女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集

厚生労働省

女性の活躍推進・両立支援総合サイトトップ > 女性活躍・両立支援事例集トップ(事例検索) > 企業事例

2021年度

三井住友トラスト・ビジネスサービス株式会社 (サービス業(他に分類されないもの))

管理職育成や転換制度等により女性のキャリアアップを支援しています

認定マーク

企業プロフィール

設立
1990年
本社所在地
東京都港区
事業内容
サービス業(銀行バックオフィス業務)
従業員数
1,923名(うち女性1,841名)
企業認定・表彰等
えるぼし(認定段階3)、プラチナえるぼし

取組内容

女性活躍推進女性職域拡大女性管理職登用仕事と育児の両立支援

特徴的な制度・取組など

  • 管理職育成の土台作りとして、意欲に応じて組織運営に若いうちから携わるという取組が会社全体で浸透している。
  • 柔軟に勤務時間を選択できる19パターンの育児短時間勤務制度が現場にしっかりと根付いている。
  • 多様な働き方として、業務社員(正社員)への転換制度の導入、結婚や介護で離職に至らないように勤務地域変更制度が活用できる。
  • 皆が活躍できる職場を目指すため、階層別研修や育児休業からの復職者を対象とした研修等を充実させている。
取組事例ダウンロード 

インタビュー

  • 人事部 D&I担当
    渡辺 華子さん

取組のきっかけ・経緯
プロパー従業員の中から管理職の育成を開始

 当社の従業員は、女性が9割を占めますが、以前は、管理職のポストのほとんどを男性かつグループからの出向者が占めていました。2012年の会社の合併をきっかけに、経営方針として、プロパーの女性管理職を育成する取組をスタートさせました。当社は銀行のバックオフィス業務の受託を主として行っており、マネジメントを担う管理職は、事務業務に精通し、業務における問題点や部下の困りごとを理解できる人材が適していると考えたからです。また、誰もが上のポストを目指せることを示し、従業員全体のモチベーションアップを図りたいという思いもありました。そこで、各種制度の見直しと定着、管理職育成ではそれぞれの段階にある従業員が長期的なキャリアを描けるような施策も取り入れてきました。

具体的な取組の内容
管理職育成のため、皆が活躍できるよう研修を充実

 プロパーの女性管理職育成のため、階層別の研修の充実を図ってきています。研修では、組織における役割を学ぶとともに、先輩の具体的なアドバイスを聞ける機会を設けています。キャリアの成功の側面だけではなく、直面した悩みや失敗などを先輩から直接聞くことで、「私にもできる。」と自信をつけてほしいと考えているからです。
 その他、2018年からはスタッフ社員(主に有期雇用社員)から業務社員(正社員)への転換制度を導入しました。毎年十数人が制度を利用し、業務社員(正社員)に転換しています。当社の転換制度は年齢の上限を設けていません。何歳であっても、キャリアアップを目指す従業員を支援し、活躍できるフィールドを用意していきたいと考えています。
 当社は、効率的に業務を進めることで、定時退社を目指す意識がかなり高い会社と思います。中途採用者からもその声は多く耳にします。キャリア支援の土台となる両立支援制度では、19パターンの柔軟な短時間勤務制度を設けており、子どもが小学3年生の修了までは、家庭の事情に応じて柔軟に勤務時間を変更することができます。職場では、さまざまな勤務時間の従業員が混在することが当然のこととして浸透しています。
 また、毎年4月には育児休業からの復職者を対象に「復職予定者研修」を実施し、会社を取り巻く環境の変化や、復職者への期待事項を伝えますが、一番の人気は実際の短時間勤務経験者も参加する情報交換会での生の声です。そこでは業務の工夫だけでなく、プライベートも合わせてどのように働いているかを知り、イメージをもってもらうことで、復職に対する不安の軽減に繋げ、復職者の職場への早期キャッチアップを図っています。また、当社は東京と大阪に拠点があり、東西間異動はありませんが、結婚や介護による本人の都合での勤務地域変更を申し出することができます。
 このように女性がキャリアを目指す上で、安心して仕事と家庭を両立できる環境を整備することは必須だと考えています。

取組の成果・取組を進めたことによる効果等
女性管理職の増加に伴い、若手従業員も将来をイメージできるように

 当社における女性管理職(課長以上)の割合は、2021年9月末時点で62%となり、一般事業主行動計画に掲げた目標を達成しました。2021年9月時点でリーダー(係長職)以上の22名は短時間勤務制度を利用しており、リーダーが帰宅後も周囲がこれを支える風土、また、そういう姿を若手社員が見ており、若いうちから多様な働き方のモデルケースを現場で多くみられる職場になっています。
 また、2016年にえるぼし2段階目(2021年に3段階目を取得)、2021年にはプラチナえるぼしを取得しました。プラチナえるぼしやえるぼしは、採用の場面において、自社のイメージアップや信頼度向上に寄与していると感じています。当社に応募する学生や求職者は、長く働きキャリアを積んでいける職場を重視する傾向にあると感じており、プラチナえるぼしの価値や意義を理解して応募される方が増えています。

取組を進めるにあたっての工夫・苦労
業務の円滑な遂行と部下育成の両方を目指す

 当社はリーダー(係長職)でもだいたい20名程度のメンバーをまとめ、チーム長(課長職)となるとその倍程度の人数をまとめていくことになります。日々の手続きをミスなく迅速に行うこと、一人ひとりのメンバーに合わせて目標を立て育成することは簡単ではありません。部下の育成において、当社の管理職の多くが直面する問題として、業務に精通している故に、つい自ら手を動かしてしまうということが挙げられます。管理職には、若手育成の観点から、たとえ一時的に効率が悪くても「いかに部下に任せることができるか。」が求められます。業務の円滑な遂行と部下の育成を上手なバランスで進めるために、工夫が必要な点だと考えています。

今後の課題・展望
さまざまな多様性の浸透を目指す

 若年層のうちから、将来的にマネジメントを担うことを見据えた育成を継続的に取り組んでいくことが今後の課題です。社員の色々な意見を聞きながら、時代に合わせて形を変えたさまざまな施策の検討が必要と考えています。さらに、今まで女性活躍に焦点を当てて取り組んできましたが、今後は女性だけに限らず、障がい者雇用の促進、LGBTQの理解促進など、さまざまな多様性が浸透するよう取り組んでいきたいと考えています。

従業員の声 制度利用者の声画像

上司の後押しでユニットリーダーにチャレンジしました

品川業務第4部 収納口振チーム
収納代理ユニット
ユニットリーダー
藤田 裕子さん

特別表彰制度でやりがいアップ

 私は所属チームのユニットリーダー(係長職)として、十数人のマネジメントを担っています。ユニットリーダーを打診された時は、「私でできるだろうか」と不安もありましたが、私の他にも短時間勤務中でありながらユニットリーダーを務めている人がいたこと、上司から「藤田さんなりのリーダー像を作れば大丈夫。」と背中を押していただいたことで、チャレンジしてみようと思いました。日頃から「何でも頼まれる、頼める関係づくり」を目指しており、不在時の相談体制などは私の上司であるチーム長や、他のユニットのリーダーに協力いただき、ユニットメンバーにもサポートをしてもらっています。
 また、今までのキャリアの中で印象に残っているのは、当社の社内表彰である特別表彰を受けた二つの仕事です。一つはチーム内の応援体制の構築による残業時間の削減、もう一つは銀行窓口で活用するための歳入金の取りまとめに関するQ&A集の改定です。特別表彰により業務の成果を評価いただいたことで、当社での仕事にやりがいを感じましたし、「もっと頑張ろう。」と思うきっかけにもなりました。

憧れのチーム長のように後輩の後押しができる存在を目指したい

 子育てをしながらここまで続けてこられたのは、キャリアアップを後押ししてくださった先輩や同僚と、両立支援制度を利用しやすい社風のおかげだと感じています。また、上司である女性のチーム長のように、身近に目標とすべき存在がいることも大きく影響しています。最近は、チーム長のように、仕事にメリハリがあって部下に細かな配慮ができる管理職を目指したいという気持ちが芽生えてきました。今は短時間勤務でフォローしてもらうことも多いですが、子どもが成長しフルタイムに戻ったら、しっかりと恩返しがしたいと思います。そして、私がしていただいたように、後輩達のキャリアアップの後押しをする存在になりたいと思います。

(データの取材時点:2021年9月)

PAGE TOP