女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集

厚生労働省

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2021年度

株式会社喜多村 (製造業)

働き続けられることに重点を置いた柔軟な対応

認定マーク

企業プロフィール

設立
1972年
本社所在地
愛知県愛知郡
事業内容
製造業(フッ素樹脂潤滑用添加剤の製造・販売)
従業員数
177名(うち女性42名)
企業認定・表彰等
くるみん認定

取組内容

仕事と介護の両立支援

特徴的な制度・取組など

  • 個々の介護の事情に合わせ、昼休みと休憩時間を集約し、運用で中抜けを認めた。
  • 介護の両立支援に関する柔軟な勤務形態を整備。

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インタビュー

  • 総務部総務課 課長
    倉坪 昌輝さん

取組のきっかけ・経緯
休職や退職を防ぐため、介護の両立支援制度の充実に着手

 2006年に育児や介護に関する社内制度について、育児・介護休業法に対応する形で見直しを実施しました。その後、2009年に、2名の従業員から介護に関する相談を受けたことをきっかけとして、仕事と介護の両立支援制度のより一層の拡充に着手しました。当社のような中小企業においては、従業員の休職や退職は組織運営に大きな影響があります。もちろん従業員本人の希望を優先しますが、いざという時のために、できる限り休職せずに働き続けることができるよう、柔軟な制度を考えました。介護は誰もが直面する可能性がある課題であり、介護の両立支援制度を整備することは、より多くの従業員とその家族を助けることができると考えています。

職場の様子

具体的な取組の内容
個々の事情に合わせられるよう柔軟に対応

 当社の介護休業は法定通りですが、介護休暇については30分単位で取得可能としています。短時間勤務制度については、1日の所定労働時間を6時間とする制度に加え、週の勤務日数を4日とすることも認めています。また、1日の所定労働時間を午前と午後で分け、通常勤務時の半分とする50%勤務制度、週の勤務日数を3日とする60%勤務制度を導入しています。50%勤務制度及び60%勤務制度の日数の上限は設けていませんが、1年ごとに状況に応じて再申請するルールを設けています。
 従業員の個別の事情に応じて、昼休憩の1時間に午前と午後それぞれ15分ずつの休憩をあわせた1時間半を、介護のためとして中抜けを認めた事例もあります。実際に従業員から相談があるまで、中抜けの必要性は想定していませんでしたが、可能な範囲で制度を柔軟に運用することが重要だと考えています。
 また、15年程前から年5日以上の年次有給休暇の取得を推奨し、現在は毎年付与される日数の7割を取得するよう働きかけています。介護を含めた両立支援の制度を負い目なく利用するためには、誰もが遠慮することなく、年次有給休暇を取得できる社内風土も重要だと考えています。

取組の成果・取組を進めたことによる効果等
休職せずに働き続けることが大切と考えています

 介護の両立支援制度を利用し、従業員が休職することなく、働き続けることができたことが成果だと考えています。幸いなことに、今は介護に関する制度利用は多くはありません。しかし、制度を整えておくことで、介護が突然必要になった時に従業員を少しでも安心させられると良いと思っています。今までに介護が必要になった従業員の中には、介護休業給付が受けられることを知らなかった方もいました。介護に関する制度とあわせて、介護休業の上限である93日は介護のための体制を整える準備期間であること等、介護に関する情報提供も行うことが必要だと考えています。
 また、副次的な効果として、採用の場面で「従業員を大切にする会社」という印象を持ってもらえるようです。当社は中途採用が多いのですが、会社説明会等で介護に関する制度について触れると「とても手厚いですね。」との感想を聞くことが多くあります。

取組を進めるにあたっての工夫・苦労
家族のことについてどこまで聞いていいのかが難しいと感じています

 介護は家族のセンシティブなことであるため、どこまで、どのように情報収集をするべきかという点が悩ましいと感じています。突然の休職や退職を防いだり、一人で悩むことないよう、必要な人には情報提供をしたいと考えますが、担当の総務部門から情報を取りにいくべきなのか、従業員から声が上がるまで待つべきなのか、正解がない中で悩みながら取り組んでいます。

今後の課題・展望
介護の制度について地道な周知が課題

 介護の制度を周知する上で難しいと感じているのは、当事者にならないと関心を持ってもらえないことです。この点に関しては、「介護は誰にとっても直面する可能性がある」ことを地道に伝え続けるしかないと考えています。労働人口が減少していく中、会社にとっても休職や退職は大きな損失ですし、従業員にとっても介護が終わった後に職がないという事態は避けたいと思っています。ガイドラインを定めた上で、なるべく柔軟に対応していきたいと考えています。

従業員の声

休憩時間の変則取得により、働き続けることができました

総務部総務課
砂田 万美子さん

周りの同僚に申し訳ないという気持ちが楽になりました

 数年前に私の親が体調を崩し、介護が必要となりました。親が住む実家に通う必要がありましたが、当時は子どもがまだ低学年だったため、夕方は早く帰宅しなければなりません。私は経理業務を担当しており、定時前の時間は社内にいたいこと、休職などで何日も休んでしまうと周りの同僚に迷惑を掛けるのが心苦しいこと等を会社に率直に伝えました。その結果、昼休みの1時間に午前午後15分ずつの休憩をあわせた1時間半の中抜けを認めてもらいました。柔軟に対応いただいたおかげで、休職せずに働き続けることができました。安心して親のサポートができましたし、何より休まなくて済み、周りの同僚に申し訳ないという気持ちが軽減され、とても楽になりました。

介護に悩むことがあったら、ぜひ相談してほしい

 介護は育児とは違い、いつ終わるかがわかりません。そのため、休暇を使い切ったらどうしようという不安や経済的な不安がついて回ります。そのため、できる限り、短時間勤務でも続けることが大切だと感じています。もし同僚が介護に直面したら、一人で抱え込まないよう自分の経験を伝え、まずは周りに相談することを勧めたいと思っています。

(データの取材時点:2021年9月)

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