女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集

厚生労働省

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2021年度

株式会社はなまる (宿泊業、飲食サービス業)

仕事と介護の両立を経営課題として捉え、全社で取り組んでいます

認定マーク

企業プロフィール

設立
2001年
本社所在地
東京都中央区
事業内容
サービス業(飲食業)
従業員数
337名(うち女性77名)
企業認定・表彰等
くるみん認定、えるぼし(認定段階3)

取組内容

仕事と介護の両立支援

特徴的な制度・取組など

  • 受講者の役職や役割に応じたセミナーを実施し、関心を持ってもらう工夫を行う。
  • 従業員への周知活動を継続し、介護は身近な問題であるという理解を深める。

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インタビュー

  • 採用人事部 ケアラー・ケア担当
    角田 映子さん

取組のきっかけ・経緯
小さなプロジェクトからケアラー支援をスタート

 2009年に女性活躍の機運が高まり、女性従業員による「はなまるレディスプロジェクト」が立ち上がりました。2015年より男性も参画し、社内の提案型のプロジェクト企画としてケアラー(介護者)支援を提案しました。育児休業からの復帰支援や、育児と仕事の両立に関するプロジェクトが推進される中、ケアラー支援に関する企画提案は、当初は理解を得られず採用されませんでした。しかし、介護経験者である自身の経験から今後の必要性を強く感じ、提案し続けたことが、当社のケアラー支援に関する取組のスタートです。小さなプロジェクトとして3年、プロジェクトを採用人事部が引き継ぐ形で3年、取組は2021年で7年目になり、社内からの関心が高まるようになりました。

具体的な取組の内容
対象者に応じてセミナー内容を変え、関心を持ってもらえるよう工夫しました

 まずは介護についての周知と情報提供が必要と考え、管理職向けに、外部講師を招き介護セミナーを実施しました。その後、セミナーを内製化し、全国の店長向けに実施しました。セミナーは受講者の役職や役割に応じて内容を変え、関心を持ってもらうような工夫を行いました。管理職向けには、介護にかかる費用などをデータで示しました。介護の経験があれば当然知っているような情報も、初めて知ったという人が多くいました。20~30代が多い店長やスーパーバイザー向けには、店舗スタッフの中に介護に従事している人がいるかもしれない、ということを強調しました。セミナーではヤングケアラーについても必ず伝えています。介護は若い人には関係ないという思い込みをなくし、店舗スタッフにそのような人がいたら、気が付いてほしいからです。
 また、ケアラーや介護経験者の情報交換の場として「ケアバル」を開催しました。参加者同士の情報交換とともに、本社と店舗では勤務体制が異なるため店舗での困りごとや必要な支援は何か知りたいという思いがあり、「ケアバル」で現場の声を拾いながらセミナー等に活かしていきました。
 そのほか、介護に関する制度やサービス、介護に直面した時の心構え等の情報を盛り込んだ「ケアサポブック」を作成し、全従業員及び店舗に配布しました。「ケアサポブック」には介護の窓口である「地域包括支援センター」についても掲載しています。現場の店長が介護に関する制度を理解することは難しくても、介護に関する相談があった場合に、地域の窓口が「地域包括支援センター」であることを伝えることができれば、大きな一歩だと考えています。
 ※本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っている子どものこと。
 
 当社の介護休業は93日を上限とし5回まで分割可能、社員の介護休暇は5日間を有給としています。そのほか、社員はフレックスタイム制を利用して、個々の事情に応じた勤務が可能です。介護休業に関する問い合わせがあった時には、制度の内容とともに、まずは介護に向けた体制を整える期間であることを丁寧に説明します。突然介護に直面した人の中には、「まず介護休業を使い切る」と考える人もいますが、介護休暇や短時間勤務等、その他の制度を組み合わせて、仕事と介護を両立するための方策を提案しています。

取組の成果・取組を進めたことによる効果等
経営層の理解で取組が加速

 地道に社内への周知活動を続けていましたが、社長を含めた経営層へのセミナー実施が大きな転機になったと考えています。経営層向けには、高齢化の現状や介護予備軍の数、介護にかかる費用等をデータで示したところ、介護が経営や組織運営に大きな影響を及ぼすことに気が付いてもらうことができました。経営層が介護を経営課題として捉え、会社としてケアラー支援を推進するようになってからは、一気に取組が進んだ実感があります。また、メディアで介護の話題が増え、社会の介護への関心の高まりとともに、社内の理解が進んだこともタイミングが良かったと感じています。
 また、今までは女性従業員からの相談が多かったのですが、最近は男性従業員からも相談を受けるようになりました。このことは、介護は誰にとっても身近な問題であることが社内に浸透してきた成果だと感じています。

取組を進めるにあたっての工夫・苦労
介護の取組の浸透には時間を要する

 介護は自身が直面するまでは自分ごととして捉えるのは難しく、介護の取組の浸透には時間がかかります。そのため、周知や情報提供を継続することが重要だと考えています。また、若い年代の従業員には、育児の両立支援とセットにして情報提供する等、関心を持ってもらう工夫が必要だと感じています。

今後の課題・展望
オンラインのメリットを活かし、気軽に参加できる相談会を検討

 コロナ禍で対面形式でのセミナーが難しくなり、今後はオンラインでの相談会を検討しています。オンラインのメリットを活かし、全国どこからでも都合の良い時間を選んで気軽に参加できる会にしたいと考えています。介護に関する取組は、浸透に時間を要することを実感しているため、たとえ最初は参加者が1人でも続けることに意味があると考えています。

従業員の声

ケアラー支援プロジェクトを推進した方の声

介護の経験をどうしても伝えなければと思いました

 ケアラー支援プロジェクトを立ち上げたのは、私自身が家族の介護で大変な思いをしたので、「この経験をどうしても伝えなければ」と思ったからです。取組を通じて、介護の相談を受けることも増えましたが、施設に入所するか、在宅介護を続けるかを迷っている方へのアドバイスは難しいと感じます。私自身が、家族を施設に預けることに複雑な思いがあったからです。介護者の気持ちが第一だと思いますが、もし迷っているのであれば、施設や周りの人の力を借りることも良いのではと考えます。仕事を続けることで気持ちに余裕ができ、今まで以上に良い介護ができることもあると伝えています。

 

(データの取材時点:2021年9月)

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