女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集

厚生労働省

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2020年度

木村情報技術株式会社 (情報通信業)

社員のニーズに合わせ制度を整備し優秀な社員を辞めさせない

認定マーク

企業プロフィール

設立
2005年
本社所在地
佐賀県佐賀市
事業内容
Web講演会運営・配信サービス、人工知能(AI)活用事業及び人工知能サービスの研究・開発
従業員数
364人(うち女性153人)
企業認定・表彰等
くるみん認定、えるぼし(認定段階3)

取組内容

仕事と育児の両立支援仕事と介護の両立支援テレワーク短時間正社員制度女性活躍推進女性管理職登用

特徴的な制度・取組など

  • 時間単位で取得できる介護休暇制度がある
  • 法律を上回る育児・介護休業制度
  • 短時間正社員制度を導入
  • 在宅勤務等の場所にとらわれない働き方を導入 ほか

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インタビュー

  • 管理本部 人事総務部
    課長代理
    山口 真悟さん(右)
    管理本部 人事総務部
    労務チーム
    澁谷 美里さん

取組のきっかけ・経緯
社員の事情に合わせて制度を整備

 木村情報技術株式会社は、2005年に創業し、2008年から当時はまだめずらしかったWeb講演会の運営・配信サービスの取り扱いを開始。佐賀県の本社以外に、5か所の支店と11か所の自社スタジオを持ち、現在はAIを活用したサービス提供や研究開発も行っています。
 企業理念を「人に喜ばれることを判断基準として仕事を選び従事する」「志は高く、謙虚に、感謝と和合の精神を持って、人とお付き合いをさせていただく」とし、お客様だけでなく、社員とその家族の幸せにもつながる働き方を意識してきました。
 当社はもともと採用時点から男女がほぼ同数で、業務内容にも男女差はありません。男性社員でも、子どもの病気や学校行事のために休暇をとることに抵抗がない社風でもありました。
 会社の成長に伴い社員数も増加する中、妊娠出産する社員も出てきました。このとき、トップ自らが「優秀な社員が出産のために正社員をあきらめなくてすむよう制度を整えよう」という方針を出し、短時間正社員制度や特別有給制度などが整備されました。
 つまり当社の場合は、最初に制度ありきではなく、社員に合わせて制度を作っていったのです。

具体的な制度の内容
特別休暇、柔軟な働き方、長時間労働の排除など

・時間単位で取得できる休暇制度
これまで、子どもの事情等で休む社員は、有給休暇だけでは足りず、やむを得ず欠勤していました。こうした事情に配慮して、子どもの病気や、自身の通院、介護等でちょっとだけ休みたいという人のために、時間単位で介護休暇を取得できる制度を法制化される前から導入しています。
・短時間正社員制度
 優秀な社員が出産・育児のために正社員勤務をあきらめなくてすむよう、1日6時間勤務の短時間正社員制度を整備しました。
・法律を上回る育児・介護休業制度
 育児や介護のため休暇が必要という社員の声を受けて、年間7日間、育児・看護・介護等で利用できる特別有給休暇を付加しました。
・在宅勤務を導入
 採用の段階から、通勤が難しい社員のために、セキュリティ対策をしたうえで在宅勤務を認めています。
・子供手当
 子育て中の社員をサポートするため、子供手当を支給しています。
・有給休暇取得の奨励
 当社は、もともと有給取得率が70%以上と高いですが、さらに取得を促すため、たとえば飛び石連休時には休みと休みの間の平日に有給休暇を利用して連休にするようアナウンスするなど、全社的に有給休暇取得を奨励しています。
・残業を減らすための工夫
 全社員のパソコンに「終業時間まであと○分」といったアラートが出るようにしています(残業時間は月平均17.5時間)。

取組の成果・取組を進めたことによる効果等
家族を大切にする風土がさらに強まった

 トップ自らがワーク・ライフ・バランスを重視しており、制度を導入する以前から家族のために休暇を取ることに抵抗がない社風でした。もともと社員の定着率も高く、制度ができたことによる劇的な効果を実感しているわけではありません。しかし、制度があることでさらに、働きやすくなった面はあると思います。
 社員の平均年齢が若いため、現在は、育休等の制度を利用する対象者自体が少ないですが、今後社員が増えていけば、制度があることによる働きやすさをより実感できると思います。

取組を進めるにあたっての工夫・苦労
もともとの社風があったため苦労はない

 当社は、社員が出産や育児などで働くことが困難になった場合、「では辞めてください」ではなく、この社員を辞めさせないためにはどうしたらいいか、という発想で制度の改善や拡充を図ってきました。ニーズありきの取組なので、とくに苦労したことはありませんね。
 もともと残業時間が少なく、有給休暇も取りやすいため、男性社員の育休取得が進まないことが苦労といえば苦労でしょうか。
 女性管理職比率は現在22.4%。採用時点から女性の割合が40~50%で、業務内容にも男女差はないため、実績によって男女関係なく昇進できる会社です。向上心のある女性も多く、女性が活躍するのは当たり前の社風でもあり、女性管理職も今後自然と増えていくと期待しています。

今後の課題・展望
社員の意見を反映し、さらに働きやすい環境を

 当社では年1回、全社員を対象に、働きやすい環境づくりについてアンケートを行っています。年末には、社員から集まった希望をいかに具現化するか、社長参加のもと、時間をかけて議論を行います。特別有給休暇や子供手当も、こうした取組から実現したものです。社員の声を直接会社の制度や福利厚生に活かしていく会社はそれほど多くはないのではないでしょうか。
 今後もトップ主導のもと、より働きやすい環境を追求していきたいと考えています。

女性従業員の声 制度利用者の声画像

大変な育児との両立も
職場の理解と
夫の励ましで乗り越えた

管理本部 人事総務部
人事チーム
山本 久美子さん

理解ある社風と手厚い制度のおかげで復帰

 2011年に営業支援職として入社。その後、妊娠・出産しましたが、仕事を続けたかったので産前産後休暇と育児休業制度を利用しました。出産前に切迫早産と診断され、在宅勤務にさせていただき、その後、有給休暇を取得し、そのまま産前休暇に入りました。復職の際は上司と面談し、短時間勤務で復職しました。
 当社では、子どもを持つ社員に理解があり、制度利用についてネガティブな雰囲気がないのがありがたかったですね。それでも、制度対象者がまだ少なく、部署内で短時間勤務は私一人だけだったので、「自分だけ先に退社するのは心苦しい」「会社に迷惑では」と思い悩みました。
 短時間勤務を利用していても、子育てとの両立が大変なことには変わりはありません。睡眠不足と蓄積した疲労で、思うように働けず、落ち込む日々でした。
 ある日、自分の限界を感じ「もう辞めようと思う」と夫にこぼしたこともあります。しかし、「今は冷静な判断ができていない。ここで辞めたらきっと後悔するよ」と励まされ、思いとどまりました。
 子育てと仕事の両立の大変さは、制度だけで解決するものではなく、これといった特効薬もありませんでしたが、周囲の人に迷惑をかけないよう仕事の段取りを工夫したり、時間をやりくりして、一日一日をなんとか過ごしていくうちに、仕事と育児の生活にも慣れはじめ、今に至ります。

後輩にも知恵を共有したい

 短時間勤務は希望すれば子どもが小学校に上がってからも継続できますが、私はフルタイム勤務に切り替える予定です。慣れるまではまた両立に苦労しそうですが、先輩にも助言をもらいながらがんばりたい。子育て中だからと甘えず、仕事で成果を出していきたいと思っています。
 先日、これから育休を取得する後輩から相談を受け、私の体験談を話しました。まだ社内に事例が少ないので経験者からの知恵の共有は大事だと思います。もし、私の経験が役に立つとしたら、「両立が大変だと感じたら、制度を活用したり周囲に頼ったりして、1人で抱え込まないで」と伝えたいですね。

(データの取材時点:2020年10月)

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