女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集

厚生労働省

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2020年度

シーデーピージャパン株式会社 (サービス業(他に分類されないもの))

多様な人材の雇用創造を使命とし積極的な改革を

認定マーク

企業プロフィール

設立
1987年
本社所在地
栃木県宇都宮市
事業内容
人材派遣、業務のアウトソーシング
従業員数
1,883人(うち女性706人)
企業認定・表彰等
くるみん認定、プラチナくるみん認定、えるぼし(認定段階3)、均等・両立推進企業表彰

取組内容

仕事と育児の両立支援短時間正社員制度女性職域拡大女性管理職登用

特徴的な制度・取組など

  • 育児休業取得率100%、全員の職場復帰を実現
  • 常に法を上回る支援制度(育児・介護、労働時間の削減、柔軟な勤務時間の設定等)
  • 県内で初、「プラチナくるみん」「えるぼし(三ツ星)」認定取得

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インタビュー

  • 人事総務部部長
    菊元 功さん

取組のきっかけ・経緯
雇用創造は、当社の使命

 1987年の創業以来、30年間にわたり一貫して製造業など工業系を中心とした総合人材ビジネスを営んでいます。製造業を主な対象としてきたため、社員の多くは男性でした。しかし、弊社は社是として「雇用創造」を掲げており、雇用の枠を広げ、より多くの人が働けるようにすることを使命と考えています。また、急速に進む労働人口の減少にともなう労働力不足にも対応しなければなりません。そこで、2007年に幹部会議で、当時の社長が「営業部門の女性の採用を拡大し、女性の割合を20%とするとともに、女性の管理職を20%とする」という目標を掲げ、女性活躍のための取組がスタートしました。

具体的な制度の内容
法定以上に手厚い両立支援

 国に先駆けて、育児・介護と仕事の両立ために様々な制度を整備してきました。主なものは以下のとおりです。
・トップコミットメント
 ▪トップ自らが女性活躍推進や働き方改革を意思表明。
 ▪経営トップ自らが講師となり、管理者向けに「仕事と家庭の両立」や「女性の活躍推進」に関する研修を行った。
・育児と仕事との両立支援
 ▪法改正を先取りし、法定を上回る育児・介護休業、育児短時間勤務制度、勤務時間の弾力化等を行った。
 ▪子育てのための柔軟な始業時刻・終業時刻の変更がしやすい環境づくり。
・長時間労働の是正
 ▪ノー残業デーの実施(2009年9月より月1回、2012年3月からは月2回に拡大)による長時間労働の是正を目指した。
 ▪「有給休暇計画取得日」の年間5日設定開始と推進(2009年12月より)、「有給休暇取得推進日」の年間5日設定開始と推進(2015年4月より)
・雇用形態の柔軟化
 ▪子育て期間中の残業時間を0時間・20時間以内・通常通りの3種類から選べるようにした。(就業時間の変更強化制度の導入)
 ▪パートタイム勤務、短時間正社員を選択でき、正社員の転換制度も設定

取組の成果・取組を進めたことによる効果等
女性がキャリアを継続でき、男性の離職率も低下

 女性社員の育児休業取得率は100%、休業後は個々の希望に応じた勤務形態を選択し、全員が復職しています。
 くるみんやえるぼしなどの認定をいただいたほか、「均等・両立推進企業表彰 栃木労働局長優良賞」受賞など、様々な表彰もいただきました。外部からの評価をいただいたことで、社内のモチベーションの向上にもなりました。栃木県内ではまだ女性活用を推進する企業が少ないことから、対外的なイメージアップにもなり、採用面で女性の応募が増えるなどの効果もありました。
 法律を上回る手厚い育休制度、育児時短、勤務時間の弾力化等により、女性が仕事を辞めることなくキャリアアップを継続できるようになりました。
 人材派遣業は、離職率の高い業界ですが、女性が働きやすい環境を整備してきたことで、女性はもちろん男性の勤続年数も伸びました。育児休業を取得することが当たり前という意識が定着し、全員が補完し合って休業者の業務を分担するために自発的に業務の効率化を工夫するなど、意識と生産性の向上が見られるようになりました。

取組を進めるにあたっての工夫・苦労
「女性には難しい」という既成概念の突破

 女性の職域を拡大するために、従来は男性中心だった工業系の顧客向けの営業チームを女性だけで構成しました。当初、「女性には難しい」と反発がありましたが、男性管理職も同行してフォローしながら経験を積ませた結果、思っていたほど男女差はなく、むしろ女性のほうがきめ細やかで忍耐強いと評価される場面もありました。成功事例は、社内で共有し、他部門にも横展開していきました。  
 女性管理職の登用については、管理職候補の女性をリストアップして、研修を行うなど個別に育成。キャリア形成についての相談体制も整備し、きめ細かな対応を行いました。また、女性の多い部署に女性管理職を配置することで、ロールモデルになってもらうなどの工夫もしています。

今後の課題・展望
女性のみならず、高齢者や障害者も働きやすい環境に

 20余年にわたり両立支援や女性の活躍推進に取り組んだ結果、社員の職場定着は進み、優秀な社員の確保もできるようになりました。女性社員も増えてきましたが、まだまだ増やしていく考えです。
 女性管理職比率20%の目標はまだ到達していません。最大の要因は、女性側が管理職を望まないことです。育休や時短勤務の制度を整え、長時間労働の是正にも努めていますが、一番ネックとなっているのが転勤です。特に子どものいる女性が転勤をすることは難しい。現実的には困難もありますが、地域限定勤務制度の導入も検討する必要があると考えています。
 また、「雇用創造」を社是とする会社として、女性だけでなく、高齢者や外国人、障害者をも新たな労働の担い手として、得意な分野で活き活きと働ける社会の仕組みを作っていきたい。当社の取組が、取引先企業にも波及して、多様な人材の多様な働き方が当たり前の世の中になることが、当社の願いです。

女性従業員の声 制度利用者の声画像

転勤が女性活躍の障壁
会社の理解を求む

人材紹介事業部 係長
杉浦 早絵子さん

両立には短時間で生産性を上げるスキルが必要

 2005年に中途で採用され、横浜営業所に営業職として配属されました。2009年から産休・育休を取得、年子で出産をしたため、再び連続で産休・育休を取得。約2年強のブランクの後、2011年に復帰しました。
 当時はまだ男性が多い環境で、産休・育休後復帰する女性は多くありませんでした。そのような環境の中で長期間の育休を取るためには、実績を上げて必要とされる人材でなければという意識で仕事をしてきました。
 勤務は朝早くから夜遅くまで長時間労働が当たり前の業界ですが、子どもがいるため夜遅くまでは働けません。家族の協力と、職場のサポートがあったから働けたと思います。また、短時間しか働けないからこそ仕事を効率化し限られた時間内で実績を上げるスキルが身につきました。

会社側も女性の事情に寄り添ってほしい

 2008年頃から会社も女性活躍推進に力を入れ、女性社員が増えてきました。両立支援の制度も次々とでき、私も子どもの授業参観の日に1時間だけ仕事を抜けるなど、時間有給制度をよく利用しました。研修や制度は充実してきましたが、現状、会社の意向とは反対に女性管理職が増えていかないのは、女性が管理職として働きやすい環境が整えられていない点があるのではないかと思います。
 例えばわが社では管理職登用の条件の一つに「転勤が可能であること」があります。しかし、子育てや介護など様々な事情でそれができない場合もあります。これは女性だけではなく男性にも当てはまることです。キャリアを積んだベテラン社員が、ある日突然管理者候補からはずれるということが起こるわけで、キャリアアップの観点から社員・会社双方にとって、必ずしも望ましいことだとは言えないでしょう。
 現在、会社では、地域限定勤務の制度や転勤できない場合に代替の評価指標を適用するなど、今にも増して柔軟な人事制度を考ええていると聞いています。女性の意欲を引き出し、管理職を目指す女性社員も増えることでしょう。もちろん女性社員自身の意識改革が必要なことは言うまでもありません。

(データの取材時点:2020年10月)

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