女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集

厚生労働省

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2020年度

株式会社日豊ケアサービス (医療、福祉)

育児と仕事、そして介護も当たり前に両立できる社会に

認定マーク

企業プロフィール

設立
1998年
所在地
大分県豊後高田
事業内容
介護付き施設、有料施設、通所サービス、福祉用具レンタル、販売、訪問介護
従業員数
105人(うち女性90人)
企業認定・表彰等
くるみん認定、プラチナくるみん認定、えるぼし(認定段階2)

取組内容

仕事と育児の両立支援仕事と介護の両立支援再雇用制度短時間正社員制度

特徴的な制度・取組など

  • 育児と介護の両立支援(メンター制度、転換制度等)
  • 多様なキャリアパス
  • 資格取得補助 ほか

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インタビュー

  • 通所・居宅事業所法人取締役
    兼ケアマネージャー兼事業所長 坂本 純子さん

取組のきっかけ・経緯
トップが変わったことから改革が急速に進んだ

 日豊ケアサービスは、大分県を拠点に、介護付き有料老人ホーム、住宅型有料老人ホーム、通所介護事業所の運営やヘルパー派遣等を行っています。私たちは、日々豊かな暮らしができるように、職員が介護や子育てをしながら、安心して長く働き続けられる職場を目指しています。
 私自身は、介護保険制度導入前から福祉業界で働いており、介護職の地位の低さ、そこに起因する意識の低さ、厳しい職場環境、高い離職率という悪循環に以前から問題意識を持っていました。介護職の待遇を向上させ、介護という仕事のすばらしさを伝えないことにはいつまでたっても介護職の意識は向上しないし、働く環境も良くならないと強く思い、改革を求めてきましたが、なかなか変わりませんでした。ところが、トップが変わり、5人の取締役のうち、私を含む2名の女性が、現場から取締役に起用されました。これが大きな転機となり、組織内の風通しが格段に良くなったことから、様々な改革が実現しました。

具体的な制度の内容
多様な選択肢や、権限委譲によるモチベーションアップ等

 介護職は、子育てが落ち着いてから再就職するケースが多く、平均年齢は50代を超えます。すると間もなく親の介護に突入します。大分県にはまだまだ介護は嫁の仕事という意識が根強く、介護事由で退職していく人は少なくありません。向上心があり、スキルを持った職員たちが辞めていくことのない職場にしたい。そのために、様々な取組を行っています。
・多様な選択肢
 パートタイムから正社員の転換制度、短時間正社員制度などを設け、育児や介護で辞めることがないよう、多様な就労形態の選択肢を提供しています。
・法を上回る制度の充実
 育児休業3年、介護休業100日、定年後の再雇用71歳までなど、法を上回る制度づくりを行っています。また、介護との両立で息抜きが必要な職員のためにリフレッシュ休暇を設けたり、銀行や役所に用事があるときや、自分の通院や親の急な介護等で数時間だけ仕事を抜けたい際に利用できる時間有給制度も重宝されています。
 同時に、職業家庭両立推進責任者を選定。社内に周知し労働条件の改善や相談等を実施しています。
・キャリアアップ支援
 資格取得を奨励し、受験料等の費用を一部負担するなどの支援をしています。また、キャリアパス制度を導入。年1回、1対1で面談をし、目標設定に対してどこまで到達できたか、次は何を伸ばすべきかなど、話し合いながらステップアップを支援します。ステージが上がれば給料も上がりますので、職員たちの励みにもなりますし、仕事に対しても誇りを持って取り組めるようになっています。
・権限委譲によるモチベーションアップ
 現場を知らない管理職ではなく、日々がんばっている現場の方々に責任と権限を委譲し、利用者のニーズに即した運営を現場の判断で行っていただいています。組織内の風通しがよくなり、現場の意欲も向上しています。

取組の成果・取組を進めたことによる効果等
離職率が激減し、キャリアアップ志向も高まった

 従来は、制度があっても後ろめたさがあって有給などを取りづらいという雰囲気がありましたが、組織改革によって風通しがよくなり、お互い様の精神で、社員同士で相談しやすい風土になりました。この5年間の育児休業取得率、復職率は100%を維持しています。メンター制度を導入して、休暇制度の周知や、困りごとの相談など、きめ細かな支援を行っていることも、定着率向上につながっています。
 子育てや介護等を利用とした離職率は激減し、10年以上勤務している職員もたくさんいます。
 また、介護福祉士等の資格試験にチャレンジする職員も増え、上昇志向が高まっています。
 現場に権限委譲したことで、仕事に誇りを持ち、自分たちで介護の環境や、サービス内容をよくしようという積極性が生まれてきました。やらされ感ではなく、主体的に働き、利用者に喜んでいただけることが、やりがいにもつながっていると思います。

取組を進めるにあたっての工夫・苦労
職員がプライドを持って働ける環境づくりが鍵

 長年この仕事を続けてきて思うのは、「トップが変わらなければ何も変わらない」ということ。
 介護職は、医療や看護職とも近い関係にありますが、その待遇差は歴然です。医療も大事ですが、食事や排せつの世話をする介護という仕事は人間になくてはならないこと。介護職の地位を上げ、プライドを持って働ける環境づくりが私の長年の願いでした。
 状況が大きく変わったのは、現場の意見を聞いて、積極的に改革を進めてくれるトップがいたからです。しかし、トップダウンだけでもだめで、現場がいかに主体性を持って行動できるか。そのために、責任と権限の委譲は不可欠だと思います。

今後の課題・展望
介護という仕事を誇れる社会の実現を

 会社も変わりましたが、世の中も変わり、法整備等により、介護職の地位は以前よりは高まってきました。しかし、まだまだ介護職という仕事のイメージは低く、仕事に対して報酬も十分とは言えません。
 誰でもがいずれは介護を受ける立場になります。仕事も育児も介護も当たり前に両立できる社会、そして、介護という仕事を誇れる社会に変えていけるよう、微力ながら活動を続けていきたいと思います。

女性従業員の声 制度利用者の声画像

理解のある職場と
制度のおかげで
介護も仕事も両立できた

デイサービス
オリーブ宇佐デイ介護職
矢治 みどりさん

様々な制度を利用して仕事と介護を両立

 以前は医療事務の仕事をしていましたが、子育てで中断し、47歳のときに当社に正社員として再就職しました。年齢的に他の仕事に就くのが難しかったこともありますが、介護の仕事に以前から興味があり、ヘルパー2級も取得していました。その後、介護福祉士も取得しました。
 入社して5年目に夫が若年性認知症を発症。他に頼れる人がおらず、介護生活と仕事との両立が始まりました。
 夫は徘徊が始まり見守りが必要でした。上司に相談すると、親身になって使える制度などを教えてくれました。しかし、徐々に認知症が進行し、働き続けることが困難に。時短社員に転換しようか、パートに転換しようかと悩みましたが、経済的な事情もあり、なんとか続けたい。そこで再び上司に相談すると、介護休業や時間単位の有給休暇の制度を利用して継続することをすすめられました。そのおかげで、なんとか介護と仕事の両立を乗り越えることができました。

困ったときには、悪びれず助けを求める勇気を

 最初は、家庭の事情を人に話すことに抵抗がありました。同僚の理解が得られるか、頻繁な有給取得などで迷惑をかけるのではと不安だったのです。しかし、上司が会議の席でこの問題を提起してくれたことで、自分の言葉で周囲に事情を話すことができました。
 介護の仕事をしているものの、自分の家族に要介護者がいるとなると、精神的にも体力的にも辛くなることが多いものです。このような時に、理解ある職場は大変支えになりました。愚痴を聞いてもらえたり、よい情報をいただけたり。仕事が気分転換にもなり、乗り越えられています。
 様々な制度のおかげで、介護の仕事と家族の介護が両立できて本当によかったと思っています。正社員で働き続けることができ、収入面でも大変助かっています。
 自分の家族が要介護になったとき、勇気を出して打ち明けることでみんなが助けてくれました。一人で抱え込まず、相談することは大事だと思います。
 今は目の前の仕事と介護で精一杯ですが、講習があれば参加して、スキルアップも続けていきたいと考えています。

(データの取材時点:2020年10月)

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