女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集

厚生労働省

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2021年度

SCSK北海道株式会社 (情報通信業)

介護に関する制度の充実とともに、制度を利用しやすい職場環境づくりに取り組んでいます

認定マーク

企業プロフィール

設立
1990年
本社所在地
北海道札幌市
事業内容
情報通信業(コンピュータ・ソフトウェアの開発、販売)
従業員数
160名(うち女性44名)
企業認定・表彰等
くるみん認定

取組内容

仕事と介護の両立支援仕事と育児の両立支援

特徴的な制度・取組など

  • 介護休業は通算1年間、6回までの分割も可能、介護休暇は有給で中抜けも可としている。
  • 全従業員に対する働き方改革で、負い目なく制度を利用できる職場環境づくりに取り組む。

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インタビュー

  • 管理部 人事総務グループ
    グループ長
    佐藤 貴啓さん(左)
    小林 みちよさん(右)

取組のきっかけ・経緯
介護は将来的にほぼ全員が向き合う大きなテーマ

 当社では仕事と介護の両立支援に取り組んでいますが、平均年齢は30代後半とまだ若く、現時点で介護の課題に直面している従業員が多いわけではありません。しかし、介護については、将来的にほぼ全員が直面する大きな課題という認識を持っており、早めに準備しておく必要があると考えています。
 2012年頃から全社で働き方改革の取組を開始しました。ライフイベントを機に退職する従業員が多く、制度が導入されていても十分に活用されているとはいえない状況にあったからです。初めは女性従業員が出産後も働き続けられる職場を目指してスタートしましたが、その結果、育児中の女性だけではなく、全従業員が働きやすい職場づくりを実現することができました。仕事と育児の両立が浸透してきたので、次は介護との両立支援に注力する時期だと考えています。

具体的な取組の内容
法定以上の介護の両立支援制度と働き方改革による風土醸成

 介護休業は対象家族1人につき通算1年間、6回までの分割取得が可能。休業通算93日までの間に介護休業給付金が支払われない期間がある場合には、介護休業手当を支給しています。介護休暇は、対象家族1人につき10日間、2人以上は15日間を有給で利用可能とし、いわゆる時間単位の中抜けも認めています。また、年次有給休暇を100%躊躇無く、安心して取得できるよう、病気などの不測の事態が生じたときに利用できるバックアップ休暇(年5日)の未使用分を50日まで積み立て、介護や私傷病、不妊治療、妊娠中の体調不良等で利用することができます。そのほか、在宅勤務制度は、通常月最大8回まで利用可能ですが、介護や育児を理由とする場合は、月1回以上出社すれば上限なく利用できます(2020年からは新型コロナウイルス感染防止のため、全従業員に対して在宅勤務を推奨しています)。2021年度からは、「特定非営利保活動法人海を越えるケアの手」と法人契約を結び、介護そのものに関する相談やサポートを従業員が受けられるようにしました。このような社内の制度や、介護関連のウェブサイトや書籍等の情報をまとめ、「仕事と介護の両立支援ハンドブック」として、社内イントラネットで情報提供をしています。
 また、仕事と家庭の両立に欠かせない働きやすい職場づくりのため、長時間労働の低減に取り組みました。具体的には、資料の簡素化やIT化、会議の見直し等に加えて、業務品質の向上です。残業や休日出勤の主たる理由は、不具合の発生などトラブルへの対応による予期せぬ作業です。そこで、トラブルをなくすため、プロジェクト管理を細かく実施し、大きなプロジェクトは経営層まで進捗状況を報告することで、トラブルを未然に防ぎ、トラブルが発生した際には全社で対応できる体制を整えました。取組を開始して3年を過ぎた頃から成果が現れ、業務品質向上が長時間労働の低減につながったと考えています。さらに社員が収入減を気にせず長時間労働低減に取り組めるよう、当初は残業低減・有休取得の目標達成によるインセンティブ支給を、現在は残業の有無に関わらず業務手当(20時間分の固定残業代)を支給(超過分は別途支給)しています。

取組の成果・取組を進めたことによる効果等
仕事と家庭の両立が当たり前の職場です

 働き方改革が進んだことにより、出産を理由とした退職はなくなり、仕事と家庭の両立は当たり前になりました。近年は、男性従業員の育児休業取得の例も増え、長い人で1年、短くても数か月の育児休業を取得しています。男性の育休取得は、職場においてワーク・ライフ・バランスへの理解を深める効果があると感じており、短時間勤務制度利用者や介護中で残業が難しい従業員にとって、精神的な負担軽減につながると考えています。
 また、当社の年次有給休暇の取得率は90%前後を推移しています。介護や育児に従事する従業員だけでなく、全従業員が当たり前のように年次有給休暇を使い切ることが「お互い様」の風土醸成に重要なことだと考えています。

取組を進めるにあたっての工夫・苦労
情報提供を継続し、介護は身近な問題であることを周知

 仕事と介護の両立支援に関しては、「本人が声を上げないと、周囲がその大変さに気付けない」ところに難しさがあると考えています。そのため、必要な時にタイムリーに情報を得られることや、全従業員が介護を自分ごととして捉え、いざという時には声を上げられるような社内風土を醸成することが大切です。そのため、情報提供を継続し、介護は身近なものであることを周知していきたいと考えています。

今後の課題・展望
困った時に声を上げやすくするため、仲間づくりの会を検討

 当社では、昼休みを利用して、育児中や出産前の従業員が意見交換する「子育てカフェ」を実施していますが、介護にも同様のコミュニティが作れないかと考えています。理想としては、実際に介護が始まる前に従業員同士で勉強や情報交換をして、仲間を作っておくことができると良いと考えています。いざという時に支え合える仲間がいることで、声を上げやすくなるのではと考えるからです。
 また、介護にしても、育児にしても、まずは従業員自身が健康であることが大前提です。従業員の健康増進の取り組みもあわせて進めていきたいと考えています。

従業員の声

制度を負い目なく利用できる雰囲気や職場環境が何よりありがたいと感じています。

理解のある職場に感謝しています。

 2018年に中途入社し、お客様先にてシステムのセキュリティの課題解決や運用管理業務のプロジェクトに従事しています。リーダーとして、プロジェクトをマネジメントする立場でもあります。
 入社してから介護休暇を数回利用しましたが、現在は、年次有給休暇を取得できる環境や在宅勤務制度が助けとなって、必要な時には年次有給休暇で対応しています。幸いにも、介護に関する制度を積極的に利用する状況に至っていませんが、何かあった時には利用できる制度が整っている安心感が気持ちを前向きにしてくれます。
 そして、残業が当たり前ではない会社の風土が何よりありがたいと感じています。当社では、介護や育児という特別な事情を抱える従業員だけでなく、全従業員が長時間労働の低減に取り組んでいます。負い目を感じることなく制度を利用できる雰囲気や職場環境がとてもありがたく感じます。
 日々の業務遂行においては、自分の状況を周囲に知っていただくことが必要だと考えています。状況が悪化した時や緊急時に備えて、日頃から上長に相談しておくことや、自分が担当する業務の進捗状況をこまめに記録しておくという点は特に気を付けています。

介護とキャリアアップの両立が次の課題と感じています。

 お客様先で勤務する話があった時は、やはり仕事と介護を両立する働き方について理解いただけるのかという不安がありました。しかし、上長や営業担当者からも事情をお伝えし、ご理解いただくことができました。介護で必要な時には勤務時間の調整等、柔軟に対応いただき感謝しています。
 現在の私は、キャリアについても、介護との両立についても、周囲から多くのサポートをいただき満足している状況にあります。しかし、今後、介護の比重が重くなった時に、どのようにステップアップしていくかをイメージすることが難しく、少し不安もあります。当社の平均年齢が上がるにつれて、私だけではなく、そのような悩みを持つ従業員は増えるのではないでしょうか。今後は、介護に従事する人が働き続けられることから一歩進んで、キャリアも諦めることなくステップアップできるようになれば素晴らしいと思います。

(データの取材時点:2021年9月)

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