女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集

厚生労働省

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2021年度

勇心酒造株式会社 (製造業)

男女均等な採用選考や管理職登用を徹底することにより、女性のキャリア形成を支援しています

認定マーク

企業プロフィール

設立
1979年
本社所在地
香川県綾歌郡
事業内容
清酒、化粧品の製造販売
従業員数
126名(うち女性71名)
企業認定・表彰等
えるぼし(認定段階3)

取組内容

女性活躍推進女性職域拡大女性採用拡大仕事と育児の両立支援

特徴的な制度・取組など

  • 性別を問わず個人の能力に応じた採用や管理職への登用を行う。

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インタビュー

  • 総務部 部長補佐
    谷本 享三さん

取組のきっかけ・経緯
自然体で定着してきた男女平等の意識と主力事業の転換

 当社はもともと造り酒屋から始まっており、家族経営の側面もあったことから従業員も家族と考え、男女平等の感覚が自然体で定着しています。性別によって役割分担をするという意識がなく、優秀な人材を登用し、個人の能力に応じて仕事を任せるという文化が脈々と受け継がれてきました。約20年前、日本酒作りを通じて得た知見から、「米の発酵エキスの浸透力が化粧品に活用できるのではないか」という女性従業員からの声があり、化粧品の製造を始めたところ、今では売上の98%程度を占める当社の主力事業になりました。化粧品の製造や販売、コールセンターでの業務等に女性が多く配属されるようになり、女性の採用や管理職登用にもつながっています。日本酒造りが主力事業であったときは杜氏など男性従業員が大半でしたが、化粧品の製造販売をきっかけに女性従業員が増え、現在では女性従業員比率は56%となっています。

具体的な取組の内容
経営層による男女平等の採用や管理職登用の実践

 当社では、採用や管理職登用の際も性別にかかわらず個人の能力を見極めて判断しています。人事労務担当者として、採用応募者に対する当社の経営層の評価を見ていると、そのように判断していることがよく分かります。また、計画期間が2022年6月までの一般事業主行動計画では、経営層の理解を得て、「管理職(グループ長補佐以上)の女性社員を7名以上とし、その女性割合を30%以上とする」ことを目標に設定しました。実際に、現在のグループ長補佐は半数程度が女性で、女性のグループ長も活躍しており、目標の達成に向けて前進しています。
 これらの取組は、女性が自然体で活躍してくれることは当社にとってもプラスになるし、女性に長く勤めてほしいという考えが経営層にあるからだと思います。一般的には営業や研究職に従事する女性は少ないと言われますが、当社の場合、営業部は8割程度、研究職は半数程度と女性が多く在籍しています。原液の調合を行うことがある開発職では男性従業員が多いなど、まだ部署によって性別の偏りがありますが、経営層が、男女を均等に取り扱うという考えに寄り添った雰囲気づくりをしていることを従業員は強く感じています。

取組の成果・取組を進めたことによる効果等
えるぼし認定取得による女性の採用応募者の増加と従業員のモチベーションアップ

 特に化粧品の製造を始めてからは女性の採用応募者が増えましたが、えるぼし認定の取得も女性の応募者増加の一つの要因であると考えています。香川県からの勧めもあってえるぼし認定を申請したところ、最高ランクの3段階目の認定を県内で2番目に受けることができました。香川県が作る冊子や地元紙から取材でお声がけいただくことが増え、社内では当然と考えていた取組が外部からの評価を受けたことは、中小企業である当社にとっては大きなアピールになり、従業員のモチベーションアップにもつながっています。
 えるぼし認定取得の影響もあり、今では採用応募者の7割を女性が占めるようになりました。性別ではなく個人の能力を考慮した採用を行っていますが、応募者自体に女性が多く、2021年4月の新卒採用者がすべて女性だったなど、採用者の女性比率は増加傾向にあります。当社では研究開発が重要であるため、理系の大学や女子学生に対して研究職や開発職への応募を積極的に働きかけていますが、最近では、米という自然由来の原料を使った研究開発に魅力を感じた全国の学生からの応募もあります。応募者から直接えるぼし認定について聞かれたことはないものの、育児休業の取りやすさや復職等に関する質問は毎年増えており、その重要性と効果を認識しています。

取組を進めるにあたっての工夫・苦労
育児休業経験者の発案で産前産後休業や育児休業前後の事務手続一覧を作成

 女性にとって出産や育児などのライフイベントは退職のきっかけになることもあるため、当社では育児休業を取得しやすい環境づくりを行ってきました。しかし、育児休業取得の際に必要な事務手続は、労務担当者から本人への案内に基づき、都度対応しており、育児休業取得者にとって全体像が見えないものでした。そこで、育児休業から復帰した従業員が産前産後休業や育児休業前後に必要な事務手続や給付金申請の一覧表を作成し、休業取得者に配布するようにしたところ、先輩従業員の経験を踏まえた資料であることから、社内からも分かりやすいと好評で、出産や育児が女性のキャリアの中断につながらないことに貢献しています。

今後の課題・展望
女性の役員登用を見据えて、女性管理職の登用・育成に取り組みます

 以前は女性部長の執行役員が2名いましたが、現在は女性役員が不在の状態です。今の管理職や準管理職が成長していけば、執行役員や部長などの立場にキャリアアップしていくことは十分に考えられますし、それはごく自然のことと思います。
 課題としては、男性の育児休業取得の促進が挙げられます。女性の取得率はしばらく100%が続いていますが、男性利用者は少ないという現状があります。真の意味での男女平等を目指し、男性も当たり前に利用できるような企業文化の醸成に向けて制度導入を検討しており、性別にかかわらず誰もが活躍できる環境の整備に努めていきたいと思います。

従業員の声 制度利用者の声画像

できるだけ長く働いて、部下の育成を通じて会社に貢献していきたいです

総務部 グループ長補佐
谷川 絵美さん

部下の育成のため、業務の分散や多能化、自己啓発に取り組んでいます

 2004年の入社以来、2回の産前産後休業・育児休業を取得し、総務部で人事労務や庶務、経理を担当してきました。入社後しばらくは上司と二人で担当していましたが、最近は4人の後輩を持つようになり、業務の分散や多能化による部下の育成・教育を期待され、グループ長補佐への昇格を打診されました。上司から昇格の話があった時は、大きな気持ちの変化はありませんでしたが、責任が増すことを感じました。
 キャリア形成にあたっては、労務や総務を担当しているため、法改正への対応が必要になることから、業務に役立てるための情報収集や勉強を自主的に行っています。給与や労務関係、IT関連など、社外の研修を受講することもあります。社外の研修は自分から申告することができ、会社に費用を負担してもらえるので、研修を通じて得たことを部下や社内に共有・還元しています。

自分の経験をできるだけ後輩に伝えていきたい

 産前産後休業や育児休業前後の事務手続の一覧表は、これから休暇を取得する後輩が不安にならないよう、上司に相談して自発的に作成しました。作成の際は、顧問社会保険労務士の協力も得ながら、自分の経験をもとに必要な事務手続や育児休業給付金の内容を分かりやすくまとめました。この一覧表は今も運用しており、後輩従業員からも安心して休業・復帰できるとの声を多くもらっています。
 私は、今後もできるだけ長く働き、部下の育成を通じて会社に貢献していきたいと考えています。私がこれまで仕事を続けてこられたのは、家族や上司、同僚の理解やバックアップがあったからです。このため、後輩には、いつでも相談してもらえるように声掛けをよくしています。キャリアアップには知識や経験、成功体験を積むことが自信につながり重要と考えています。以上の経験等を後輩に継承し、キャリア育成・成長を支援していくことが私の使命と考えています。

(データの取材時点:2021年11月)

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