女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集

厚生労働省

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2020年度

株式会社 高知銀行 (金融業、保険業)

行員の声に耳を傾け、休暇や再チャレンジする制度を整えていった

認定マーク

企業プロフィール

設立
1930年
本社所在地
高知県高知市
事業内容
金融業(銀行業)
従業員数
993人(うち女性447人)
企業認定・表彰等
くるみん認定、プラチナくるみん認定、えるぼし(認定段階3)、均等・両立推進企業表彰

取組内容

仕事と育児の両立支援仕事と介護の両立支援再雇用制度短時間正社員制度女性管理職登用

特徴的な制度・取組など

  • 育児休業の期間延長
  • 小学校1年生の年度末まで勤務時間を短縮できる
  • 小学校1年生の年度末まで看護休暇を取得可
  • eラーニングシステムの導入 ほか

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インタビュー

  • 人事部副業務役
    岡田 謡子さん

取組のきっかけ・経緯
くるみん認定を目標に

 株式会社高知銀行は「地域の皆さまとともに歩み、地域とともに発展する銀行」を基本理念とし、1930年に創業しました。当行では、20年ほど前まで結婚・出産を機に女性が退職していく流れがありました。しかし会社として、勤務経験を積み、知識・スキルを身につけた女性行員が退職していくことを残念に感じていました。そこで、2005年の次世代育成支援対策推進法の施行をきっかけに、くるみん認定を目標として、女性が出産後も継続して働けるよう、会社としてどのようなサポートをするべきか、行動計画を策定し始めました。
 当行には従来から、行員の意見や要望を取りまとめる福祉懇談会があります。そこに集まった、「育児休業や育児短時間勤務を利用しづらい」「残業が多いので両立が難しい」などの意見をもとに、ワークライフバランス推進委員会や人事部が中心となって仕事と家庭を両立するための環境づくりに取り組みました。

具体的な制度の内容
再チャレンジや男性の育休取得促進など

・キャリアリターン制度
 以前は、出産等で退職し、子育てが落ち着いてから復職したいという人には、嘱託行員となる道はありましたが正行員になる道はありませんでした。しかし、2012年に職員登用制度を導入し、試験に合格すれば嘱託行員から正行員になれる道ができました。その後、さらに制度を進化させ、育児等家庭の事由で当行を退職した者が、嘱託行員を経ることなく正行員に戻れる「キャリアリターン制度」を2015年に整備しました。
・有給の育児休暇制度
 育休中は無給で賞与もカットされるため、特に男性は使いづらいという声がありました。そこで、育児休業中の5日間は有給とする育児休暇制度を2014年からスタート。これによって、男性の育休取得者が一気に増えました。
・支店長登用制度
 2015年10月にできた制度です。当行では入行10年前後で一般職か総合職かを選択し、その後一般職は支店長になる道がありませんでした。しかしこの制度により、一般職でも試験を受けて合格すれば登用されるようになりました。男女ともに適用される制度ですが、女性の利用が多く、これによって女性支店長が増えています。
・遅出早退制度、時間有給制度
 2016年8月にできた、11時までの遅出出勤、15時以降の早退をそれぞれ12回、子どもが2歳になるまで利用できる制度です。それまでは、遅刻・早退扱いとなり、回数が増えると欠勤扱いとなっていました。現在までに19名が利用しています。さらに、2019年には、時間単位で有休が取れる制度も導入し、より両立がしやすくなっています。
・eラーニングシステムの導入
 産休・育休中に、自宅のパソコンを使用して、通達・規程等の閲覧や学習教材による在宅学習ができるシステムを2016年9月に導入しました。育休中も会社とつながっている安心感があるだけでなく、復帰時にも、あらかじめ会社の最新情報を知っているためスムーズに仕事を再開することができます。ファイナンシャルプランナーなど種々の試験対策などは、全行員使用でき、休日などに勉強ができると好評です。
・出退勤管理システムの導入
 残業が多いことも女性が働き続ける上で障壁となっていたため、手書きだった出退勤管理を、システム化しました。これによって、月単位の残業時間を見える化でき、個々の意識が変わりました。また、残業は上司への事前申請を必須としたことも、残業時間の削減につながりました。

取組の成果・取組を進めたことによる効果等
育休利用が一気に広まり、女性管理職の増加も

・くるみん、えるぼし認定
 2007年に均等・両立推進企業表彰、2007・2010・2012・2015年にくるみん認定。2017年にはプラチナくるみんの認定、そして高知県内企業で初めてえるぼし3段階の認定もいただきました。そのほか、なでしこ銘柄等の認定や選定をいただき、対外的なイメージが向上しました。
・育休取得者が増加、特に男性で顕著に
 現在、育休を取得した女性は100%が復帰しており、毎年40名程度の利用者がいます。
 育児休業のうち5日間を有給化したことで、男性も育休を取りやすくなり、以前はほとんど取得者がいませんでしたが、今では66%の取得率となりました。次第に育休を取得する自然な流れができ、数日間の取得から、1年など長期の取得者も出てきました。
・女性管理職の増加
 現在、女性支店長は6名いますが、そのうち4名は、支店長登用制度ができた後、一般職から試験を受けて支店長になった者です。少しずつですが、ロールモデルが増えることにより、後に続く女性も増えていくと期待しています。

取組を進めるにあたっての工夫・苦労
声掛けなど地道な普及活動が大事

 育休の制度があっても、使いづらいという風潮があったため、行内での掲示や、人事部から直接本人や本人の上司に声掛けするなど、地道に周知を図ってきました。短時間勤務制度にも、本人から申請しづらいという声があったため、復帰の際に人事から「短時間勤務制度を利用しては」と声掛けすることで利用者が増加。声掛けは重要だと実感しました。

今後の課題・展望
不妊治療や介護との両立も

 様々な制度を行内に周知させ、気兼ねなく使えるようにすることが課題です。男性の育休取得率については100%を目標としています。今後は、不妊治療、本人の病気、介護などとも両立できるよう、引き続き制度を充実していきたいと考えています。

女性従業員の声 制度利用者の声画像

多様な選択肢があることを
身をもって証明し
後輩をサポートしたい

監査役会付 副業務役
田岡 貴美さん

職員登用制度の第1号に

 2001年に入行。2005年と2008年に産休・育休を取得。第1子のときは、子どもとの時間が欲しいと思い、パートタイマーに雇用形態を変更。第2子の時は子どもの病気により退職。2010年に嘱託行員として再雇用。2012年に職員登用制度ができ、試験を受けて正行員として再び働くことができるようになりました。2019年に第3子出産のため育休を取得。その後、育児短時間勤務を利用して復帰。現在に至ります。
 嘱託行員として再雇用されたときに人事部に配属され、「両親の援助が得られない」「子どもが体調を崩しやすい」「子どもが小さいうちは自分で面倒を見たい」など様々な思いを胸に退職するかどうか悩んでいる女性が多くいることを知りました。これからは、仕事か子育てかの二者択一ではなく、働き方には色々な選択肢があることを、私が身をもって証明したいと思うようになりました。そこで当時の上司に「出産や育児で退職した人が再び活躍できる制度を作れないか」と提案し「職員登用制度」が実現。後進に道筋をつけ制度を浸透させるために、自ら第1号となりました。その後、「キャリアリターン制度」もでき、子育て後、戻ってくる人も増えました。「後輩に負けないようもっとがんばろう」と励みになっています。

今しかできない仕事と子育ての両立を楽しみたい

 会社の様々な制度や、職場の方々の理解やサポートのおかげで仕事と子育てを両立でき、とても感謝をしています。また、仕事を継続してキャリアアップしたいという気持ちを夫に理解してもらい協力を得られたことも大きかったです。
 女性の働き方は、ライフイベントや本人の意向により様々です。子どもがある程度大きくなるまでは短時間勤務制度を利用して子どもとの時間を優先したい人、子育てが一段落をしたら管理職を目指したい人など、一人ひとりが自分に合った選択肢を選べること、また、一度仕事から離れても再びチャレンジできることを証明したい。そのためにも私自身が自己研鑽に励み、今しかできない仕事と子育ての両立を楽しんでいきたい。また、今後は介護とも両立できる環境を行内に浸透させていければと思います。

(データの取材時点:2020年12s月)

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