女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集

厚生労働省

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2020年度

ダイハツ工業株式会社 (製造業)

両立支援は着実に前進今後は、男女問わず一人ひとりが輝ける会社に

認定マーク

企業プロフィール

設立
1907年
本社所在地
大阪府池田市
事業内容
自動車、産業車両、その他各種車両およびその部品の製造、販売、賃貸および修理ほか
従業員数
13,156人(うち女性978人)
企業認定・表彰等
くるみん認定、えるぼし(認定段階3)

取組内容

仕事と育児の両立支援テレワーク男性育児参画事業所内保育施設女性管理職登用

特徴的な制度・取組など

  • 企業内保育所の運営
  • 育児休職は子の2歳の誕生日まで
  • 子の看護休暇
  • 時間外労働・深夜業の制限、所定外労働の免除(子が小4修了まで)
  • 短時間勤務、妊娠期休職 ほか

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インタビュー

  • 人事室労務・給与グループ
    ダイバーシティ推進チーム
    チームリーダー 主担当員
    岡崎 江美さん

取組のきっかけ・経緯
女性が輝く会社から、全ての人が輝く会社に

 ダイハツ工業株式会社は1907年の創業以来、世界で愛されるスモールカーづくりを目指し、軽自動車を中心とした事業を歩んできました。軽自動車販売の国内シェアは3割を超え、2006年より連続14年間、第1位をキープしています。2017年に創立110周年を迎え、「Light you up」を新スローガンとし、世界中の一人ひとりが自分らしく、軽やかに輝くモビリティライフを提案し続けています。
 当社では20年以上前から女性活躍支援に取り組んでいます。軽自動車の利用者は女性が多いこともあり、女性が活躍できる職場環境は、当社にとってはいわば当然の流れでした。育児休業(子どもが2歳になるまで)や、時間外労働等の免除(子が小4修了まで)、短時間勤務、妊娠期休職、時差出勤、子どもの看護休暇などの両立支援は、早くから充実しており、社内でも広く認知されています。皆、複数の制度を上手に組み合わせてワークとライフの充実に活用しています。出産後、育児を理由に離職する女性はほぼ皆無です。
 これからは、「Light you up」(=一人ひとりに光を当てる)というスローガンにも示されるように、女性だけに限らず全ての社員が輝ける職場環境を目指そうと、2018年、人材開発室内にダイバーシティ推進チームを発足しました。

具体的な制度の内容
企業内保育所、男性の育休奨励、在宅勤務など

・企業内保育所を設立
 「保育所探しが大変」「職場の近くに預けられれば安心」などの声を受け、企業内保育所を設置しました。少しでも利用者の負担を減らすために「手ぶら登園」できるのが特徴で、大変好評です。女性の早期復帰にもつながっています。
 企業内保育所は、育児期の女性社員の支援だけでなく、定年間近の女性のセカンドキャリアの選択肢としての狙いもあります。自動車製造業という男性中心の業界において、女性のキャリアパスが描きにくいという課題の解決策の一つとなればと考えています。
・女性管理職への育成・登用
 従来から女性管理職の登用は行っていましたが、ダイバーシティ推進チームの発足後、より積極的に取り組み始めました。目標値を設定し、まずは、管理職候補の育成からスタートしています。
・育休前研修の実施
 パートナーと参加して、制度の説明や、育休中の生活、復帰後の両立のコツなどを学んでいただきます。夫婦間の理解が深まり、また復帰後の不安が軽減されると好評です。
・男性育児休業の取得を推進
 育休を取得する男性はいましたが(取得率5.3%)、さらに推進するため2021年4月より、連続5日以上の育児休業取得者に支援金を支給します(女性も対象)。
・研修による意識改革
 ダイバーシティに対する意識や知識向上のために、全社員を対象とした研修を開催しています。また、主に管理職を対象に、アンコンシャスバイアスに関する研修も行っています。
・在宅勤務制度の導入
 2020年4月より、育児・介護者を対象として在宅勤務制度を導入する予定でしたが、新型コロナウイルス対策により、全社員に導入することになりました。育児・介護者の利用を初めとして、それ以外の社員にも活用が広がり、「ワーク・ライフ・バランスが良くなった」「仕事の効率が上がった」という声が多数上がりました。今後も全社員を対象とした制度として定着させていく考えです。

取組の成果・取組を進めたことによる効果等
長年の取組によって着実な成果が

 長年の両立支援によって、女性の育休後復帰は100%。女性の平均継続勤務年数は16年で、男性の18.8年に迫る勢いです。
 2018年から2020年の女性の管理職者昇格の割合は11.8%で、男性の9.2%を超えました。女性管理職比率は現在2.4%ですが、5年後に2倍を目標とし、その後も段階を経て増やしていく考えです。

取組を進めるにあたっての工夫・苦労
新スローガンとともに全社的なムーブメントに

 1986年の男女雇用機会均等法施行以来、様々な女性活躍施策に取り組んできましたが、なかなか全社的なムーブメントに至りませんでした。2017年に、「Light you up」という新スローガンができたことを機に、潮目が変わりました。「Light you up」のコンセプトは、「すべての人が自分の色、自分の輝きを見つけ出す世界」であり、ダイバーシティの方向性とも合致しています。ダイバーシティ推進はボトムアップの活動でしたが、トップからもダイバーシティの重要性を発信していただく機会が増え、その結果、全社的なムーブメントへと広がりつつあります。

今後の課題・展望
意識改革を含め地道な取組を継続していく

 若い世代では、ダイバーシティや女性活躍が当たり前に浸透しており、男性の育休や在宅勤務にもあまり抵抗はありませんが、世代間の意識の違いはまだ残っています。このギャップをいかに埋めていくかが課題です。管理職を中心に、アンコンシャスバイアスを払拭し、ダイバーシティやワーク・ライフ・バランスの大切さを根気よく伝えていく必要があります。また、女性がより活躍できる環境についても、引き続き検討し、女性管理職の育成にも力を入れていきたいと考えています。

女性従業員の声 制度利用者の声画像

充実した制度と
周囲の理解のおかげで
ワークとライフを充実

コーポレート統括本部
LYU・SDGs・環境推進室
副主任
谷口 さやかさん

出勤と在宅勤務双方のメリットを活かして働く

 2008年に入社し、2017年より産休・育休を第1子、第2子連続で取得。2020年4月に元の職場に復職しました。
 自宅が遠いため保育園の送迎が心配でしたが、ちょうど企業内保育所が開設し、第2子がお世話になっています。子どもがすぐそばにいることや急な呼び出しの際にもすぐに駆け付けられる安心感があり、仕事にも集中して取り組めます。また、「手ぶら登園」など、仕事との両立を一番に考えてもらえるためとても助かっています。
 復帰直後は、短時間勤務制度を活用しましたが、もっと仕事に打ち込みたいという気持ちもあり、「在宅勤務制度」を利用してフルタイム勤務に変更しました。在宅勤務では一時的な離業が認められるため、16時など定時より早く一度退社して、保育園の迎えや食事等の育児を済ませたあと、在宅勤務で再び仕事に就くという働き方が可能になります。上司への相談やメンバーとディスカッションしなければいけないことは出社中にやりきり、そのアウトプットを自宅に持ち帰って、再就業時にはそれをもとに一人でじっくり考え資料作成というように利用しています。出社と在宅勤務の両方のメリットをうまく活用でき、効率的かつ効果的に働けていると感じます。

制度と上司や周囲の理解、そして自らも努力が必要

 制度によって子育てと仕事を両立できることは大変ありがたいですが、メンバーに迷惑をかけないか、周囲が不公平感を覚えるのでは、などの不安がありました。幸い、上司やメンバーの理解に恵まれているおかげでワーク・ライフ共に充実した日々を送れています。制度は、個人の事情を理解し、制度を活用することを快諾し、フォローしてくださる上司やメンバーがいて初めて成立するものだと実感しています。部署内だけでなく全社的に制度に対する理解が深まるとより利用しやすいと思います。一方で、制度を利用する立場としては、制度を活用することで成果を高め、少しでも職場や会社への貢献に繋げられるよう意識しなければいけないと思います。
 今は仕事と育児家事をこなすだけで精一杯ですが、自己研鑽できる時間も見つけて、仕事の質を高め、少しでも目に見える成果を出していければと思っています。

(データの取材時点:2020年12月)

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