女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集

厚生労働省

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2021年度

大谷製鉄株式会社 (製造業)

従業員が安心して働き続けられる会社を目指し、一人ひとりに寄り添った柔軟な制度づくりに取り組んでいます

認定マーク

企業プロフィール

設立
1969年
本社所在地
富山県射水市
事業内容
製造業(普通網電炉による鉄鋼製品の製造・販売)
従業員数
261名(うち女性29名)
企業認定・表彰等
くるみん認定

取組内容

仕事と介護の両立支援

特徴的な制度・取組など

  • 従業員のニーズに寄り添い、個々の事情に対応できる柔軟で使いやすい制度を整備。
  • 育児・介護休業給付金上乗せ手当として、休業給付金の10%を支給。
  • 従業員への説明会実施、社内報の自宅直送など、従業員とその家族に向けての制度周知を徹底。

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インタビュー

  • 人事労務部
    今井 優さん(右)
    田中 小百合さん(左)

取組のきっかけ・経緯
従業員と家族が安心して生活を送れるよう、先回りして介護課題への準備を進める

 当社では「会社は小さな社会、大きな家族」という考えのもと、「会社の最も大切な資源」である従業員が活き活きと働き続けることができる会社を目指して、仕事と家庭の両立支援を進めています。当社は約260名の従業員のほとんどが1つの事業所で働いており、従業員一人ひとりの「顔が見える」、家族のような存在です。従業員とその家族が安心して生活を送れるように、一人ひとりの事情に配慮した柔軟な働き方を可能にするべきだという経営者の強い思いをもとに、従業員のニーズを先取りし、制度を整備しておくことを心掛けています。特に介護については、ある日突然、従業員が直面するかもしれないという考えのもと、先回りして制度を整えてきました。

具体的な取組の内容
法定以上の制度に加えて個々のニーズに対応できる柔軟で使いやすい制度を整備

 仕事と介護の両立支援制度については、制度を利用する従業員によって事情が異なるため、柔軟さと使いやすさを重視して設計しています。
 ・介護休業
 対象家族1人につき、通算365日間取得することができます。(3回まで分割可能)
 ・介護短時間勤務
 対象家族1人につき、通算3年間取得することができます。(3回まで分割可能)
 より柔軟に個々の事情に対応できるよう、15分単位で勤務時間の短縮を可能としました。


 ・積立有給休暇
 失効する年次有給休暇を年間10日間まで積み立てて、最大70日間(連続では30日間まで)家族の介護のために利用することができます。介護以外にも、育児、1週間以上入院が必要な私傷病、ボランティア活動、不妊治療のために利用が可能です。
 ・育児・介護休業給付金上乗せ手当
 育児や介護で休業中の従業員を経済面でサポートするため、育児休業給付金や介護休業給付金の受給期間に休業開始時賃金月額の10%を支給しています。
 ・在宅勤務
 新型コロナウイルス流行をきっかけに在宅勤務が可能な環境を整え、育児や介護で必要な場合にも活用されています。

取組の成果・取組を進めたことによる効果等
充実した介護制度がキャリアビジョンを描く上での安心感に

 介護のための短時間勤務制度や介護休暇等を利用し、実際に離職せずに済んだケースがあります。従業員から「制度を利用する前は、仕事を続けられるかどうか不安だった」と、後に聞いた時は、ほっとしました。当社としても、長く働き続けてもらうことでスキルや能力を伸ばし、従業員のキャリアアップをサポートしたいという思いがあります。
 また、介護に直面していない若い従業員にとっても、充実した制度や制度利用の実績があることは、キャリアビジョンを描く上での安心感につながると考えています。

取組を進めるにあたっての工夫・苦労
両立支援制度を従業員とその家族にも理解してもらうことで、制度を利用しやすく

 従業員が両立支援制度を知らずに一人で悩んだり、一人で退職を決めてしまうことを防ぐためにも、制度周知や相談体制は重要です。制度周知の工夫として、介護に限らず、定期的に福利厚生制度や規則改定の説明会を実施しています。
 ・社内報を通じて従業員の家族へも制度を周知
 過去に介護に関する制度を全面改定した際は、社内報を利用して周知しました。社内報は自宅に送っているため、従業員本人だけではなく、家族にも会社の制度を知ってもらう機会として活用しています。また、何かあった時にはすぐに人事労務部や上司に相談できるよう、従業員出入口の掲示板に、介護や出産・育児、慶弔時の相談窓口一覧を掲示しています。

社内報
 ・相談しやすい雰囲気づくりで、潜在的なニーズを把握
 取組の難しさという点では、介護に関わる家族の事情を従業員が相談してくれるとは限らず、潜在的なニーズについては把握しにくいと感じています。そこで、定期的に健康状態や家族の状況などを書面で申告する機会を設けるだけでなく、それ以外でも仕事と家庭の両立で悩む従業員に気づくことができるように、普段の何気ないコミュニケーションを大切にし、気軽に相談してもらえるような雰囲気づくりを心掛けています。









今後の課題・展望
好事例を活かして自社に反映、従業員一人ひとりに寄り添った環境づくりを

 介護に限らず、家庭との両立で急な休みや早退、長期休業等が必要となる場合には職場の理解やサポートは不可欠なため、万一に備えてジョブローテーションを行い、多能工化を進めておく必要性を感じています。また、介護と育児のダブルケアへの対応も想定しなければなりません。法改正への対応はもちろんですが、他社の好事例や更なる社内のニーズを確認しながら、従業員に寄り添える制度設計や運用を目指していきます。

制度利用者の声

仕事の働きがいがあるから、介護と育児のバランスがとれています。

Aさん


両立支援制度と制度を利用しやすい職場があったから仕事を続けられました。

 家族の介護と育児のため、休暇や在宅勤務、短時間勤務を組み合わせて両立支援制度を利用しています。以前から育児のために短時間勤務をしていましたが、親の通院の付き添いが必要となり、介護休暇制度を利用することになりました。家庭と仕事の両立は大変になりましたが、仕事は続けたいと思い、上司や人事労務部に相談しました。
 当社に介護に関する手厚い制度があり、また利用しやすい職場の雰囲気があったことで、仕事を続けることができ、私も家族も感謝しています。時間のやりくりは大変ですが、家庭だけではなく、仕事の働きがいがあることで、気持ちのバランスが取れていると思っています。
 今は職場の皆さんに配慮していただいていますが、逆の立場になった時には、相談に乗ったり、サポートをしたいと思っています。  

(データの取材時点:2021年11月)

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