女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集

厚生労働省

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2021年度

ピジョン株式会社 (製造業)

各種制度づくりにより従業員の仕事と家庭の両立をサポート

認定マーク

企業プロフィール

設立
1957年
本社所在地
東京都中央区
事業内容
製造業(その他製品)
従業員数
368名(うち女性150名)
企業認定・表彰等
くるみん認定、プラチナくるみん認定、えるぼし(認定段階3)

取組内容

男性育児参画仕事と育児の両立支援

特徴的な制度・取組など

  • 従業員の仕事と家庭の両立をサポートするさまざまな特別休暇制度の導入。
  • テレワーク制度やフレックスタイム制度により、育児に参画しやすい環境を実現。
  • 育児を業務の一環として評価する「育児レポート」の導入。

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インタビュー

  • 人事部人事労務グループ
    渡辺 雪香さん

取組のきっかけ・経緯
男性従業員の育児休業取得の低さが課題

 当社は育児用品を取り扱う会社のため、昔から従業員の仕事と育児の両立については会社も意識が高かったのですが、従業員構成は女性よりも男性の方が多いにもかかわらず、男性従業員が育児休業を取得するケースはほとんどありませんでした。人事部としては、両立できる環境があるのに、男性従業員が育児休業をほとんど取得しないことは課題と考え、どうしたらより多くの男性従業員に育児休業を取得してもらえるか、と考えるようになりました。

具体的な取組の内容
仕事と育児・家庭の両立に寄与する各種制度

 当社では、以下のような制度を設けて、従業員の仕事と育児・家庭の両立を支援しています。

 ・特別休暇・休職制度
 当社では育児をはじめとしたワーク・ライフ・バランスに関するさまざまな特別休暇・休職制度を定めています。
 ▶ 「ひとつきいっしょ」
 2006年に導入された制度で、従業員が1か月間育児休業を特別休暇(有給)で取得できる制度です。1か月のうち半分は特別休暇を付与し、残りは積立休暇(失効した有給休暇)を利用するもので、出産後から子どもが1歳6か月になるまでの間に取得のタイミングを自由に選択できます。

 ▶ ライフデザイン休暇・休職
 2015年に導入された制度で、不妊治療や養子縁組のために使用できる特別休暇・休職制度です。休暇の場合は積立休暇(積立日数最大60日)を使用するので、保有している日数内であれば取得日数の制限はありません。休職の場合は無給となりますが、最大2年間休職でき、2回までの分割取得も可能です。(1回の期間の定め無し)
 ▶ 出産立ち合い休暇・出産応援休暇
 配偶者の出産応援のための休暇制度で、出産立ち合い休暇は出産前後2週間以内の期間に特別休暇(有給)を最大5日間付与し、出産応援休暇は出産前後6週間以内の期間に積立休暇(有給)を利用し最大5日間の休暇取得が可能です。

 ・テレワーク勤務制度
 本制度を導入した2015年当初は、育児・介護等の理由がある従業員が対象でしたが、2019年から制度を改定し、利用理由は問わず全従業員が利用できるようになりました。

 ・コアレスフレックスタイム制度
 当社では従業員がより働きやすいよう、コアタイム(必ず勤務しなければならない時間帯)なしのフレックスタイム制度を導入しています。フレックスの対象時間は7時30分から18時45分の間となっており、この時間内であれば自由に設定でき、1か月で所定の労働時間を満たせばよい仕組みとなっています。本制度はテレワーク制度との併用も可能です。
 なお、テレワーク勤務制度・コアレスフレックスタイム制度ともに、制度利用の際には勤怠システムにて事前申請が必要です。

仕事と家庭の両立のための各種取組

・育児レポート
 当社では1歳6か月までの子どもを持つ従業員全員に対し育児レポートを提出してもらいます。内容は「子どもの成長記録」+「ご自身で選んだテーマ」としており、具体的には、育児・赤ちゃんの成長におけるご自身や周りを見て感じた困りごとや対応・理想と提案、ベビー用品を実際に使ったカスタマー視点でのレビューや提案、社会制度や保育所についての育てやすさ、働きやすさ視点での提案など、多岐にわたります。「育児レポート」の提出は目標管理制度の目標の一つにも掲げられており、「育児を仕事として」評価する仕組みとなっています。なお、提出された育児レポートは全社に公開しており、従業員同士がどのような育児を行っているか、育児の際はどのようなことを考えていたか等を知ることができます。

 ・社員で作り上げる育児制度プロジェクト
 2022年度の改正育児・介護休業法の施行を見据えて「社員で作り上げる育児制度プロジェクト」を2021年度に立ち上げました。プロジェクトには子育て中の有志の従業員に参加してもらい、定期的に集まり検討を行いました。検討の段階では、育児中の男性従業員およびその配偶者にもアンケートを実施し、その結果を踏まえ次年度以降の制度等の構想を進めています。

取組の成果・取組を進めたことによる効果等
仕事と家庭の両立ができる環境を実現

 各種取組により、女性従業員に関しては育児を理由とした退職が無くなり、また、仕事と家庭を両立しながら管理職として活躍している従業員も増えてきました。各種取組を推進することにより、従業員の理解も進み、働きながら育児をすることは当たり前、それが不利益になることはない、という環境ができています。当社の事業の性質上、育児経験が仕事につながる・役に立つといったメリットもあります。また、「ひとつきいっしょ」を利用した従業員のなかには「今しかできない貴重な経験ができて本当によかった」といって休職から戻ってくる従業員もおり、仕事に対するモチベーションが上がる、という感想もありました。

取組を進めるにあたっての工夫・苦労
新たな制度を利用してもらうための工夫

 当社ではこれまでさまざまな制度づくりを行ってきましたが、従業員に実際に制度を利用してもらう上で、難しさを感じることもありました。例えば、テレワーク制度では、全社的に制度利用をできるようにしても、周りの同僚が利用していないため最初の一歩が踏み出せないというケースもありました。この最初の一歩を踏み出せるように会社が後押しする必要があると感じ、在宅勤務の導入が業務の性質上比較的容易そうな部署から段階的にトライアルを行い、まずは制度の有用性を理解してもらいました。制度を利用した従業員が、周りの同僚に「実際に利用したらよかった」、「今後も利用したい」と感想を共有することで、なかなか一歩が踏み出せなかった従業員も、まずはトライしてみる、という好循環が生まれました。

今後の課題・展望
より効果的な育児休業のために

 「社員で作り上げる育児制度プロジェクト」を推進する中で、「ひとつきいっしょ」の育児休業取得期間の長さについては、男女ともに「1か月は妥当な長さ」との意見でしたが、育休取得時期についてはさまざまな意見がありました。女性側の意見としては、「夫には出産直後に取得してほしい」と考える人も多かったのですが、多くのケースでは男性が育児休業を取得するタイミングは出産直後ではないという実情でした。中には、男性従業員が会社への妻の妊娠報告が遅かったために、業務の調整が間に合わず出産直後に育児休業を取得できない、というケースもありました。それぞれの家族が理想とするタイミングで育児休業を取得していただくためにも、どのように制度を活用していきたいか妊娠中から家族としっかり相談してもらい、早い段階で会社に報告できるような仕組みも考えています。育児休業中は家族にとって貴重な時間ですので、今後の働き方も含めてしっかりと家族全員で考えてもらうためのサポートをしていきたいと考えています。

従業員の声 制度利用者の声画像

制度を活用し仕事と家庭の両立を実現

企画リサーチグループ
尾形 真悟さん

男性の育児参画にはテレワーク制度が有効

 当社にはワーク・ライフ・バランスを推進するためのさまざまな制度がありますが、その中でもテレワーク勤務制度を良く利用しています。通勤時間がないため、朝は自分が子どもの世話を行えるという利点があり非常に助かっています。また、第一子が生まれた際、「ひとつきいっしょ」を利用し育児休業を1か月間取得しました。取得時期は妻と相談し、業務の都合等も踏まえた上で、子どもが生後8か月の時としました。出産直後の育児休業取得ではありませんでしたが、出産直後もテレワーク勤務制度を利用していたため、妻は慣れない育児に対して、強く不安を感じることはなかったとのことでした。このように、テレワーク勤務制度を活用すると、妻や子の近くにいられるため、育児における妻の不安を低減することができたり、男性が育児に参画しやすい環境を実現する一助となるため、今後も制度を活用していきたいと思います。

(データの取材時点:2021年11月)

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