女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集

厚生労働省

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2021年度

万協製薬株式会社 (製造業)

従業員の要望を踏まえた各種制度づくりにより働きやすい環境を実現

認定マーク

企業プロフィール

設立
1960年
本社所在地
三重県
事業内容
製造業(医薬品)
従業員数
237名(うち女性110名)
企業認定・表彰等

取組内容

男性育児参画仕事と育児の両立支援

特徴的な制度・取組など

  • 従業員の要望を踏まえた各種制度づくり。
  • 従業員間のコミュニケーション改善により、働きやすい環境を実現。
  • 複数回の定期面談により、仕事と家庭の両立をサポート。

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インタビュー

  • 総務部総務課
    野呂有加さん
    (左側から1番目)

取組のきっかけ・経緯
経営層のワーク・ライフ・バランスへの思いより、取組がスタート

 当社では働き方に関して、会社の強み・弱みを捉えて、より良い会社にしていくための経営品質活動を実施していましたが、ワーク・ライフ・バランスについても取組を進めていく必要があると考えていました。地方に所在している当社が有能な人材を集めるには、男女共同参画のための活動を推進することが良い方法であると経営層は考え、2009年頃より三重県等の公的機関のアドバイスを受け、改善を行うなかで、男性の育児休業取得をはじめとしたワーク・ライフ・バランスを推進してきました。

職場の様子

具体的な取組の内容
仕事と育児・家庭の両立に寄与する各種制度

 当社では、以下のような制度を設けて、従業員の仕事と育児・家庭の両立を支援しています。
・育児のための短時間勤務制度
 本制度は2009年頃に導入したものですが、子どもがいる従業員を対象とした、育児のための短時間勤務制度で、最長3時間の短縮が可能です。育児短時間勤務制度は、法定では子どもが3歳に達する日までとなっていますが、当社の制度の利用期間は子どもが小学校を卒業するまでとなっています。
・育児・介護のための勤務時間帯繰り上げ・繰り下げ制度
 本制度は、育児や介護を目的とし、勤務時間帯を繰り上げもしくは繰り下げできる制度となります。制度利用の際には事前に上司に申請し、承認を得る必要があります。育児を目的とし本制度を利用した従業員もいますが、就業規則にはまだ記載されておらず、現在改正案を作成中で2022年度内の施行を予定しています。
・子ども手当
 当社では、子どもを扶養している従業員に対し、子ども手当を支給しています。子ども1人に対し、毎月10,000円を支給するもので、支給期間は子どもが18歳になる年の年度末までとなっています。なお、以前は扶養している配偶者に5,000円、配偶者以外の扶養親族に2,500円という形で支給していましたが、子育て世代を応援したいという従業員の希望により子どもだけに特化した制度としました。

従業員間のコミュニケーション改善や仕事と家庭の両立のための各種取組

・プチコミファミリー制度
 当社では従業員間のコミュニケーション改善のための取組として、プチコミファミリー制度を2007年より実施しています。これは、勤続年数・所属・年齢の違う社員同士が擬似家族グループを作り、会社からの助成金を利用して食事会や社員旅行の活動を行ったりするものです。グループ作成に際しては、会社側が従業員の勤続年数や所属部署を踏まえ、ソフトウェアにてランダムにメンバーを決定しています。グループは毎年変わるため、この取組を通じて、普段話す機会が少ない他の部署の同僚と話をする機会が設けられ、従業員同士のコミュニケーション改善に寄与しています。
 また、メンバー同士で集まって話すだけでなく、会社が出す「どのようなことをしたらより良い会社になるか」といった課題に対し、意見を出してもらうといったことも行っています。


・定期面談
 当社では、各部署でリーダー・課長との面談を年4回実施しています。面談は仕事における1年間分の目標をキャリアシートに記載し、4半期に分けて実施するもので、仕事の話以外にも、家庭の話やプライベートな悩みも共有できる場となっています。また、上司からは、子育てに関する制度について説明することもあります。
 これに加え、希望者を対象に社長・部長とも年2回面談できる機会を設けており、面談希望者は、制度に関する要望等を直接経営層に伝えることができるようになっています。
・従業員アンケート(従業員満足度調査)
 当社では、全従業員を対象に各種アンケート(従業員満足度アンケート:年1回、年度末アンケート:年1回、エンゲージメント12の質問(従業員幸福度調査の手法):年2回)を実施しています。これらのアンケートでは、全従業員に対し「今の会社で変えた方が良いこと」を教えて欲しいということを投げかけ、従業員からの意見を踏まえ、会社をより良くするために実施しているものです。

取組の成果・取組を進めたことによる効果等
各種取組により従業員にとって居心地の良い環境を実現

 各種取組の実施により、従業員間のコミュニケーションの改善や従業員の希望に沿った制度を整えることができました。例えば、プチコミファミリー制度では、普段業務では接点を持たない従業員ともつながりができ、居心地の良い環境となりました。環境が整うことにより、男性の育児休業取得への理解も進み、これまで5名以上の男性従業員が育児休業のほか育児短時間勤務制度を利用しました。
 また、当社のワーク・ライフ・バランスの取組がメディア等で公表されることにより、自社イメージの向上といったメリットもあり、採用活動時にも全国から優秀な人材が集まるなどの効果がありました。

取組を進めるにあたっての工夫・苦労
男性の育児休業取得に関する意識改革

 男性が育児休業を取得することについての取組を始めた2009年当初に全従業員にアンケートを取ったことがあります。当時、若い世代の方のなかには「取れるなら取ってみたい」という意見がありましたが、年代が高い世代の方の中には「休暇を取って何をしているのか」と思われる方もおり、理解を求めることが難しいと感じました。現在においても考え方はそれぞれで全ての方に100%理解を得ることは難しいと思いますが、研修等で定期的に意識改革を促すことが必要だと考えています。

今後の課題・展望
各種取組の再推進

 取組を始めた2009年当初から2015年ごろまでは各種取組も活発に実施していましたが、今はやや停滞期となっていると感じています。従業員からは特に不満の声があるというわけではないですが、このままで良いと思ってはいませんので、制度の周知を含め、今後どのように取組を進めていくべきかを考え、積極的に推進したいと思います。

従業員の声 制度利用者の声画像

会社の柔軟な対応により仕事と家庭の両立を実現

品質管理部品質管理課
大西 有さん

柔軟な働き方が実現でき、会社に対する満足度も向上

 第一子が生まれた際、育児のために早く終業する必要がありましたが、その当時の勤務時間は8時45分~18時となっており、どうにかならないか総務部に相談しました。その結果、勤務時間の繰り上げを認めていただき、勤務開始時間が7時30分からとなりました。もし勤務時間の繰り上げができなかったら、半日有給休暇や1日有給休暇を取得して対応する必要があり、おそらく仕事に対するモチベーションも下がっていたと思います。
 このように従業員の要望に柔軟に対応いただけると、従業員はモチベーションを下げずに働ける環境となり、会社に対する満足度も上がり、仕事と家庭の両立を実現しやすい職場環境となっていると実感しています。
 

(データの取材時点:2021年11月)

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