女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集

厚生労働省

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2021年度

セントワークス株式会社 (情報通信業)

ワーク・ライフ・バランス向上の施策が数多くの好影響をもたらす

認定マーク

企業プロフィール

設立
2006年
本社所在地
東京都中央区
事業内容
情報通信業(介護事業者向けシステムの開発・設計・販売、介護・福祉業務支援サービス等)
従業員数
63名(うち女性28名)
企業認定・表彰等
くるみん認定

取組内容

仕事と育児の両立支援男性育児参画

特徴的な制度・取組など

  • 「朝・夜メール」で業務を見える化し、課題を解決して業務効率を向上。残業時間を短縮し、ワーク・ライフ・バランスを向上。
  • 従業員向けの情報発信で男性の育児・家事への参画、育児休業取得に向けた風土を醸成。
  • ワーク・ライフ・バランスの取組は、スモールスタートから徐々に範囲を拡大し、残業削減、売上向上など、さまざまな効果が。

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インタビュー

  • 営業部 ワーク・ライフバランスコンサルタント
    一之瀬 幸生さん
    神代 真知子さん

取組のきっかけ・経緯
はじまりは社長の問題意識

 当社は、ワーク・ライフ・バランスの取組を開始する前は、長時間労働が常態化しており、従業員のモチベーションも低下している状況でした。そのような中、当社の現状を改善したいと考えた社長が、2012年にワーク・ライフ・バランスのセミナーに参加し、感銘を受けたことが全ての始まりです。
 まずは社長が、ワーク・ライフ・バランスのコンサルタント養成講座を受講して、知識を習得するとともに、管理職が参加する社内の責任者会議において、ワーク・ライフ・バランスの取組を進めることについて話し合い、社内の合意形成を経て、取組を開始しました。
 また、社長自身も、日々の保育所の送迎や子どもの発熱時には半日休暇をとり妻と交代で看病するなど育児・家事を当たり前のように行っていました。そういった社長の姿を従業員が見ていたこともあり、当社でワーク・ライフ・バランスの取組が進み、浸透していったものと考えています。

WEB朝礼の様子

具体的な取組の内容
朝・夜メールで業務を見える化

 取組のはじめは、「朝・夜メール」という手法で自分の仕事を見える化しました。朝、自分が当日に実施する予定の仕事をタイムスケジュールも含めて設定します。何をやるかだけではなく、何時から何時までやるかということも含めて明確にします。終業時には、実際に自分がやった仕事を時間とともに書き出し、予定と合っていたかどうかを見直します。
 これまで漫然と実施していた業務も、タイムスケジュールに書き出すことで、大きく意識が変わり、自分が設定した時間通りに業務を行おうという意識が芽生えてきます。また、「朝・夜メール」を続けていくと、予定通りいかない業務、想定より時間を要する作業は何か、チーム全体では会議が多いことや業務に偏りがあることなどがわかってきます。これにより、改善すべき課題が明確になり、これら課題については、「カエル会議」というチーム単位で実施する会議で解決策について議論し、改善に向けた活動を実施します。
 なお、この「朝・夜メール」には、実施した業務だけでなく、一言、コメントを記載することとしています。このコメントは、業務に関するものだけでなく、プライベートな内容を記載する人も多く、その人の家族や人となりを知る機会にもなっており、「朝・夜メール」は、業務だけではない多様なメリットがあります。

さまざまな方法で情報発信

 当社では、イントラ上で閲覧できる社内報「働き方改革通信」(通称:ハタカク通信)を毎月発行しています。こちらは従業員に有益な様々な情報を発信するものですが、その中で、育児休業取得者があった場合には、その育児休業レポートや、育児休業にまつわる豆知識などを掲載しています。2021年度は法改正があり、新たな育児休業制度が制定されましたので、その内容についてもこのハタカク通信に掲載して、社内に周知しようと考えています。
 また、全従業員向けに、ワーク・ライフ・バランスセミナーを毎年開催しています。昨年は、ダイバーシティや健康経営、ハラスメントなどのテーマを織り交ぜたセミナーとして開催しました。時代の流れにあわせ、都度内容の見直しを行っています。

声掛けで男性の育児休業取得を

 当社は、2019年に「男性育休100%宣言」を行いました。以前から、子どもが産まれる男性従業員など、育児休業取得の可能性のある従業員に育児休業取得の声掛けをしており、毎月管理職が集まって開催している責任者会議では、対象者がいないかを確認しています。
 対象者がいる場合には、その従業員の上司に面談シートと「おめでとうカード」を渡し、面談の実施を勧めています。「おめでとうカード」とは、上司が育児休業取得の勧めを切り出しやすいようにと作成したもので、話のきっかけづくりに役立っています。
 また、育児休業取得予定のある従業員や取得を検討している従業員には、「仕事と育児の両立支援ハンドブック」を配布して説明しています。ハンドブックには、育児休業制度の概要や知っておきたいお金の話、仕事の引継ぎのコツ、行政への届出・手続き、育児休業後から復帰後の生活や復帰後に使える自社制度などについて詳細に解説しており、従業員にも好評です。

取組の成果・取組を進めたことによる効果等
数えきれないくらいの効果が

 各種の取組により、以下のような多様な効果がありました。下記は取組当初の数字ですが、その後も進んでいる取組によりさらに効果が上がっているものと考えています。
・平均所定外労働時間年計(過去12カ月の所定労働時間を合算した1人当たりの所定外労働時間。季節による変動の差異のないデータ)(2013年4月 年間265.53時間 → 2020年4月 年間177.81時間)
・売上増加(2011年度:8億8,700万円 → 2015年度:13億1,038万円)
・女性役職者数(主任以上)の増加(2012年4月:13.6% → 2015年3月:25%)
・出生数増加(2012年度:0名 → 2014年:8名(女性3名、男性5名))

取組を進めるにあたっての工夫・苦労
スモールスタートから徐々に取組を拡大

 「朝・夜メール」と「カエル会議」は、まずは社内事務局の目が届く範囲からスタートすることとし、1年目は4チームを選定して取組をスタートさせました。残業が多いチームや、改善が進みそうなチームなどを事務局が選定しました。現状把握から課題の特定、改善の実施までには相応の時間がかかるため、当社では1年かけて1サイクルとしました。その取組の内容や成果については毎月定例会で共有し、どの部署がどのような取組をしているかわかるようにしました。翌年、さらに4チームを追加、その翌年に残りのチームと、事務局が支援できる範囲で3年かけて増やしていきました。1年目が終わるころにはワーク・ライフ・バランスの取組が社内で認知されており、各チームも他のチームに遅れを取らないようにと頑張って取り組むため、成果も上がっていました。また、各チームで解決できない課題、例えば喫煙しない方にも休憩スペースがほしい、などは会社全体の取組として進めました。
 小さく始めて大きく育ったこの取組は現在も続いており、当社の文化として根付いています。

今後の課題・展望
社会環境の変化に対応を

 コロナ禍により社会環境が変わってきています。仕事のやり方、進め方、チームメンバーとの関わり方なども影響を受けています。従業員が会社に出勤して業務にあたっている時とは異なり、従業員同士が声をかけあって話をする、気軽に相談をするといったことが難しくなっています。例えば男性育休も大切ですが育休復職後も仕事と育児を両立できる働き方がより大切になりますし、また介護に直面する従業員も増えていくことが予想されます。もちろん、家庭以外に大切なこともあるでしょう。Zoom会議システムやLINEWORKSなどを導入したことで業務上必要なコミュニケーションは取れていますが、更に従業員同士が気軽に声を掛け合え、仕事はもちろん、従業員同士が私生活もお互いに大切にできることで、より生産性の高い職場になるようワーク・ライフ・バランスの取組を進めていければと考えています。

(データの取材時点:2021年9月)

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