女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集

厚生労働省

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2018年度

福井県民生活協同組合 (卸売業、小売業)

「働く女性の応援団」として女性職員の仕事と家庭の両立やキャリア形成をサポート

認定マーク

企業プロフィール

設立
1978年
本社所在地
福井県福井市
事業内容
卸売業、小売業(食品小売事業など)
従業員数
1,582人 (うち女性 1,200人)
企業認定・表彰等
くるみん認定、プラチナくるみん認定、えるぼし(認定段階3)、プラチナえるぼし、均等・両立推進企業表彰

取組内容

女性活躍推進 女性管理職登用

特徴的な制度・取組など

  • 女性が働き続ける上での悩みや課題を共有する場として、キャリアの段階に応じた3つの会合を導入
  • 男性の育児参画を促進するため、ベビー休暇制度、配偶者出産休暇(いずれも有給)を整備するとともに男性の育児休暇取得を推進
  • 多様な働き方に対応できる雇用制度を整備(働くエリアと職種を選択できる)
  • 事業部選抜メンバーによる管理職候補者育成研修に女性職員の積極的参加を促し、若手女性職員のリーダー・チーフへの登用など若手育成の取組も実施

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インタビュー

  • 管理部 人事教育・採用グループ
    課長
    織田 貴美恵さん

取組のきっかけ・経緯
共働きが多い県下で「働く女性の応援団」として職場環境整備に注力

 当生協は、福井県下で事業を展開する生活協同組合です。女性職員の割合はパートタイム職員、アルバイト職員を含めると75.9%、正規職員の女性比率は52.0%、女性管理職比率は27.1%です。

 現在、組合員は17万人を超え、福井県全域における世帯加入率は57.2%で、全国の都道府県で4番目の高さです。福井県は昔から、共働き比率が非常に高い(※)こともあり、当生協は宅配事業等を通じて、組合員の仕事と家庭の両立を支えてきました。さらに、組合員の大多数が女性であるということもあり、創立当初より「働く女性の応援団」として、女性が働きやすい職場環境づくりを進め、さらに、男女共同参画の考え方から、男女ともに同じ職域、勤務体系としていました。

 両立支援の取組の推進以前は子どもが生まれると、長い時間働き続けられなくなることから、女性職員の中には妊娠や出産を機に離職する場合があり、継続就業が課題となっていました。そこで、2007年にくるみん認定を取得したことをきっかけに、一層取組に注力しました。認定を取得したことで、制度の整備も進めやすくなりますし、職員の意識も変わると考えたからです。(制度詳細は後段)。また女性のキャリア支援として、上位職(管理監督職)への登用や男性が中心だった職種への登用(宅配センター長、店舗店長、介護施設長)を進めました。さらに女性のパート職員から正規職員へ積極的に登用を進め、活躍の場を広げることにも取り組みました。これらの取組により、2017年にプラチナくるみん認定、2020年にプラチナえるぼしを取得することができました。

 ※2020年度国勢調査においても福井県の共働き率が全国1位(61.2%)となっている。(1995年から連続1位)

具体的な取組の内容

女性職員が抱える悩みや課題を共有する機会を創出し課題を解決

 職員の仕事と家庭の両立を支援するため、両立支援制度については、法定を上回る内容で整備しています。育児休業制度は、最長で産後休業終了後2年間まで取得可能としており、法定より2か月間長く取得することが可能です。介護休業についても、最長1年半取得可能です。分割取得については、法定通り、3回まで可能です。

 さらに、育児や介護を抱えた職員でも継続して働き続けられるよう「短時間勤務制度」を設けています。これは、小学校入学前の子供を養育する職員について、1日2時間まで勤務を短縮して働くことができる制度で、現在、1名の正規男性職員と13名の正規女性職員が短時間勤務を選択し、子育てと仕事のバランスを取りながら元気に働いています。

 当生協は男性の育児参画を推進するため、2008年にベビー休暇制度を導入しました。これは、子が1歳までの間に育児休業を取得していない場合に、土日を含み連続7日間取得可能な休暇で、取得時には1万円を給付しています。年度によって人数は変わりますが、毎年3名程度が取得しています。また、配偶者出産休暇は、配偶者が出産する際に5日間の連続休暇を取得できる制度であり、コロナ禍前の取得率は50%でしたが、コロナ禍により従業員の意識に変化があったためか、2022年度以降は75%となっています。いずれの休暇も有給としています。男性職員の育児休業取得は、2週間から1か月程度の取得が中心であり、取得者は年々増加しています。

 その他、企業内託児施設による定期及び一時預かり(1時間200円、1か月上限2万円)を整備しています。

 当生協では、県下に39施設を有しており、拠点は県内に広く分布していることから、通常、各地の職員同士が顔を合わせる機会は限られています。このため、女性職員同士が抱える悩みを共有したり、キャリアを考える機会として、それぞれの状況等に応じて、次のような取組を行っています。

 ① 女性のつどい(2012年~):女性職員が集い、講師を招いた講演会を開催、テーマを設定して常勤役員とディスカッションすることで、「自分の将来ありたい姿」(ビジョン)を描く会合。年1回開催。

 ② くるみんの会(2007年~):育児休業中又は育休から復帰した女性職員を対象に、組織の活動方針や組織の状況の共有、自身の近況報告等を行うことで、育休中の職員や復帰後の職員の不安や悩みを解消することを目的に開催。年2回開催。

 ③ ポジティの会(2015年~):育児休業から復職して2~3年経過した職員を対象に、今後の自身のキャリアビジョンについて考え、キャリア意識を高めていくための意見交換や研修の場として開催。活動期間は各人3年程度。年2回開催。

取組の成果・取組を進めたことによる効果等
女性職員が自らのキャリアを考え、積極的に行動

 2007年以前は、出産や育児を理由に離職する職員がいましたが、今では、これらの理由で離職する職員はいません。また、くるみんの会等の取組により、育児休業取得後の働き方について、休業前からイメージできるようになり、復職後に利用可能な制度についても浸透しました。多くの職員が制度を利用するようになったことで、制度がより利用しやすい環境になりました。また、男性の育児参画を進めた結果、育児休業を取得した男性職員からは、仕事と育児を両立している女性職員がいかに大変であるかが分かったという声が聞かれ、仕事と育児を両立している職員に対する職場の理解も深まりました。

 プラチナくるみんやプラチナえるぼし認定を取得し、認定マークをWebサイトや採用のページ等に掲載したところ、当生協を志望する学生のほか、当生協を志望する高校生の親御様も当生協の取組を見てお子様に薦めて下さるなど、思いの外多くの方に関心を持って頂いています。

 また、ポジティの会等の取組を通じて、女性職員が自らのキャリアについて考えるようになり、積極的に行動する職員が増えてきたことも大きな成果だと考えています。

 2022年度から開始した管理職候補者育成研修の女性職員参加比率も年々高くなりました。研修は日中開催(保育園等のお迎えの時間に間に合うカリキュラム)、業務扱いにすることで育児中であっても無理なく参加できるようにしています。

今後の課題・展望
男女ともにモチベーション高く働き続けられるように

 現在、人手不足が深刻化していることもあり、女性のみならず、全ての職員が働きやすく、いつまでも働き続けたいと思う環境を構築し、維持したいと考えています。採用においても、以前より多く人数を確保するとともに、各年代で男女が隔たりなく活躍できる環境づくりを進めています。また、女性職員の仕事へのモチベーションをより高めることで、管理職を目指す女性を更に増やしたいと考えています。

従業員の声 制度利用者の声画像

育児が少し落ち着き、今後のキャリア形成に向けて
「楽しく自己啓発」しています

管理部 人事教育・採用グループ
担当
阪井 多美子さん

両立支援制度により学童保育の迎えに対応

 私は新卒で当生協に入協しました。長男の出産の際には、育児休業を約1年取得して復帰し、次男の時には育児休業を1年2か月取得して復職しました。復職後はいずれも、育児短時間勤務で勤務時間を2時間短縮し、9時~16時で勤務していました。次男が小学4年生になった時点で、8時間のフルタイム勤務をしています。また、勤務時間帯については、8:30~17:30と、30分前倒しで勤務しています。


「楽しく自己啓発」してキャリアを重ねたい

 育児休業中からくるみんの会に参加したことで、休業中も組織の様子や主な出来事、年度方針等を知ることができ、自分と組織とのつながりを確認する機会となり安心できました。また、仕事と育児を両立している職員の話を聞くことができるため、育児休業期間中から、復職後の生活のイメージがわき、両立の工夫等も知ることができて、復帰に向けた心の準備もできました。その後のポジティの会は、初代メンバーであり事務局でもあったため、手探りの状態で活動を始めましたが、くるみんの会を卒業した後にも、仕事と家庭の両立等で抱える悩みを共有するとともに、その後のキャリアについて考えられる場があった方がよいと考えてキャリア意識を高める場として活動しました。

 今は子育ても落ち着き、フルタイム勤務で職員教育に携わっていますが、職員が少しでも自信を持って前に進めるように、カウンセリングや発達心理学について、自分でも楽しく勉強していきたいと考えています。

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