女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集

厚生労働省

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2020年度

株式会社 平和堂 (卸売業、小売業)

正社員、パート社員も利用できる独自の育児・介護関連制度を拡充

認定マーク

企業プロフィール

設立
1957年
本社所在地
滋賀県彦根市
事業内容
食料品・衣料品・住居関連品等の総合小売業
従業員数
19,851人(うち女性15,199人)
企業認定・表彰等
くるみん認定、えるぼし(認定段階2)、均等・両立推進企業表彰

取組内容

仕事と育児の両立支援仕事と介護の両立支援再雇用制度短時間正社員制度女性管理職登用

特徴的な制度・取組など

  • ゆとりライフ制度を導入し、正社員だけでなく、パート社員についても育児・介護の事由で利用できる制度を拡充。
  • 育児休業中の社員が安心して復職できるよう、セミナー等の開催。

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インタビュー

  • 教育人事部
    金田 千恵子さん(右)
    森下 美咲さん

取組のきっかけ・経緯
1991年に独自の「ゆとりライフ制度」を制定

 平和堂は滋賀県を中心に近畿地方・北陸地方・東海地方で総合スーパーとスーパーマーケットを展開する会社です。女性従業員が圧倒的に多い会社でもあり、1986年に男女雇用機会均等法が施行したこと、また、初の女性店長が誕生したことをきっかけに、女性の働く環境を整えるべく、1991年に「ゆとりライフ制度」を制定・導入しました。従来は妊娠・出産した女性は同じ働き方を続けるか退職するかの選択肢しかありませんでしたが、「ゆとりライフ制度」によって、休業制度、時短制度などを利用しながら働き続けることができるようになりました。「ゆとりライフ制度」は、その後も見直しを繰り返し、拡充し続けています。
 女性管理職については、「2020年度に管理職に占める女性の割合を10%まで引き上げる」という目標を掲げ、ワーク・ライフ・バランスが図りやすい環境づくりを推進中です。

具体的な制度の内容
法律よりも手厚い育児支援制度を

「ゆとりライフ制度」とは、正社員だけでなく、パート社員についても育児・介護等の事由で利用できる制度で、大きくは、・短時間勤務制度、地域を限定してはたらく・限定勤務地制度、・休職制度、・再雇用制度の4つがあります。
・短時間勤務制度
 子どもが小学校4年生になるまで利用できるもので、現在、1,109人の女性従業員のうち、100名が利用しています。通常は8時間勤務ですが、6時間または7時間勤務の選択ができます。シフト制勤務のため、トータルの勤務時間、たとえば7時間×21日=147時間を確保できれば、事情によって5時間勤務の日があってもいいなど、柔軟な運用をしています。育児だけでなく介護でも利用できます。
・限定勤務地制度
 当社は2府7県に出店しており、その範囲の中で転居を伴う異動がありますが、本制度を利用すれば勤務地を自宅から90分以内に限定することができます。希望者は給与支給率が90%となりますが、育児や介護事由であれば、95%で利用することができます。利用実態としては、子育て中の女性の利用が多いです。
・休職制度
 育児・介護休業法では1年間ですが、当社では育休については最大3年間休業できる制度を独自に設けています。当社の育児休職制度の利用率はパート社員も含めて99%です。
・再雇用制度
 育児事由で一度は退職した社員が小学校就学直後の5月15日までの期間であれば、産休前の社員区分で再雇用を申請できるという制度です。

取組の成果・取組を進めたことによる効果等
女性が働き続けられる環境が整った

 現在、休職制度の利用率はほぼ100%。短時間勤務制度を利用する子育て中の女性も多いです。この制度によって、妊娠・出産後に働き続けるという選択肢が増え、出産を理由に退職をする女性は少なくなりました。
 また、当社では、育児のために休職している社員を対象に「はとパパ・はとママセミナー」を開催しています。仕事に復帰するにあたっての不安や悩みについてグループディスカッションを行ったり、復職後の1日をイメージするワークタイムを取ったり、先輩からアドバイスを受けたりといったプログラムで、参加者たちからは「仕事に戻る自信がついた」「安心できた」という声が寄せられています。

取組を進めるにあたっての工夫・苦労
女性管理職を増やすためにさらに改革を

 「ゆとりライフ制度」は、できた当初は、休職期間も短時間勤務制度の適用期間も1年間でした。しかし、従業員の声を受けて、少しずつ拡充してきました。
 大きな課題は、女性のキャリアアップ支援です。当社では、2020年までに女性管理職率10%という目標を掲げていますが、直近のデータ(2020年10月)では4.7%。まだまだ道半ばといったところです。
 産後の復帰の道は開かれていますが、復職後のキャリアをどうデザインしていくか、短時間勤務の約10年間、キャリアのスローダウンをどう会社として支援するのか。
 また、管理職=長時間勤務のイメージが女性のキャリアアップのネックとなっているのなら、たとえば複数の管理職でワークシェアリングをしてはどうか、など、さまざまな可能性を探っているところです。

今後の課題・展望
従業員の声を聞きつつさらなる改革を

 2019年4月から働き方改革関連法が施行されました。それをきっかけに、当社では、人事制度や福利厚生を見直しているところです。「ゆとりライフ制度」もここ10年は大きな改訂をしておらず、利用者ニーズや時代に合っていないところもあるため、見直しを進めています。
 従業員からは、短時間勤務制度や限定勤務地制度の利用期間を延長してほしい、限定勤務地制度の通勤時間制限をさらに短縮してほしいなどの声が挙がっており、今後の検討課題となっています。
 制度を利用して出産後も復帰する女性は増えています。この方たちが、今後も能力を発揮しながら輝いて働き続けられるよう、いろいろな働き方の選択肢を増やしたい。管理職の意識改革も必要ですし、会社としてももっと背中を押していけるよう、制度を整えていきたいと考えています。

女性従業員の声 制度利用者の声画像

制度だけでなく、
上司の理解や周囲の助けの
おかげで復帰できた

アル・プラザ宇治東
インナーウェア主任
大西 瞳さん

休職中の復職支援が励みになった

 2001年4月入社。2014年に結婚、妊娠し、2015年4月から産休に入りました。休職制度を利用して2017年4月に復帰。同年9月からインナーウェア売場に主任として着任しました。
 育休中、会社が復職支援を目的に開催する「はとパパはとママセミナー」に参加し、情報交換を通じて育児不安が解消したり会社とつながっている自分を確認できてよかったです。
 当社では、最大3年間育休が取得できますが、同僚や友人から会社の情報などを聞くうちに働きたいという気持ちが強くなり、2年で復帰することにしました。

部下を信じて任せることが大事

 1日6時間、朝10時から夕方5時までの短時間勤務制度を利用して、休業前と同じ主任の職位で復職しました。
 育休後は、主任から係に職位を下げて復帰する人がほとんどで、私も最初はそのつもりでしたが、はとパパはとママセミナーで得た情報と友人や家族の後押しもあり、「ここまで積み上げたキャリアを生かしもう少しがんばりたい」という気持ちになりました。しかし、躊躇はありました。
 一番の不安は、これまで8時間でしていた業務を6時間でできるのか、また、夜9時までフルで働けない短時間勤務の私に務まるだろうかということでした。たとえば部下は夜9時まで残るのに自分は5時には帰ってしまう。周囲に迷惑ではないかと悩み、上司に相談すると、「働きたいという強い気持があるなら大丈夫」と背中を押されました。
 復帰後は、いい意味で「あきらめ」がよくなりました。1から10まで全部自分が関わろうと思わない。「ここからは任せるからあとは思う存分やってね」と部下を信じて任せるようになりました。また、夜残れない分は朝の時間帯でやる、家族の手が借りられる日は可能な限り遅番に入る、というように、時間を融通するようになりました。
 子育てで大変なのはほんの短い間。それなのにスキルのある人が辞めるのはもったいない。私を見て、「あのくらいなら真似できそう」と、出産後、主任として働くことを前向きにとらえる人が一人でも増えてくれればと願っています。

(データの取材時点:2020年10月)

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