女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集

厚生労働省

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2020年度

京都中央信用金庫 (金融業、保険業)

地域に貢献したいという共通の理念があるから理解し協力し合える

認定マーク

企業プロフィール

設立
1940年
本社所在地
京都府京都市下京区
事業内容
金融、保険業
従業員数
2,586人(うち女性1,055人)
企業認定・表彰等
くるみん認定、プラチナくるみん認定、えるぼし(認定段階3)、均等・両立推進企業表彰

取組内容

仕事と育児の両立支援仕事と介護の両立支援再雇用制度妊娠中の労働者支援短時間正社員制度女性活躍推進

特徴的な制度・取組など

  • 子が3歳になるまで育児休業を延長
  • 子が小学校に就学するまで短時間勤務
  • 子が小学校3年生まで時間外・休日労働免除
  • 子が中学校に就学するまで看護休暇制度
  • 出産等で退職した職員を再雇用「リターン・ジョブ制度」を導入 ほか

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インタビュー

  • 人事厚生課 業務役
    山田 悠司さん

取組のきっかけ・経緯
全職員のワーク・ライフ・バランス充実を目指す

 京都中央信用金庫は、「ON YOUR SIDE ~一緒がうれしい~」を基本理念として、お客さまの良きパートナーとして常に地域に寄り添い、共通の目標や夢の実現に向かって共に歩む地域に根ざした信用金庫です。お陰をもちまして当金庫は2020年6月に創立80周年を迎えました。預金量、貸出金量ともに信用金庫業界No.1の規模を誇っており、営業地区が限定されている信用金庫業界にありながら、盤石な経営基盤を築いています。また、働く意欲のある女性職員がその力を十分に発揮できるように、早くから諸制度の整備や、さまざまな取組を行ってきました。さらに、女性に限らず全職員のワーク・ライフ・バランスを積極的に推進していこうと、2009年より働き方改革にも取り組んでいます。

具体的な制度の内容
労働時間の削減、両立支援、キャリア支援など

・労働時間の削減
 月4回のノー残業デー(指定の2日と任意の2日)を設け、時間外労働の削減を進め、効率的な業務運営と私生活の充実を図っています。また、従来の有給休暇の計画的付与として、5連続休暇の取得に加えて、2018年度より3連続、2連続休暇取得を追加し、年間10日間の有給休暇の取得を義務化。職員がリフレッシュしてモチベーション高く働いてもらうことを目指しています。
・出産・育児に関する支援の充実
 2019年4月から、出産・育児と仕事との両立支援に関する制度を拡充しました。まず、育児休業を最長子どもが3歳までに変更。次に、1日6時間の短時間勤務制度を法定以上の小学校就学までに延長しました。時間外勤務および休日労働免除を就学前までから小学校3年までに延長。子どもの病時などに年間最大5日間取得できる看護休暇を、子どもの中学校就学までに延長しました。
 また、従来より、妊娠中の職員には、通院のための特別休暇取得や始業時間の繰り下げ、終業時間の繰り上げも調整できるようにしています。
・キャリア支援
 人材育成を重要な経営課題ととられ、職員一人ひとりが自らキャリアアップを目指し、スキルアップできるよう様々な研修制度を設けています。キャリアアップの機会を与えることで、やりがいを持って働いてもらえ、当金庫の発展にもつながりますし、ひいては地域社会の発展にもつながると考えています。
・リターン・ジョブ制度
 結婚、出産、育児、介護、看護、そして転職によって退職した者は、退職後10年以内であれば、選考を経て退職時と同じ職位で再雇用される制度です。2009年から開始し、現在までに10人が利用。出産や子育て、あるいは他業種での勤務経験を活かして活躍しています。

取組の成果・取組を進めたことによる効果等
女性が長く働ける職場、外部にも好印象

・両立支援関連の制度利用者増
 短時間勤務制度は、制度の周知が広がり現在の取得者は61名、時間外労働免除は77名が利用しています。
 育児休業の取得率は、女性は100%、男性は71%(2019年度実績)です。来年度には男性も100%を目指しています。
・女性活躍が広がる
 当金庫では、女性も渉外や融資、営業等で活躍しています。管理職についても、全職員を対象とした入職直後からのキャリア研修やメンター制度等により、2018年には女性管理職比率16.83%、2019年には17.26%と徐々に増えています。また、女性の支店長も活躍しています。
・採用面で女性に好印象
 採用面では、両立支援や連続休暇制度のほか、当金庫で実際に働く職員の姿を見て「女性が活き活き働いている」ことを応募の動機とする女性が増えており、ありがたく感じています。

取組を進めるにあたっての工夫・苦労
全社員一丸となって協力できる社風が成功の要因

 ノー残業デーの定着には苦労しました。定時になるとシステムをシャットダウンするという方法もありますが、当金庫では物理的な手段ではなく、根気よく周知していくことで少しずつ職場の意識改革を行っていきました。
 短時間勤務は周囲の理解がなければ取得しづらい側面があります。理解を求めることは大切ですが、制度を利用しない人が不公平を感じないための配慮も必要です。全職員が一丸となって働き方改革を進め、短時間で効率よく働くワークスタイルを実現することで、短時間勤務者の労働時間減をカバーできるようにすることも解決策と考えます。
 当金庫は地元が好きで地元のために貢献したいという職員が多いです。自分たちが活き活きと働くことが地域や社会への貢献にもつながるという共通の理念が根底にあるため、様々な取組にも前向きに取り組んでくれています。それが当金庫の働き方改革の成功の要因だと考えています。

今後の課題・展望
社内SNSを立ち上げ、復職後の不安を払拭する

 育休後復職した職員が、よりスムーズに休職前のパフォーマンスを取り戻せるために何ができるかが検討中の課題です。復職後研修などもその一つですが、もう一つは、社内SNSの活用です。2020年12月より、社内SNS内で育児休業者向けのコミュニティの運用を開始しました。これから復職する人が育児経験のある職員に悩みを相談したり、両立のコツを聞くために利用していただき、復職後の不安を少しでも軽減できればと思っています。
 また、子育て中の職員に限らず、職員同士で交流する場を設けることで、当金庫への愛着も強まりワーク・エンゲージメント(仕事への意欲や充実感)が高まっていくのではないかと期待しています。

女性従業員の声 制度利用者の声画像

大変なのはほんの一時
仕事を継続するからこそ
自分も子どもも成長できる

桃山支店 主任
大村 茜さん

働き続けられるのは充実した制度と周囲の理解のおかげ

 2002年に新卒で入職しました。当金庫を選んだのは、地元であること、仕事を通じてキャリアアップしながら自分も成長できる職場だと感じたからです。
 入職後、各支店間を異動しつつ営業係、融資係など幅広い業務を経験させていただきました。2008年、2010年、2015年に産休・育休を取得し、現在、3児の子育てと仕事を両立しています。
 1人目の出産当時から、育休後、復職するつもりであり、身近に復職経験のある先輩もいたので、私も何とかなるだろうと思っていましたが、そう簡単ではありませんでした。時間外労働免除の制度を利用していましたが、最初は仕事の途中で帰ることに気が引ける時もありました。しかし周囲から「気にしないで早く帰っていいよ」という声掛けがあり、ようやく割り切って仕事を切り上げられるようになりました。子どもが小さいうちは体調をよく崩すので看護休暇も利用しました。「休んでばかりで申し訳ない」と不安でしたが周囲は温かく見守ってくれ、ありがたかったですね。
 3回の育休を利用するうちに、会社の制度も目に見えて充実していきました。今では短時間勤務も時間帯を選べるようになったり、育休中にも会社とオンラインでつながって情報収集ができたり、自宅で勉強できる環境もできています。制度や物理的環境だけでなく、上司や同年代の男性の意識も変化して、非常に働きやすくなっていると実感します。

後輩にも仕事を通じて成長してほしい

 現在は子育てとの両立で余裕を持つことができませんが、子育てが落ち着いたら本格的にキャリアアップをしていきたいと考えています。
 当金庫は、女性が子どもを産んでも働ける環境を整えてくれているので、後輩たちにも、大変な時期はありますが、出産後も仕事を続けてほしいと思っています。経験したからこそわかりますが、子どもの成長はあっという間です。働き続けるからこそ自分も成長できますし、働く親の姿を見て子どもも大きく成長します。ぜひ自分のキャリアを大切にし、がんばってほしいと思います。

(データの取材時点:2020年12月)

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