女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集

厚生労働省

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2020年度

ロジスティックスオペレーションサービス株式会社 (運輸業、郵便業)

改善活動を通じて物流業界における女性活躍の場を提供する

認定マーク

企業プロフィール

設立
2006年
本社所在地
東京都品川区
事業内容
倉庫業、利用運送事業、労働者派遣事業、有料職業紹介事業、貨物取扱い業、フロントオフィス支援事業、バックオフィス支援事業
従業員数
1056人(うち女性502人)
企業認定・表彰等
えるぼし(認定段階3)

取組内容

仕事と育児の両立支援男性育児参画短時間正社員制度女性活躍推進女性管理職登用

特徴的な制度・取組など

  • 産休・育休後復帰100%
  • 業務改革により休みやすい環境づくり
  • 女性管理職比率の数値目標を設定

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インタビュー

  • 人事総務部統括部長
    加藤 久典さん
    人事課 
    松川 明日香さん(左)

取組のきっかけ・経緯
多様な働き方を推進するための部署を設置

 ロジスティックスオペレーションサービス株式会社は、貨物取り扱いの専門会社として、2006年9月に設立し、部品調達から製品配送までの一貫した物流機能と、人材オペレーションノウハウを生かした付加価値のあるサービスを提供しています。
 昨今の労働力人口減少を受け、多様な人材を受け入れ誰もが働きやすい環境を整備することを経営課題とし、2016年に人事総務部内にダイバーシティ推進室を立ち上げました。

具体的な制度の内容
部署の設置をきっかけに具体的な取組を

 ダイバーシティ推進室では、女性だけに限らず、外国籍やハンディキャップのある方など、分け隔てなく働きやすい環境を整備してきました。女性活躍推進については、管理職比率20%を目標とし、様々な研修を行いました。
 一例として、他社にて管理職として活躍する女性に体験談を聴く講演会、女性社員向けの次世代リーダー研修、男性管理職を対象としたイクボス研修などを行いました。また、女性同士の横のつながりを作るため、全国に30以上ある営業拠点の女性社員を本社に集め、経営陣も交えて気軽に情報交換できるティーミーティングも開催しました。
 また、女性が結婚や出産などのライフイベントで会社を辞めることがないよう、業務の「見える化」を行いました。例えば、属人化した“その人しかできない業務”を見直し、誰もが肩代わりできるようタスクを平準化しました。また、誰がどんなスキルを持っているかを把握し、急にお休みが発生した場合でも代わりの人を適切に配置できる態勢を整えました。これらによって、気兼ねなく産休や育休がとりやすくなり、育児時短勤務を選択しやすくもなりました。産休・育休中は、復帰への不安を少しでもなくすため上長から定期的に連絡し、悩みを聞いたり復帰後の働き方について相談したり、会社の情報を共有するなどして、会社との接点を持ち続けられるようにしました。
 さらに、これらの取組を客観的に評価するための、えるぼし認定取得にチャレンジしたのです。これによって、やるべきことが明確になり、掛け声だけでない実践的な取組ができるようになりました。

取組の成果・取組を進めたことによる効果等
えるぼし認定で採用面やビジネス面でもイメージアップ

 2017年にえるぼし3段階の認定を受けることができました。当時76,000社と言われる物流業界において4社目の認定となり、社内でも一気に女性活躍の機運が高まりました。また、採用面でも、女性だけでなく、男性にも「働きやすい会社だ」という認識が広がり、問合わせ件数が増えました。女性が働きやすい環境は男性にとっても働きやすいということの表れだと思っています。さらに、取引先に対しても、当社がえるぼし認定されているということで一つの大きなアピールポイントになっていると感じます。
 育休後の復帰率はもともと高かったのですが、業務の平準化や個々の社員の能力の見える化により、育休中の社員の業務を適切に割り振れるようになったことが、育休後の復帰率の向上や、その後の定着率の向上にもつながりました。また、欠員による業務のパワーダウンも防ぐことができています。

取組を進めるにあたっての工夫・苦労
目標を掲げるだけではなく絶え間ない見直しが必要

 当初は女性管理職比率20%という数値目標を掲げましたが、係長クラスは31%を達成しているものの課長以上は13%前後で頭打ちとなり、数値目標を掲げるだけではダメだということを痛感しました。何がネックになっているのかを検討したところ、女性自身の意識の問題、引継ぎや教育、育成不足など、様々な課題が見えてきました。そこで、目標値を一旦15%に見直しました。女性活躍に限らず、改革を進めていくためには、仕組みを作って満足するのではなく、PDCAサイクルを回して、絶え間ない改善を続けていくことが重要です。なんとなくやっていたのでは絶対に目標達成はできません。
 女性活躍推進とは一見関係ないかと思われがちですが、当社では職場の業務改善に力を入れており、アルバイトやパート社員も含め、営業所内でいくつかのチームを組んで、お互いに業務改善のアイデアを募集し、すぐれたアイデアを出したチームを表彰するという「KAIZEN活動」に取り組んでいます。よい事例は他のチームも採用し、全社の働く環境を整えてきました。こうした取り組みが、長時間労働の是正や、休暇の取りやすさなどにもつながり、女性が長く働きやすい環境づくりにもつながっていると考えています。

今後の課題・展望
好事例を増やし、それを広めていきたい

 えるぼし認定は、大きな励みとなったので、次はぜひプラチナえるぼしを目指したいと考えています。
 最近の嬉しいニュースは、男性管理職の中で初めて、4カ月の育休申請者が出たことです。管理職が4カ月も現場を離れることでどのような影響があるのか、どのような態勢でサポートすればいいか、急ピッチでスキームを組み立てているところです。この事例が弾みとなって、男性の育休取得が広がればと思っています。
 今後も現場の声を聞きながら、女性が活躍できる環境を整備していくとともに、既に管理職として活躍する女性をロールモデルとし、その経験を社内に広めていきたい。それによって、女性が将来のキャリアを描きやすいバックグラウンドを作っていきたい。それが当社の付加価値となり、市場価値を高めることにもつながると期待しています。

女性従業員の声 制度利用者の声画像

管理職になることが
女性の当たり前の
選択肢になってほしい

リペアパーツ営業所 所長
山本 泉さん

誰もが休みやすい環境づくり

 2010年、リペアパーツ営業所の立上げ時に契約社員として就職しました。2016年にダイバーシティ推進室ができ、女性管理職の登用を積極的に進めていたことから、2017年に所長に任命されました。段階を踏んで所長になった訳ではなく突然の起用だったので、最初の2、3年は非常に苦労しました。
 当時の営業所は、業務が属人化しており、組織としての体制が整っていませんでした。今後、女性が育児や介護と仕事を両立し活躍するためには、育休や時短勤務を後ろめたく思うことなく取得できる環境にしなくてはならないと思いました。そのためには、属人化している作業を平準化し、一人ひとりが他の人の仕事をサポートできるようにマルチタスク化をすることが必要です。そこで、現状のタスクをすべて洗い出すという手間のかかる作業からスタートしました。現場からは猛反発がありましたが、数人の賛同者をキーパーソンとし、地道に改革を進めていきました。
 結果的に、業務の平準化とマルチタスク化によって、誰もが休みやすくなり、その方が自分たちも楽だということに社員も気づいたことから、改革が加速しました。
 反発されても改革を進めるという本気の姿勢を背中で示したこと、新卒採用を進めて新しい空気を入れたことなども、改革の促進につながったと思っています。

女性管理職を増やすには、意識改革とサポートが必要

 私はもともと専門を極めたいタイプで管理職になるという発想は全くありませんでした。女性にはまだそういうタイプが多いと感じています。後に続く女性を増やすためには、女性の意識改革と会社からのサポートの両輪が必要です。当営業所では、小さなチームでリーダーを任せるなどして経験を積み、自信を持たせることから始めています。また、ポストを与えるだけでなく、管理職になった女性には、できるだけサポートをしたいと考えています。
 次世代の女性たちには、キャリアデザインの中で管理職という選択肢が当たり前になるようになってほしいと願っています。

(データの取材時点:2020年10月)

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