女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集

厚生労働省

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2018年度

ホシザキ東北株式会社 (卸売業、小売業)

数値目標の設定と営業所ごとの取組の見える化により、10年をかけて社風を改革

認定マーク

企業プロフィール

設立
1974年
本社所在地
宮城県仙台市
事業内容
卸売業、小売業(各種業務用厨房機器の販売およびメンテナンス業務)
従業員数
502人(うち女性112人)
企業認定・表彰等
くるみん認定、プラチナくるみん認定、えるぼし(認定段階2)、均等・両立推進企業表彰

取組内容

仕事と育児の両立支援男性育児参画女性活躍推進

特徴的な制度・取組など

  • 取組開始当初はくるみん認定取得を目標とし、2015年に全国で初めてプラチナくるみん認定を取得。
  • 数値目標の設定と営業所ごとの取組の見える化により着実な成果につなげ、退職者数の減少と高い従業員満足度を実現。
  • 男女ともに育児休業を取得し要件を満たした者に育児休業奨励金を給付。結果として男性育児休業取得が定着化。

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インタビュー

  • 管理部 総務課
    課長代理
    高橋 真弓さん

取組のきっかけ・経緯
くるみん認定取得を明確な目標として取組を開始

 業務用厨房機器の販売と保守管理を行う当社は、男性従業員が8割を占め、15年前は慢性的に退社時間が遅く、休みが取れない職場でした。当時の従業員数は400名程度でしたが、退職者は70~80名に上る年もある状況でした。 また、女性従業員は結婚・出産を機に辞めるのが慣例となっており、当時結婚した私の前には、新卒で入社して育児休業を取得した先輩女性はいませんでした。このままでは、後輩の女性たちも続けていけないと思い、自分が先例になればと2005年に育児休業を取得し、2006年に育児短時間勤務で職場復帰しました。
 ちょうどその頃、2005年4月に次世代育成支援対策推進法が施行されたことにより仕事と子育てに関する行動計画を策定し、具体的な目標を持って労務管理にも取り組むことが義務づけられました。また、行動計画に定めた目標を達成し、一定の基準を満たすと、厚生労働省から子育てサポート企業としてくるみん認定が取得できることを知り、企業PRにもなる上、総務課に所属していた自分の具体的な取組目標になると思い、2007年に、くるみん認定の取得を個人目標として設定しました。くるみん認定取得のメリットについては、想定される効果を試算して社長にプレゼンテーションを行い、個人目標から全社の取組目標として、社長からの働きかけも得られるようになりました。

具体的な制度の内容
毎月全社に数値目標の進捗を公表し、取組を見える化

 当社は販売会社で、外回り中心の営業・サービスが多い中、現場では休みを取ることに抵抗がありましたが、くるみん認定取得に向けて、年次有給休暇取得率を70%以上とすることを全社目標としました。
 当社の取組の特徴は、販売会社ならではの風土を生かし、明確な数値目標を設定して、 その進捗を毎月全社に配信することで、取組の見える化を図っている点です。当社は、東北6県に33営業所を有していますが、営業所ごと、県ごとに、有給休暇取得の推進状況を取りまとめています。きめ細かく毎月の状況を公表することで、社員の意識を高めるとともに、営業所間での横並びを意識することで、全体の取組レベルの底上げにもつながっていると感じています。有給休暇取得の推進に向けては、毎月、経営幹部や営業所長からのメッセージを付して当該月が誕生日の従業員一覧をメール配信し、バースデー・メモリアル休暇の推進を行っています。有給取得率が低い営業所の上司からメッセージを寄せてもらうことにより、現場の意識改革にもつながっています。
 その他、ワーク・ライフ・バランスに向けた取組としては、月に4回以上の早帰りを目標として設定し、毎週水曜日に定時退社推進メールを発信しています。早帰りについても部門別に実施状況を数値化し、目標に対する達成割合を月次で公表しています。また、育児休業の推進にも取り組んでいますが、特に男性の育休取得推進に当たり、男性従業員にヒアリングを行ったところ、休みを取ることによる売上目標への影響や家計への負担、周りに迷惑をかけるのではないかといった懸念から、取得を躊躇していることが分かりました。そこで、育児休業を取得し一定の要件を満たした従業員に奨励金を支給する「育児休業奨励金制度」を導入しました。男性従業員については原則2週間以上の取得を要件とし、併せて育児休業を取得した経緯、育児の様子、取得をした感想等をまとめた「育児休業レポート」を提出してもらうことにしました。育児休業レポートは、上司からのコメント付きで全社にメール配信し、配信したレポートはイントラネットからいつでも閲覧できるようにしています。また、上司、同僚、総務課、時には社長から、育休取得の声がけを行い、育休取得が「特別なこと」から「当たり前なこと」として浸透させてきました。

制度導入による効果等
会社に誇りを持ち、社員がイキイキしている会社へ

 こうした取組の結果、2004年時点では10%台だった有給休暇取得率は、2013年以降は70%以上となり、2016年には約77%となりました。また、2016年の育児休業取得率は、女性は100%、男性は33%(2016年に7人取得)となっています。結果として、男性の育児休業も定着してきたことで、子育てをしている女性への職場の理解も進みました。
  また、2005年からぶれずに取組を続けてきた結果として、2012年にくるみん認定を取得し、2015年4月には、全国初のプラチナくるみん認定も取得することができました。報道関係からの取材依頼が増加し、企業のイメージアップを図れたことから、優秀な人材の確保にもつながっています。同時に、売上は2004年から約1.5倍となり、年間の退職者は一桁台に減少、ホシザキグループの15の国内販売会社の中で、取組前は従業員満足度が最下位に近い順位だったところ、2012年以降には、1位を獲れる会社となりました。従業員の会社への感謝の気持ちやモチベーションがアップすることで、より生産性の高い働き方ができるようになってきていると感じています。

今後の課題・展望
全ての社員が働きやすい職場を目指して、企業と社員のWIN×WINの関係を目指します

 育児休業奨励金制度の導入もあって、男女ともに育休取得が当たり前になってきたところで、さらに男性の育休取得100%を目指して、2018年からは奨励金制度に代えて、出産をお祝いするトップメッセージとともに、 商品券を直接ご自宅にお届けしています。男性の育休取得を会社として支援しているというメッセージをより直接的にご家族に伝え、男性従業員の育休取得を家族からも後押ししてもらいたいと考えています。
 また、女性が活躍できる職場は全ての社員が働きやすい職場であるとの方針のもと、女性の活躍推進にも取り組んでいます。当社では、新卒採用者に占める女性割合は一定水準(直近5年間平均30%以上)に達し、就業継続も進んできましたが、管理職に占める女性の割合が低く、女性のキャリア形成を図っていくことが課題となっています。このため、キャリア意識の醸成、管理職育成を目的として、仙台市が主催する「女性リーダー・トレーニング・プログラム」に毎年参加するとともに、女性営業職向けには、「マインドアップ&スキルアップ講座」を開催しています。また、管理職向けに外部講師による女性社員の活躍推進セミナーを開催し、男性管理職の意識改革にも取り組んでいます。
 今後は、育児や介護といった特定の理由がある従業員だけでなく、全従業員が早く帰れる、休みやすい会社を目指して、働き方改革に取り組んでいきます。

制度利用者の声制度利用者の声画像

後に続く女性営業職のロールモデルとして実績を作りたい

ケータリング課 主任
三浦 絵里子さん

お世話になった人たちに恩返しをしていきたい

 私は2018年4月に、第2子の育休から復帰し、所定労働時間を1時間短縮した育児短時間勤務で営業職として働いています。
 私が入社した10年ほど前は、当社は退職者が多く、人材が定着していない時期でした。特に女性の営業職はまだ非常に少なく、現場でも女性はすぐに辞めてしまうのではないかと思われていました。 そのため、当社で働き続けていくことにイメージが持てず、悩んだ時期もありましたが、育休を取得していた総務課の高橋さんに声をかけていただいたり、妊娠が分かった時に相談した上司に、育休の間の要員は会社が考えることで、自分のことを第一に考えるように言っていただいたことで、働き続けていっていいと思えるようになりました。また、くるみんマークを見て、当社はくるみん認定を取得している企業だから、育休を取得するのは当たり前だと思っていいと思えました。
 仕事ができるようになるとともに、自信も持てるようになり、営業職の女性として当社で一番長い社員となった今は、皆さんにここまで育てていただいたことに恩返しをしたいという気持ちで日々頑張っています。

子育てをして広がった視野、人と違う貢献の仕方があってもいい

 2人の子育てをしながら短時間勤務をしている中、働き方は自然と変わりました。業務の緊急性と重要性を踏まえて、優先順位を明確にすることや、 資料や見積もりを事前に送り、会った時にすぐに商談できる環境を整えるなどの工夫をしています。また、外回りから営業所に戻った後の時間が限られてしまうため、普段からコミュニケーションを意識的に取り、周りの人が自分の仕事をフォローできるようにしておくようにするとともに、イライラせずに明るく楽しい雰囲気で仕事ができるように心がけています。子育てをして視野が広がった今は、男性が多い会社の中で、子育てをしているから同じように仕事ができないと考えてしまうのではなく、違う貢献の仕方もあるのではないかと思うようになりました。私のような女性がいてもいい、もっと欲張りに生きてもいいのかなと思っています。

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