女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集

厚生労働省

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2021年度

アルプススチール株式会社 (製造業)

資格取得や柔軟な働き方の実現により女性従業員の活躍を積極的に支援しています

認定マーク

企業プロフィール

設立
1949年
本社所在地
愛知県名古屋市
事業内容
スチール製オフィス家具製造・販売業
従業員数
174名(うち女性50名)
企業認定・表彰等
くるみん認定、えるぼし(認定段階3)、ユースエール認定、ダイバーシティ経営企業100選 / 新・ダイバーシティ経営企業100選

取組内容

女性活躍推進女性職域拡大女性管理職登用女性採用拡大

特徴的な制度・取組など

  • 製造現場でも女性従業員3割を維持し、男女ともに働きやすい職場環境を目指す。
  • 女性従業員が能力を最大限に発揮できるよう、資格取得や柔軟な働き方の実現を積極的に支援する。

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インタビュー

  • アルプススチール株式会社
    代表取締役社長
    長谷川 茂さん

取組のきっかけ・経緯
「社員は財産」という考え方のもと、男女ともに働きやすい職場環境づくりを目指して

 当社は30年以上前から従業員の男女比率が7:3でしたが、20年近く前に、役職に就いている従業員が男性ばかりだった当時の状況を疑問視する声が社内で上がりました。そこで、従業員に実力があり本人も挑戦する意思がある場合には、男女を問わず責任のある仕事を積極的に任せ、現在は主任以上の従業員の男女比も会社全体の男女比率と同様の7:3になるよう努めています。
 数年前には、それまで女性だけで発案・開発した製品がなかったことから、社内で参加を希望する女性従業員のチームを作り、製品開発と実用新案や商標登録などの知的財産業務を全て女性従業員に任せるプロジェクトを実施しました。その結果として、女性が使いやすい色やデザインを採用した女性向けロッカーを2020年から販売しています。このプロジェクトには社内のさまざまな部署から女性従業員が参加しましたが、チームに参加しなかった製造現場の女性従業員からも、女性が開発した製品の製造に携わることができてうれしいという声を聞くことができました。

具体的な取組の内容
女性従業員が能力を最大限に発揮することができるよう、資格の取得や柔軟な働き方の実現を積極的に支援

 製造現場では、設備を操作・運転するために必要不可欠なさまざまな資格があります。当社は、男性従業員と同様、女性従業員にもフォークリフトやクレーンなどの資格取得を積極的に呼びかけ、就業時間内での講習受講を認めているほか、講習受講および受験費用を全額会社負担として、資格取得者における女性割合の向上を目指しています。
 また、配偶者の転勤による転居を理由に退職を申し出た女性従業員に対して、会社側からテレワークを打診しました。その結果、当該従業員は就業を継続し、テレワークを活用して首都圏で働く第一号の従業員が登場しました。会社としては、従業員の個別の事情に対してできる限り臨機応変に対応し、必要に応じて制度が無くても運用で柔軟な働き方を認めていますが、今後は柔軟な働き方の実現に向けた規程の整備も進めていきたいと考えています。

取組の成果・取組を進めたことによる効果等
多様な人材が活躍できる職場へ

 女性の活躍推進に関して、会社として何か特別なことを行っているとは思っていませんが、「社員は財産」という考え方のもと、産前産後休業や育児休業、育児短時間勤務などを利用しやすい環境を整え、男女ともに働きやすい職場環境の実現を目指しています。その結果、現在はプレスや溶接を中心とした製造現場でも女性従業員3割を維持しています。
 また、当社では、性別はもちろんのこと年齢や障がいの有無にかかわらず多様な人材が活躍できる職場環境を目指しています。例えば、当社の定年は60歳ですが、男女を問わず65歳までは定年後嘱託社員としてフルタイムで勤務できるほか、75歳まで働くことが可能です。現在、当社にはパートタイムやアルバイトで働く従業員はおらず、定年後嘱託社員以外は全員が正社員で、若手からベテランまで多様な年代の従業員が一緒に仕事をしています。

取組を進めるにあたっての工夫・苦労
男女ともに働きやすい職場環境を実現するための風土づくり

 女性が能力を最大限に発揮して活躍するには、周囲のサポートが必要な場面があると思いますが、その一つに男性側の理解や協力が挙げられると思います。当社では、男性従業員の育児休業取得を積極的に呼びかけており、配偶者が出産予定の男性従業員に対して、社長が自ら面談を行い育児休業制度の利用を促しています。その結果、ここ数年は男性の育児休業取得率100%を達成しています。男性の育児休業期間は、概ね1週間から2週間です。
 私自身、子どもがまだ小さかった頃に仕事を休めたら助かると感じたことがありますが、当時は男性が育児休業を取るといった風土がありませんでした。今は社会的に男性の育児休業取得を推進していますので、当社の男性従業員にも育児休業を積極的に取得してほしいと考えています。男性が育児休業を取得しやすい環境は、男女ともに働きやすい職場と言えると思います。
 また、通常業務以外のプロジェクトを実施する際には、女性が1人だけだと積極的に参加することが難しいこともあると思いますので、なるべく女性が複数人で参加できるように工夫しています。プロジェクト・チームを作る際にも、できる限り男女に偏りがないように心掛けています。

今後の課題・展望
ダイバーシティの推進に関して評価されている点を維持する努力を怠らない

 女性の活躍推進やダイバーシティの推進に関して、最近では2021年10月に愛知県による「あいち女性輝きカンパニー」優秀賞に選定されたほか、これまでに多くの賞を頂くことができました。賞の受賞は、あくまでも取組の結果であり目的ではありませんので、会社としては高く評価して頂いた点を維持する努力を続けることに価値があり、できれば今より向上できるよう努力することが大切だと考えています。
 また、女性の管理職登用に際しては、ポジティブな気持ちを持って管理職に挑戦してほしいと思いますので、時間がかかっても本人の意思を尊重するように心掛けています。今後も、大きな責任を任された女性従業員がプレッシャーに押しつぶされてしまうことがないよう注視しながら、女性従業員の成長や活躍を積極的に支援したいと思います。

従業員の声 制度利用者の声画像

ワーク・ライフ・バランスの充実を重視する社風

経理部 主任
原 麗美さん

女性が働きやすい環境であることを実感できる職場

 中途採用で入社し、最初は受注管理センターで仕事をしていましたが、2019年から経理部に異動し、現在は経理の仕事を担当しています。異動は会社から打診され、自分でも考えた結果、それまでとは違う新しい業務に挑戦してみようと思って異動を引き受けました。受注管理の仕事では社外のお客様とのやり取りがメインだったのに対して、経理部では社内の従業員とのやり取りが多く、大変なこともありますが、今は仕事にやりがいを感じています。
 当社が女性の活躍支援に積極的であることは、入社してから初めて知りました。以前は昇進への意識が特にありませんでしたが、経理部の上司が女性であることに加えて、女性管理職として働いている方もいるので、働いていく中で自然と、昇進について考えるようになりました。また、すぐ近くの席で仕事をしている他部署の女性は2人目の子どもの出産と育児のために2回目の育児休業を約2年間取得して最近復職し、短時間勤務をしています。そうした女性従業員の姿を実際に見ているので、女性が働きやすい職場環境であることを実感していますし、自分も今後ライフステージに変化があっても働き続けることができるだろうと考えています。
 また、社長が事あるごとに、従業員に対して休暇を取るようにというメッセージを発しているうえ、上司からも月に1日は有給休暇を取得するように言われています。実際に、上司も月に1日は有給休暇を取っているので、休みやすい職場環境です。ワーク・ライフ・バランスが充実していることも、入社してから実感した当社の特徴です。
 仕事をするうえでは、社内の関連部署の従業員とのコミュニケーションを大切にしています。日頃から挨拶をし、何気ないことでも話をするように意識して、必要な時に話がしやすいような関係づくりを心掛けています。上司が自分の分からないことを何でも教えてくれて大変心強いので、今後は今以上に仕事の幅を広げるためにも仕事に役立つ資格の取得に挑戦したいと思っています。

(データの取材時点:2021年11月)

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