女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集

厚生労働省

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2020年度

株式会社スーパーホテル (宿泊業、飲食サービス業)

努力が報われるキャリアパス女性目線が生かせる職場

認定マーク

企業プロフィール

設立
1989年
本社所在地
大阪府大阪市西区
事業内容
ホテルチェーンの展開、土地有効活用のコンサルティング
従業員数
303人(うち女性193人)
企業認定・表彰等
えるぼし(認定段階3)

取組内容

仕事と育児の両立支援短時間正社員制度女性活躍推進女性職域拡大女性管理職登用

特徴的な制度・取組など

  • スター制度によるステップアップ
  • それぞれの能力や個性に合わせたキャリアパスも用意されている
  • 産休・育休制度、時短勤務制度などの充実 ほか

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インタビュー

  • 経営品質本部
    CS推進部 部長
    星山 英子さん(右)
    総務部
    課長代理
    小南 優子さん

取組のきっかけ・経緯
だれもが公平に評価される仕組みづくり

 株式会社スーパーホテルは、LOHAS(lifestyles of Health and Sustainability)をホテル運営の基本コンセプトとし、「Natural, Organic, Smartな体験をお客様にお届けすること」を目指すホテルチェーンです。
 従業員には、「自分で考えて行動すること、周囲の人に感謝しながらお客様を感動させる人間になる」ことを求め、お客様の喜ぶ姿を見ることを生きがいと感じられるスタッフを育成してきました。
 1989年に設立し、2011年には全国に100店舗を数えるまでに成長しました。店舗数が増えるとサービスの質にばらつきが出て来る可能性も高まります。高いサービスの品質を維持するために、本部でしっかりとスタッフを育成する制度が必要ではないかという課題意識から、スター制度という、独自のステップアップシステムを開発しました。
 また、もともと女性の多い企業ではありましたが、女性活躍推進法の施行をきっかけとし、さらに女性の活躍を広げようと、子育てをしながらでも働きやすい環境や、女性でも男性と同じようにキャリアアップでき、かつ働き甲斐を感じられる会社にしていこうと、様々な制度改革にも着手しました。

具体的な制度の内容
独自のキャリアパス、職域拡大、育休復帰のサポート

・スター制度
 スター制度とは、当社独自の従業員育成のための評価システムです。半年に1回の筆記試験と面接によって働きぶりが評価され、「ブロンズスター」「シルバースター」「ゴールドスター」「No.2」「副支配人」「支配人」の6段階にステップアップすることができます。副支配人は、主任・係長級、支配人は課長級に当たります。
 筆記試験と面接のほか、日々の業務の中では、達成目標が細かく書かれた「トレーニングログ」というチェックシートを使って、何ができるようになったか、何を伸ばせば次のステップに上がれるか等、自分のスキルをチェックしていきます。
 スター制度によって、目標が明確になるだけでなく、自分の成長も可視化できます。また、がんばればステップアップできるという道筋が示されることから、従業員のモチベーションアップにもつながっています。
・女性の職域拡大
 従来は現場でのフロント業務や接客業務が中心だった女性の職種を、本部での営業や、ホテル経営のコンサルティング、企画等にも拡大しました。
 現在158店舗のうち、直営店は6店舗で、残り152店舗は、ベンチャー支配人によって運営されています。本部には、この152店舗に対して、ホテル経営のノウハウをコンサルティングやサポートをするという業務があります。この業務にも多くの女性が従事しています。この結果、2011年には9名だった女性の本部スタッフは、現在51名。女性管理職も、11名で19.6%を占めるまでになっています。
・結婚・出産後も長く働ける環境づくり
 現在、育休中の女性は17名。その一人ひとりと人事部のスタッフが直接面談を行い、どのような形で復帰をするか話し合ったうえで、無理のない復帰ができるようサポートしています。きめ細かなサポートは、小規模な会社だからこそできることだと思います。
 関連会社が運営する企業主導型保育園があり、福利厚生の一環として保育料は大半を会社が負担しています。

取組の成果・取組を進めたことによる効果等
上昇志向のある女性が増え、サービスの向上にも

・上昇志向のある女性が増加
 スター制度によって、何をすれば上に上がれるのかが明確になり、また、がんばれば男女公平に必ずステップアップできることから、モチベーションアップにつながっています。多くの女性スタッフたちが、ステップアップし、管理職を目指すようになりました。また、ロールモデルができたことで、後に続く女性も増えています。
・出産を理由とした退職が減少
 以前は結婚・出産でほとんどの女性が退職していましたが、現在は育休取得後の復帰率は100%となっています。先輩の姿を見て「自分もできるかも」と思う女性が増え、ますます女性活躍が広がるという好循環になっています。
・女性ならではのアイデアが強みに
 女性が増えたことにより、たとえば、オーガニック素材のアメニティなど、女性ならではのサービスの開発にもつながっています。宿泊業界内の顧客満足度調査で6年連続N0.1(9000円以下の部門)と評価されたのも、これらの取組の積み重ねによるものと思っています。

取組を進めるにあたっての工夫・苦労
丁寧に話し込むことでみんなが納得できる改革に

 そもそも男性トップの声から女性活躍推進がはじまりました。女性の多い職場であり、女性活躍に理解のある社風でしたから、取組にあたって特に苦労はありませんでした。しかし当社では、何か新しいことをする際には、丁寧に“話し込む”ことをモットーとしており、これまで述べた改革を実施するまでにも議論を重ねたため大変時間がかかりました。それが苦労と言えば苦労かもしれません。

今後の課題・展望
女性管理職のさらなる充実を

 スター制度によって女性の管理職は着実に増えています。業界平均の女性管理職率は10%、当社は19.6%ですからまずまずですが、内訳を見ると、多いのは課長代理までで、それ以上の管理職はまだまだ少ないです。今後はもっと女性管理職の層を厚くしていきたいと考えています。

女性従業員の声 制度利用者の声画像

ステップアップして
広がった風景をぜひ見てほしい

人材開発部
支配人採用グループ 係長
瀬戸口 久美子さん

キャリアアップの道すじが明快

 接客が好きだったこと、スーパーホテルは女性が活躍しやすい会社だと聞いていたことから、別業界の営業職から転職してきました。フロント職としての入社でしたが、当初から支配人になることが目標でした。でも、どのようにしたらなれるのか、全くわかりませんでした。
 ところがちょうどその頃、スター制度ができました。評価項目が細かく設定されていて、どんなスキルを身につければステップアップができるのかが一目瞭然です。これで目標設定がしやすくなりました。がむしゃらにがんばるのではなく、一つひとつ実績を積み重ねれば、だれでも公平にステップアップできるところがいいと思いました。
 新卒入社なら5~6年はかかると言われていますが、私は4年半で支配人になることができました。
 私は、スター制度の1期生であったことから、ロールモデルがおらず、不安を感じることもありました。同時に、1期生であるために注目もされ、私がうまくできなければ後に続く人にも迷惑になるというプレッシャ―もありました。救われたのは、ゴールドスターになった人だけが受けられる研修に参加したときのこと。私と同様の不安を抱える1期生たちと、半年間の研修をともに受けることで、横のつながりができました。同じ目標や悩みを持つ仲間と励まし合えることは非常に勇気を与えてくれました。

制度を利用して、ステップアップが目指せる職場

 入社8年目に、育休制度を利用し、1年3カ月で復帰しました。フルタイムで復帰する気満々でしたが、人事部から、最初の1カ月は短時間勤務で様子を見たらとアドバイスをいただき、結果的にはスムーズに仕事に戻れました。保育園はグループ会社の保育園に優先的に入所でき、費用も会社が大半を負担してくれるため大変助かっています。
 育休後の復帰に不安を持つ人や、迷惑をかけて申し訳ないと思う後輩もいますが、「子どもがいてもちゃんと活躍できる職場だよ」と、自信を持って言いたいですね。着実にステップアップできる機会もあります。上に行けば、見える風景も考え方も変わります。ぜひ一歩一歩ステップアップを目指し、広がった風景を見てほしいと思います。

(データの取材時点:2020年12月)

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