員の声 制度利用者の声画像

男性だから、女性だからという目線がない職場に

管理部 課長代理
伊藤 真紀さん

育児休業を取得しやすい環境があった

 私は1995年に入社して以来、運輸部など複数の部署や業務を経験し、その間、育児休業を2回取得しました。直近13年間は管理部に在籍しています。当社では地元の女性が入社することが多いことから、私が育児休業を取得した頃でも、育児休業を取得して復帰する女性従業員が多くいました。当時の休業可能期間は法定通りの子どもが1歳になるまででしたが、当社では育児休業を取得しやすい環境が整っていました。実際に取得してみると、育児休業期間中は会社の状況があまりわからず、復帰するときのことを考えると不安に感じることはありましたが、当社では育児休業から復帰の際は本人の意向も踏まえたうえで、原則として直近に在籍していた部署に配属されることになっていたので、その点は安心材料になっていました。
 2015年、管理部で課長代理に昇格しました。昇格した際、業務内容の変更はなかったので不安はありませんでしたが、責任感が増すことを強く感じ、気持ちが引き締まりました。当時は先に管理職になった女性従業員が1名いたこともあり、とても心強かったです。

将来の自分の働き方を考える

 自身のキャリアに対する考えが大きく変わったきっかけは、女性活躍推進研修への参加です。研修では、職場における女性のあり方や、女性活躍とはどのようなことを指すのかについて知ることができました。当時、私はすでに課長代理になっていましたが、ただ漠然と日々の目の前の業務をこなしていたところ、研修を通じて、自分がどのように働いていきたいか、先々のことまで考える必要があると思うようになりました。キャリア形成のため、興味関心のある通信教育や外部研修に積極的に参加しています。コロナ禍でオンライン研修が増えたことから、家庭の時間を確保しつつ、仕事にも時間を使えるようになりました。
 物流業界は男性主体のイメージが根強いですが、今後も女性管理職の登用が進み、女性が活躍できる職場になってほしいです。当社の取組も年々良くなっています。性別にかかわらず育児や介護をはじめとしたさまざまな休暇が取得しやすく、働きやすい職場になるよう、私も貢献していきたいです。

(データの取材時点:2022年1月)

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