女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集

厚生労働省

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2021年度

DACグループ (サービス業(他に分類されないもの))

経営戦略として女性従業員の活躍を積極的に後押ししています

認定マーク

企業プロフィール

設立
1962年
本社所在地
東京都台東区
事業内容
総合広告事業
従業員数
グループ全体(合計12社1法人)総数645名(うち女性341名)
企業認定・表彰等

取組内容

女性活躍推進女性職域拡大女性管理職登用

特徴的な制度・取組など

  • 社長の強い意志のもと、経営戦略としてのダイバーシティ推進にグループ全体で取り組む。
  • 女性管理職研修を通じて女性自身の意識改革を促し、女性幹部の育成を目指す。

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インタビュー

  • 株式会社DACホールディングス 人事部 次長
    小田部 彩香さん

取組のきっかけ・経緯
社長の強い問題意識から、女性の活躍を支援する風土をつくり、女性の活躍を促す多様な勤務制度の整備を進める

 社長の石川が約40年前に広告業協同組合の研修でニューヨークへ行き、現地の新聞社を訪問した際に女性記者が第一線で活躍している姿を目の当たりにし、重要な労働力として日本でも女性が活躍する必要があるという強い問題意識を持ったことを契機に、DACグループでは女性の活躍を支援する取組を始めました。
 具体的な取組としては、1987年にグループ内での女性の地位向上や女性が活躍できる環境づくりを目的として「白百合の会」が発足しました。全女性従業員で構成される同会は、現在、「新白百合の会」に名称を変え、年間を通して部署を超えた女性従業員同士が交流を図るイベントを行うほか、一年の締めくくりとして年間活動報告を行う年末総会を開催しています。
 その後、2009年に女性管理職向けの研修を開始し、2012年から女性幹部育成を目的とした北欧研修を3年続けて実施し、2013年には新白百合の会から分化する形で、グループ全体で取り組むダイバーシティ&インクルージョン推進委員会が設置されました。この委員会は、「世界で1番働きたい会社をつくる」をスローガンに、多様な人材がいきいきと働ける環境や制度づくりに取り組んでいます。委員会の委員はグループ各社から立候補形式で募り、人数は各社2名の合計約20名です。こうした取組を進める中で、従業員の意識が変わり、実際に仕事を続けて活躍する女性の数は増えていきました。

具体的な取組の内容
海外研修や女性管理職研修への参加により、女性自身の意識改革を促す

 DACグループは、女性がその個性と能力を十分に発揮できる会社づくりを目指し、女性の管理職登用にも積極的に取り組んでいます。課長代理以上の女性管理職比率は2009年にグループ全体の平均で32%となりましたが、当時は役員の女性比率が依然として低いという課題がありました。そのため、自ら役員を目指すような高い目標を掲げる女性幹部の育成を目的として、2012年から3年にわたり、女性の活躍が進んでいる北欧の企業を訪問する北欧研修を実施しました。
 北欧研修には毎年約10名の女性従業員が参加し、3年間でフィンランド、デンマーク、スウェーデン、アイスランド、ノルウェー、オランダの6か国を訪問しました。訪問先の企業については業種にこだわらず、現地で働く女性との意見交換などを通じて、研修に参加する女性従業員の意識改革を促すことを目的として選定しています。その後、2019年に実施したニューヨーク研修では、2名の女性従業員がそれぞれ1名未就学児を同行して研修に参加しました。
 国内で実施する女性管理職研修でも、企業の経営トップとして働く女性の話を聞いたり、女性の活躍が進んでいる他の企業を訪問するなどし、リーダーとして働く女性従業員が、前向きにキャリアアップを目指すことができるような意識改革を促したいと考えています。

取組の成果・取組を進めたことによる効果等
女性従業員の自信が向上

 当グループが女性の活躍支援の取組を進める上で特に重視していることは、ダイバーシティの推進は福利厚生ではなく、経営戦略であるということです。経営層が女性従業員の能力を信じ、「任せてみる」という意識で女性従業員を積極的に管理職に登用した結果、女性
 従業員が今まで以上に自信を持って仕事に取り組むようになったほか、男女ともに入社年次や労働時間の長さではなく仕事の生産性がより評価される風土が根付いてきているように感じます。

取組を進めるにあたっての工夫・苦労
従業員を巻き込み、経営戦略としての女性活躍推進の必要性を社内外に伝える

 2009年に女性管理職研修を開始した当初は、女性管理職に特化した研修の必要性を問う声が女性従業員からも上がりました。また、2015年にDACグループの女性管理職を紹介する冊子「DAC PRIDE」を制作した際には、女性管理職を取り上げ、社外に公表することの必要性について社内で懐疑的な意見もありました。しかし、同じ年に東京都女性活躍推進大賞を受賞し、これらの取組が外部から高く評価されたことで、それまで女性の活躍推進に関する取組にあまり積極的でなかった一部の従業員や役員の考え方も変わったように感じます。

今後の課題・展望
さらなる意識改革を進め、真のリーダーを育成する

 これまでのダイバーシティ推進に関する取組の結果として、新卒採用に関しては以前よりも女性のエントリー数が増えました。また、女性が仕事を続けやすい職場環境の整備は、介護や通院が必要な従業員にとっても有益であるほか、障がい者雇用にも活かせる点が多くあります。
 今後は、ダイバーシティ推進に関する従業員の意識改革をさらに進め、男女ともに真のリーダーを育成することが目標だと考えています。女性従業員には仕事のさまざまな局面でリーダーシップを発揮してほしいと考えていますし、男性従業員も女性の活躍推進に関して当事者意識を持ち、家事や育児を積極的に行うことが必要です。具体的な目標としては、女性のグループ役員比率を40%にすることを掲げています。

従業員の声 制度利用者の声画像

女性の活躍を積極的に支援する経営の本気度を肌で感じられる社風

株式会社イースト・デイリー 営業部
部長 戸松 紗弥佳さん

北欧研修で得られた気づきが自分の考え方を変えるきっかけに

 新卒入社で当社の営業部に配属となり、2015年に産前産後休業と育児休業を取得後、2016年に復職して現在入社19年目です。2012年に参加した北欧研修では、14日間でフィンランド、デンマーク、スウェーデンの5企業と3つの行政や団体を訪問し、大きな気づきを得ることができました。以前は結婚したら仕事を辞めようと思っていましたが、北欧研修の際にお話をした女性から、「結婚してパートナーに人生を預けるのは不安じゃない?」と言われたことを機に考え方が変わりました。例えば、結婚を機に仕事を辞めて、万一パートナーが病気などで働けなくなった場合に自分が仕事をしていなかったらどうかということを自問自答し、健康でいる限りは仕事を続けどのようなライフステージでも「自立した一人の人間」でいようと考えるようになりました。
 2019年のアメリカ研修には、未就学児だった娘を連れて参加しました。北欧研修とアメリカ研修で意見交換した女性からは、「仕事を続けた結果、気が付いたら今のポジションになっていた。」という意見を多く聞きました。20代の頃は自分の価値観について深く考える機会がありませんでしたが、30代で参加した北欧研修やアメリカ研修での気づきや、出産を機に価値観がシンプルになりました。キャリア形成に関しては、自分の力を正しく理解し、得意・不得意分野を見極めて、大きな局面では意思表示を明確にすることを心掛けています。そして、チャンスが来たらやってみることも大切だと思います。私の場合も、仕事を続けた結果としてチャンスが与えられ、仕事の成果が評価されて今に至ると感じています。

 当社はテレワークなどの環境整備が充実していますが、女性がライフステージに合わせた柔軟な働き方を実現するために一番大事なのは経営トップの意識だと思います。DACグループの場合、政府が女性活躍推進法を制定する前から、社長が女性の活躍を積極的に支援するという強い意志を持っていました。入社以来、そうした経営トップの本気度を肌で感じることができるからこそ、私も仕事を続けてこられたと思いますし、仕事の現場が好きで、仕事を楽しく感じています。
 今後は沢山の機会で得た価値観・考え方を社内はもちろん、社外にも発信し継承していくことが使命だと感じています。少しでも女性自身が自立した考え方を持てるように発信し、何より私自身が行動で示していくことが大切だと思います。これからも環境のせいにせず、明るい未来を切り開いていけるよう自分自身の決断と選択に責任をもって楽しんでいきます。

従業員の声 制度利用者の声画像

株式会社デイリー・インフォメーション関西 営業部
次長 藤部 真琴さん

アメリカ研修で文化の違いを感じても、仕事に対するポジティブな気持ちは変わらない

 2012年に新卒で入社して以来、営業部に所属し、求人広告の営業を担当しています。私は2019年に女性幹部候補育成のための研修に参加し、ニューヨークを中心としたアメリカへ行きました。現地では、保険会社でIT関連職をしている女性や弁護士の女性等、現地で活躍されている様々な女性からお話を聞かせていただきました。年俸制や実力主義の文化の中で、お話をした女性たちが強い責任感を持って仕事をしていることを感じました。意見交換を通じて、現地の文化に日本とは異なる点があることを実感し、欧米の制度をそのまま日本で取り入れることは難しいと感じたものの、良い刺激を受けることができ、研修に参加する前も後も、仕事に対するポジティブな気持ちを持ち続けています。

 キャリア形成に関しては、何より仕事で結果を出すことが大事だと考えています。私の場合、最初から昇進や役職を意識していたわけではなく、与えられた仕事に対しがむしゃらに取り組んだ結果を評価いただき、キャリアアップすることができました。当社では、以前から多くの女性が仕事で結果を出して評価されており、入社してから仕事で与えられるステージに関する男女差を感じたことは一度もありません。男女を問わず意見を言える風土が根付いているため、仕事をするうえで性別を意識することは全くありません。会社が性別にかかわらず従業員のパフォーマンスにきちんと目を向け、結果を公平に評価してチャンスを提供し、大きな責任を与えてくれることに感謝しています。
 今までは、与えられた仕事で結果を出すことを重視してきましたが、今期から次長になり、改めて責任の大きさを強く実感しています。今は与えられた役職に対する不安もありますが、あまり焦らず、しっかり成長することを意識しながら、次の仕事やチャンスに向けた準備を着実に行っていきたいと思っています。

(データの取材時点:2021年10月)

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