女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集

厚生労働省

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2021年度

ちばぎん証券株式会社 (金融業、保険業)

女性社員との個人面談や女性社員同士の交流会を通じ、コミュニケーションを重視

認定マーク

企業プロフィール

設立
1944年
本社所在地
千葉県千葉市
事業内容
金融業、保険業
従業員数
305名(うち女性108名)
企業認定・表彰等
くるみん認定、プラチナくるみん認定、えるぼし(認定段階3)、プラチナえるぼし

取組内容

女性活躍推進女性職域拡大女性管理職登用

特徴的な制度・取組など

  • 自身のキャリアを意識してもらうため、積極的に女性社員を外部研修やセミナーに派遣
  • 女性社員同士の交流会を実施し、ロールモデルになる社員との接点を提供
  • 人事部や所属長による全社員との個人面談に加えて、女性社員を対象とした面談も実施

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インタビュー

  • 人事部 副部長
    宿谷 賢さん

取組のきっかけ・経緯
女性活躍推進法に対応した取組を自主的に実施

 2016年の女性活躍推進法の施行が、当社の女性活躍推進の取組のきっかけです。当時の当社の従業員数は300名以下だったため、女性活躍推進法における行動計画の策定や公表は義務ではありませんでしたが、親会社である千葉銀行とグループ一体で女性活躍に関する取組を進めていくなかで、当社でも自主的に対応するようになりました。行動計画では、第1期に女性管理職比率を15%以上、第2期に20%以上という目標を設定し、順調に達成することができました。2020年から認定の始まったプラチナえるぼし認定についても、これまでの当社の取組が実を結び、認定要件を充足していたことから、2021年5月に申請、同年8月に千葉県内で初めてプラチナえるぼし認定を取得するに至りました。

具体的な取組の内容
社内外のリソースを活用してコミュニケーションの機会を提供

 女性活躍に関する指標として最も一般的であり、当社の取組をアピールすることができる女性管理職比率を一定水準以上にすることが当社の取組の柱になっています。その目標を実現するための研修への派遣や意見交換会等の開催により、女性社員同士の交流を深めたり、キャリア意識を醸成したりするように努めています。研修に関しては、社内の研修に加え、千葉銀行の女性行員向け研修や日本証券業協会が実施する女性社員向けセミナー(証券Women’s Network)などの外部セミナーに当社の女性社員を指名制で積極的に派遣しています。意見交換会は年齢層や職階を限定して開催し、ロールモデルになる社員とざっくばらんに話をする機会を設けています。当社では各部店の所属人数は多くて20名ほどと小規模であるため、部店での業務が長く続くとどうしても視野が狭くなりがちなので、これらに参加して社内外の普段接点のない方と交流してもらうことは意義のあることだと考えていますし、参加者からも好評です。
 当社人事部では、性別にかかわらず全社員との個人面談を毎年実施しており、人事部副部長2名で対応しています。加えて、年度によって対象者を職階や年次等で限定して、人事部の女性社員が対象の女性社員との個人面談を別途実施しています。2つの面談で取り上げる内容は大きく変わりませんが、全社員との個人面談は、業務内容やスキル、今後の希望などを率直に話してもらうために実施しています。一方、女性社員を対象にした面談は、女性社員のキャリア意識を高める啓発活動の一環ではありますが、業務や評価に関する話の比重は小さく、女性ならではの悩みや困っていることを相談できる場にするために実施しています。これらの面談で得た情報は人事異動や評価の検討の際に活用しており、組織として問題があるようなことがあれば改善を徹底していくようにしています。

取組の成果・取組を進めたことによる効果等
社内・社外ともに取組の効果を実感しています

 採用活動において、大学のキャリアセンターの担当者とお会いした際にプラチナえるぼし認定を取得したことを報告すると、驚きとともに良い反応をいただきました。そこからお話がつながり、学内セミナーを実施させていただくこともできました。現在(2022年1月時点)、2023年卒業の学生向けの採用活動が本格化していないため、学生と接する機会はまだ多くありませんが、すでに実施した学内セミナーでは学生の反応もとても良く、プラチナえるぼし認定の取得がこれからの採用活動に良い影響を与えてくれることを期待しています。
 一方、社内では、女性活躍推進の取組を進めたことによって、性別にかかわらず自分の職場を働きやすくしていくという意識が根付いてきたと思います。当社の取組内容について、人事部との個人面談で必ず話題に取り上げるようにしたり、社内通達で周知したことで、特に所属長レベルでの理解が深まったと感じています。このような意識の変化によって各社員が取組を実践してくれていることが、定着率の向上や離職率低下などの数値にも表れ、2021年時点での過去10年間の新卒採用者の定着率は、2016年時点と比較して17ポイント改善しているなど、社内・社外の両方で効果を実感しています。

取組を進めるにあたっての工夫・苦労
コロナ禍のため、社員コミュニケーションの場を設けられず

 当社は2011年に千葉銀行の完全子会社となって以来、ちばぎんグループの良い取組は積極的に取り入れつつ、当社独自の取組と融合させながら制度や社員への支援の充実を図ってきました。千葉銀行も女性活躍推進に注力しているので、当社の取組の方向性と相違はなく、経営層や他部署、支店の理解も容易に得られています。
 当社では社員同士や社外とのコミュニケーションを重視していますが、現在はコロナ禍のため対面でのコミュニケーションが難しく、そのような機会を提供できていません。特に若手社員にはコミュニケーションの機会が必要と考えていますが、入社以来オンライン研修が続く状況となっています。例年実施している女性社員同士の意見交換会も同様の理由で現在は実施できておらず、対面での参加者同士のコミュニケーションの場を提供できない点で苦労しています。
 制約がある状況が続きますが、2020年10月からは、「1 on 1 Talk」という所属長と社員が一対一で面談する機会を年2回設け、プライベートな話も含めて気軽に近況を話すことができるようにしているなど、今後もできることから取組を進めていきます。

今後の課題・展望
所属長候補の人材育成と全ての部署への女性社員の配置

 まずは2025年度末までの行動計画で定めている、「女性管理職比率25%以上」、「男性の平均勤続年数に対する女性の平均勤続年数の割合75%以上」という目標の達成に向けて、人材育成や定着率向上のための取組を進めていきます。当社は今後支店長や部長など所属長となる30~40代の社員が少ない年齢構成になっているため、性別にかかわらず所属長候補の育成が課題になっています。将来的にプロパーの女性社員が役員になることができるように、長期的な目線で各階層の人材育成に注力していきます。
 また、当社は全社員の3分の1が女性社員ですが、業務に特殊性のある監査部は男性社員のみで構成されています。業務内容にかかわらず全ての部署に女性社員が配属されている状況があるべき姿であると思うので、人員配置についても今後検討していきます。

従業員の声 制度利用者の声画像

女性だからと引け目を感じずに働いていきたい

東金支店 課長代理
小田 久美子さん

継続就業を重視して転職を決断

 私は新卒で宝飾品販売企業に就職し営業に従事していましたが、店頭販売業務があるため拘束時間が長かったり土日出勤があったり等、長く働き続けられる働き方ではなかったことから、福利厚生が充実し、有給休暇制度もしっかりしている当社への転職を決めました。
 2005年の入社以降営業に従事し、1年間の育児休業および2年間の育児短時間勤務を経て、現在は課長代理としてフルタイムで勤務しています。育児休業期間中に社内システムが変更になったこともあり、復帰にあたっては不安に感じることもありましたが、周囲のサポートもあって自然と馴染んでいくことができました。入社当時は女性社員の先輩方は結婚を機に退職されることが多かったため、自分が子育てをしながら働くイメージを持っていませんでしたが、当社の制度があったからこそこれまで仕事を続けることができたと思います。勤務時間の管理の強化や休暇の積極的な取得の声掛けによって実際に休暇が取得しやすくなっているなど、会社の取組も年々良くなっていると感じています。

キャリアアップはひとつの選択肢として

 制度以外の当社の取組では、女性研修に参加したことで、働くことに対する自身の考え方が前向きに変わりました。女性研修は、主に働くにあたっての意識やステップアップしていくことの考え方など意識面の内容が中心の研修です。普段は話す機会がない他の支店や本部の女性社員と意見交換をしながら自分の働き方について考えることができたことは、私にとってとても良い機会になりました。本研修に参加したことで、自分のキャパシティを把握して「できること」と「できないこと」を割り切って区別しつつも、自分のできる範囲を少しずつ広げていきたいと思うようになりました。
 当社でも女性社員の採用が増えてきたので、後輩の女性社員には私の良い面も悪い面も参考にしてもらいたいと思います。業界としてはまだ男性社会を感じる部分もありますが、性別にかかわらず同じ土俵で仕事ができる環境が整ってきているので、女性だからと引け目を感じないでもらいたいですし、自身もそのように働いていきたいです。現在勤務する支店の支店長が女性であることもあり、女性が管理職になることへの意識は大きく変わりました。私自身は家庭や子育てを第一優先に、キャリアアップをひとつの選択肢として、自分の時間をより長く確保できるタイミングが来た時にステップアップをしていきたいです。

(データの取材時点:2022年1月)

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