女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集

厚生労働省

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2020年度

ソニービジネスオペレーションズ株式会社 (サービス業(他に分類されないもの))

社員ニーズにあわせて働く環境を整備。業務改善によって、休職などによる業務工数の変動をカバー

認定マーク

企業プロフィール

設立
2011年
本社所在地
沖縄県南城市
事業内容
ソニーグループ会社より事務業務の受託及び代行
従業員数
390人(うち女性321人)
企業認定・表彰等
くるみん認定、えるぼし(認定段階2)

取組内容

仕事と育児の両立支援仕事と介護の両立支援フレックスタイム制男性育児参画短時間正社員制度

特徴的な制度・取組など

  • 小学校卒業務時まで取得できる育児短時間勤務制度
  • フレックスタイム勤務制度
  • 在宅勤務(テレワーク)制度 ほか

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インタビュー

  • 人事総務部担当部長
    中元 正三さん

取組のきっかけ・経緯
女性社員8割超の会社として、両立支援は永続的に検討が必要なこと

 ソニービジネスオペレーションズ株式会社は、ソニーグループの事務業務を代行するアウトソーシング会社です。女性比率が高く、直近では82.3%を女性が占めています。育児・介護休業法に則って、1年間の育児休業や3歳までの育児短時間勤務制度は利用されていましたが、それだけでは、仕事と育児の両立は難しいのが現状です。会社としてどうしていくべきかが課題でした。
 2014年頃、当社社長の希望で、全社員とのランチ会を実施。働き方等について、社員がどう考えているのか、生の声を集めました。それと並行して、ソニーグループ全体で行っている全社員を対象とした意識調査も参考にし、様々な働き方改革を行いました。

具体的な制度の内容
社員の声を反映し、制度の整備や業務改善を

 社員の声を取り入れ、制度の充実のみならず、働く環境の改善を段階的に行ってきました。社長との意見交換会は毎年行い、改善を続けています。
・勤務時間の見直し
 最初に取り組んだことは、勤務時間の見直しでした。以前は変形労働時間制により月によって異なる勤務時間でしたが、業務改善により、業務品質を維持しながら、生産性の向上を図ることができ、フレックスタイム勤務制度の導入などに繋がりました。
・育児短時間勤務制度の充実
 法定では子ども3歳までの育児短時間勤務制度を、小学校卒業時までに延長しました。そのほか育児中の社員には、所定外労働および時間外労働の制限、子の看護のための休暇制度があり、仕事と育児の両立をサポートしています。
・在宅勤務制度の導入
 ソニーグループのネットワーク環境を活用し、在宅勤務が可能に。コロナの影響もあり、現在は、6~8割程度の人が利用しており、働き方の選択肢が広がりました。
・年次有給休暇の時間単位取得制度
 年4日まで1時間単位で有給休暇を利用することが可能です。子どもの病時などの利用が多いです。
・正規社員登用制度・準社員転換制度
 経験を積み、専門性を高めることで、契約社員や準社員から正規社員に登用される正規社員登用制度があります。契約社員から準社員に転換できる準社員転換制度もあります。ワーク・ライフ・バランスを考えて、本人の意向に沿ったキャリアを選択できる仕組みです。
・キャリア面談
 男女を問わず、社員の計画的なキャリアアップをサポートするために、年2回上司と面談し、成長に向けた目標設定や目標に対する進捗および達成度の確認、中期的なキャリアの展望などを話し合います。
・研修制度
 チューター、リーダー、マネジメントなど役割に応じた知識を学ぶことができる「役割別研修プログラム」、業務を進めるためのスキルを高める「専門スキル研修プログラム」の2つを柱とし、体系的な研修を行っています。
・心身の健康面のサポート
 安心して働けるために保健師が常駐し、健康相談や悩み相談、メンタル面のサポートをしています。安心して働けるために保健師が常駐し、健康相談や悩み相談、メンタル面のサポートをしています。

取組の成果・取組を進めたことによる効果等
離職率低下、男性の育児休業取得者も

 制度の導入や職場環境の改善により、働きやすい環境が 整ってきたため、離職率が低下しました。また、採用面でも、仕事と家庭の両立を目指す女性の応募が増えています。
 社内の風通しがよく、「休みづらい」といったことがないため有給休暇の取得率はもともと高かったのですが、さらに取りやすくなり、直近では90%となっています。
 男性の育休取得者は、今年度の対象者4人中2人が取得。半年という長期の取得者もいます。

取組を進めるにあたっての工夫・苦労
短時間で成果を出すことで休みやすい環境に

 当社は女性が多い会社なので、一度に多くの方が育休や育児短時間勤務制度を利用すると、業務に支障をきたすのではという不安もありました。しかし、全社員が一丸となって業務改善に努めたため、質を落とすことなく、短時間で業務を遂行できるようになりました。
 業務改善は、現場が率先して取り組んでおり、各部署の問題点を抽出して改善策に落とし込んだり、好事例を他部署にも共有して横展開するほか、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を導入し、定型業務を効率化しました。これらの取り組みによって労働時間の短縮など、働きやすい環境が実現しました。
 また、ジョブローテーション制を採用し、1人が複数の仕事のスキルを持っているため、急な欠員があっても誰でもがフォローできる態勢です。子どもの病気などで急遽休むのは“普通にあること”という認識が広がっており、自然と助け合える関係性ができていることも、両立のしやすさにつながっています。

今後の課題・展望
介護との両立も視野に入れ改善を継続

 コロナ禍でマイナス面もありましたが、働き方を見直す良いきっかけにもなりました。在宅勤務など、より柔軟な働き方を社員が選択できるよう、今後も環境を整えていきたいと考えています。また、今は社員の平均年齢も35歳弱と若く、子育てとの両立支援が中心ですが、今後は介護との両立なども考えていかなければなりません。現行の制度で足りるのか、今後も社員の声を吸い上げ、改善をしていきたいと考えています。

女性従業員の声 制度利用者の声画像

業務改善によって
作業効率が上がり
働きやすい環境に

ビジネス企画管理部
ビジネス推進課
伊藝 成子さん

制度があるというだけで安心感がある

 結婚で引っ越したため前職を退職。当社には中途で再就職し、ソニーグループの製品の受発注などのアウトソーシング業務を担当していました。入社してから産休・育休を3度取得し、2018年より現在の部署で短時間勤務を利用して働いています。
 1人目の出産時には、会社が設立したばかりで、制度などがまだ充実しておらず、育休後復帰した人はいなかったため、仕事と子育てを両立できるのか、周囲に迷惑をかけるのではと不安でした。その後、少しずつ制度が充実し、徐々に働きやすくなる実感がありました。入社して10年になりますが、その間に、育休後に復帰する方も増えてきました。同じ境遇の人が増えることで、精神的な負担も比較的軽くなってきたようにも感じます。
 育児短時間勤務、フレックスタイム制、時間単位の有給休暇など実用的な制度が整えられ、たとえ使わなくても、制度があるというだけで非常に安心感があります。社風としても助け合いの精神があり、利用しやすい環境であることもとてもありがたいです。

互いにカバーし合える態勢で、制度を利用しやすい環境に

 当社では、ジョブローテーション制度や仕事の標準化、マニュアル化など、業務改善によって、別のメンバーがその業務をカバーできる態勢を整える取組をしています。加えて、社員一人ひとりが仕事の段取りを考えて効率よく進めたり、急に休むことに備え、自分の仕事の進捗を公開し、誰かが肩代わりできるようにするなどの工夫もしています。制度を利用するにあたっては、「他の方にしわ寄せがいくのでは」という不安はありますが、カバーし合える態勢のおかげで気持ちの負担が少なくなったように感じます。
 3児の子育てをしながら働き続けられるのは、会社や周囲の方々のおかげと、とても感謝しています。助けていただいた分、自分もできる限りのことで恩返しをしたいという気持ちがあります。制度を利用している他の方も同じ気持ちなのではないかと思います。
 今の私の仕事は、社内の意見を取りまとめ、業務改善の施策につなげること。この活動が少しでも皆さんの働きやすさにつながれば嬉しいですね。

(データの取材時点:2020年11月)

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