女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集

厚生労働省

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2020年度

株式会社 第一ビルサービス (サービス業(他に分類されないもの))

育児との両立支援は当たり前男女の区別なく評価し全社員が働きやすい環境を

認定マーク

企業プロフィール

設立
1963年
本社所在地
広島県広島市
事業内容
プロパティマネジメント(PM)、ビルメンテナンス(FM)、マンション管理、コンストラクションマネジメント(CM)等
従業員数
838人(うち女性349人)
企業認定・表彰等
えるぼし(認定段階3)

取組内容

仕事と育児の両立支援男性育児参画短時間正社員制度女性採用拡大女性管理職登用

特徴的な制度・取組など

  • 時短期間の延長など育児休業からの復帰を手厚くサポート
  • 男女平等に能力による評価、昇進昇格ができる制度
  • 男女とも、キャリア育成のための研修を実施 ほか

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インタビュー

  • 取締役
    杉川 綾さん

取組のきっかけ・経緯
労働力不足や女性活躍支援の流れを受けて

 株式会社第一ビルサービスは、不動産業、介護事業、保育事業、給食事業、商業施設運営等を行うみどりグループの中核をなす企業です。『笑顔あふれる「ひと」「まち」「ゆめ」づくりに貢献』する企業グループとして、中国・四国地方でビルメンテナンス、マンション管理といった不動産総合サービス事業を展開しています。
 ここ数年の労働力不足は当社も例外ではなく、特にビルメンテナンス部門の清掃スタッフの採用は厳しい傾向があります。また、昨今のワーク・ライフ・バランスの重視や、女性活躍、働き方改革の流れもあり、両立支援や、業務改善ならびに、人事制度の改定に取り組みました。

具体的な制度の内容
両立支援、業務改善、公平な人事評価等

・両立支援の取組
 育児における短時間勤務を、法定を上回る小学校卒業までに延長しました。個々の状況に応じて最大2時間の短縮が可能です。男性の育児休暇の取得にも積極的で、配偶者が出産した男性従業員に、特別休暇(有給)の利用を促しています。そのほか、育休取得予定者に対しては早い段階から、人事担当者、上長を交えた面談を行い、復帰後の支援体制等を話し合って、復帰後の不安を払拭しています。
・業務改善
 女性に限らず、全社員のワーク・ライフ・バランスの充実と生産性向上を目標に、業務改善に取り組みました。
 まず、手書きで行っていた勤怠管理を、タイムレコーダーの導入によって見える化。残業は「事前承認・申請ルール」を徹底し、残業時間を削減しました。また、会議時間は短時間で効率的にと定め、長時間労働の減少に努めています。
 そのほか、部署横断プロジェクトを立ち上げて、RPA(ロボテック・プロセス・オートメーション)の導入を検討。業務の自動化や効率化を進めています。
・人事制度の改定
 当社の職制は、異動、出向があり、業務範囲を限定しない総合職社員、異動、出向がなく専門的な業務に従事する専門職社員、技術職社員、定時(パート)社員に分かれています。2017年に、人事制度を大幅に改定し、職制の変更や異動を希望する社員には上長が面接を行い、社員の希望に応じたキャリアプランの選択を可能にしました。
 また、昇進昇格要件規定を明文化し、男女関係なく公平に評価し、必要な要件を満たした者は昇格・昇進できるようになりました。
・研修制度の充実・資格取得の奨励
 キャリア育成のための研修も、男女の区別なく実施しています。また、業務に関する技術や知識を学ぶための研修も実施。資格取得の支援も行っており、定められた資格を取得すると会社から祝金がもらえる「資格祝金制度」もあります。

取組の成果・取組を進めたことによる効果等
女性管理職を増やし、出産後復帰するのは当たり前の文化に

・女性比率、女性管理職比率が向上
 ここ数年の急成長に伴い、従業員数も急増。男女分け隔てなく採用活動をした結果、女性比率が上昇しました。直近では、全社員中女性社員が約43%を占めています。
 人事制度の改定や、キャリア研修の実施によって、女性管理職比率も上昇しています。正社員200名中管理職数は52名で、うち8名が女性管理職です(15%)。社員からは、昇進するためにクリアすべきことが明確になり、目標を立てやすくなったという声も上がっています。
・高い定着率、勤続年数の延長
 当社は新卒の定着率が90%と非常に高いのですが、これは、新入社員を対象とした独自の体験研修で同期社員同士に強い絆が生まれることも、要因ではないかと思っています。また、出産後、育休を取得して復帰することはもはや当たり前の文化になっており、それに伴って、女性の平均勤続年数も伸びています。
・働き方改革
 業務の改善により、平均残業時間が、直近では平均月7時間程度まで削減。また、業務の効率化により、有給を取りやすくなりました。現在の平均取得率は60%となっています。
・外部からの評価
 これらの取組によって、2018年3月にえるぼし3段階に認定、同年9月に働き方改革実践企業に認定されました。

取組を進めるにあたっての工夫・苦労
ユニークな新入社員研修で帰属意識を高める

 女性に特化した話ではありませんが、新入社員向けに実施している当社独自の「体験研修」が、社員の会社への帰属意識やモチベーションを高める一つのポイントとなっています。体験研修とは、新入社員が自ら研修テーマを発案し、社長プレゼンを経て実施するというもの。過去に、無人島で5日間サバイバル生活など、ユニークな研修が行われています。仕事の厳しさ、楽しさを身をもって学び、チームワークを強めることにも一役買っています。

今後の課題・展望
入社時から男女区別なく育成する

 「女性管理職を増やしたくても適任者がいない」とはよく聞く話ですが、当社では、入社時から男女区別なく、育成や機会の提供を行ってきました。その結果、自然と女性管理職が増えてきたのであって、特に女性を特別扱いしたわけではありません。今後もこの方針で進めていきます。
 また、業務改善についても、引き続き現場の声を聴きながら継続していく考えです。

女性従業員の声 制度利用者の声画像

男女の区別なく
機会が与えられ評価される環境に
やりがいを感じています

経営企画室 主任
松川 祥子さん

様々な部署で経験を積みスキルを磨いた

 2013年に新卒で入社しました。新入社員対象の体験研修では、当社支店がある松山、岡山を瀬戸内海沿いに歩き、本社の広島に戻り、その間に出会った50人に「夢」は何か聞くという企画を実施しました。その時に苦楽を共にした同期とは今でも強い絆を感じます。
 研修後、清掃現場で働くパートさんの労務管理業務を約1年間担当。その後、ビルメンテナンスの営業を4年半務めました。病院やオフィスビルが顧客で、所有するビルの清掃、設備管理、修繕等のオペレーションを担当しました。2018年から、新規の顧客を開拓する営業開発を約2年間担当。顧客の困りごとをヒアリングし、提案書を作成してご契約をいただくという仕事です。こちらの提案がお客様のニーズに合致し成約できたときが、一番やりがいを感じる時ですね。その後、みどりグループの持株会社である、株式会社みどりホールディングス経営企画部に出向となり現在に至ります。現在の部署では、グループ全体の新規事業を検討する仕事に携わっています。これまで、一部署では実現できなかったプロジェクトも、今の部署でなら実現の可能性があります。新入社員の頃から温めていた、新商材の開発企画をぜひ実現させたいと今からわくわくしています。

計画的にステップアップできる人事制度

 当社に入社を決めたのは、採用担当者の女性から、当社なら一つの会社の中でいろいろな仕事を経験できると聞いたからです。説明をしてくれたその女性もキラキラ輝いていたのが印象的で、「ここならいろいろなチャレンジができそう」と思いました。実際、入社して8年の間に様々な異なる仕事を経験させていただきました。そのおかげで、会社の全貌がわかりましたし、多様なスキルを身につけることができました。
 当社では、男女の区別を感じたことはなく、やりたいと手を挙げさえすれば、新人であろうと何でも挑戦させてもらえる社風です。数年前から人事制度も改定され、何をすれば昇格できるかが明確になったため、勉強すべきことが明らかになりました。現在、主任ですが、まずは係長を目指し、今後も成長し続けたいと思います。

(データの取材時点:2020年12月)

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