女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集

厚生労働省

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2020年度

えびの電子工業株式会社 (製造業)

誰もが気兼ねなく休める助け合いの職場を目指して

認定マーク

企業プロフィール

設立
1975年
本社所在地
宮崎県えびの市
事業内容
電子部品・自動車部品の生産、省力化設備・ソフトウェアの開発
従業員数
645人(うち女性439人)
企業認定・表彰等
くるみん認定、プラチナくるみん認定、えるぼし(認定段階3)、プラチナえるぼし

取組内容

仕事と育児の両立支援仕事と介護の両立支援男性育児参画短時間正社員制度女性管理職登用

特徴的な制度・取組など

  • 女性の採用  全従業員の2/3が女性、パートからの正社員登用など多い
  • 女性の登用  男女、年齢などに関係なく実力による評価と登用
  • 休みやすさ  前年度の有給消化率79.4%、男性でも育休取得者あり ほか

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インタビュー

  • 教経営管理部 代表取締役 専務 
    津曲 慎哉さん(左)
    総務部主任 
    松岡 みどりさん

取組のきっかけ・経緯
女性が多く、助け合い精神が根付いた社風

 えびの電子工業株式会社は、大手製造業メーカーの協力企業として、電子部品や自動車部品の生産などを主に行っています。全従業員の3分の2を女性が占めている会社であり、女性が活躍できる職場づくりは必然でした。過去のベビーブームの際には、社内に「すくすく園」という社内保育所を開設していたこともあります。
 弊社が所在するえびの市は、もともと農業が盛んな地域で、田植え休業や稲刈り休業があったり、地域で助け合う文化が根付いています。そのため、当社にも伝統的に「助け合いの精神」が根付いており、設立当初から、働きやすい環境の整備に取り組んでいます。

具体的な制度の内容
誰もが休みやすい環境づくり

 社員には、家庭を大切にされる方が多いため、本人はもとより家族などに急な病気などがあっても、助け合って休み合える環境を整えてきました。お休みを誰もが気兼ねせずに取得できるように努力しています。
・多能工化による助け合いの職場づくり
 仕事と家庭の両立応援として、助け合いの職場づくりを推進しています。
 たとえば、急激な生産の変動に対応できるように、一人の従業員が複数の作業がこなせる“多能工化”を進めています。このため、育休などで欠員が出た場合も、他の人がカバーしやすいです。また、当社には6つの工場がありますが、近隣の工場との応援作業もしやすく、結果的に休みが取りやすい環境となっています。
・育児休業制度の利用推奨
 育休取得も推奨しています。その結果、ここ3年の女性社員の育休取得率は100%(該当者42名中42名)、育休後の復帰率も100%(該当者32名中の32名)となっています。男性の育休取得率も、過去3年間で該当者8名中の3名、37.5%。その内訳は、一昨年に1名が5カ月間、昨年は経営者1名が2週間、今年は1名が2週間取得しました。
・介護休暇や時短制度の拡充
 介護休暇は、子どもの病気や通院など、要介護ではない家族への介護でも取得が可能です。
 また、育児短時間勤務制度では、子どもの対象年齢を3歳未満までから小学校入学までに拡大しています。
・女性の積極的な登用
 熟練工の女性が、出産や育児のために辞めることがないよう、育休制度のほかに、正社員からパート、パートから正社員というように、希望に応じて勤務形態を変えることができます。出産後はパート勤務、子育てが落ち着いたら正社員に、という女性も多くいます。
 また、評価制度を明確化し、男性でも女性でも能力のある人は昇進していく仕組みです。直近の女性管理職比率は全体の13.9%。女性の多い職場なので、女性管理職のほうが相談しやすいこともあり、今後もより多くの方に活躍してもらいたいと考えています。

取組の成果・取組を進めたことによる効果等
えるぼし認定で社員の意識と企業イメージが向上

 様々な取組によって、年々働きやすい環境になってきていると感じています。残業平均時間が短縮され、年間の有給取得率は79.4%。取組が認められて、女性活躍企業が対象のえるぼし認定で、宮崎県では初となる3段階の認定を頂きました。これまで「当たり前」だと思っていた社内での取組や文化が「実は誇れるよい文化なのだ」と、社内に再認識してもらえるよい機会になりました。
 以前は遠慮がちであった女性からの質問や提案などが、前よりも元気よく聞こえてくるようになっています。認定によって、社員も誇りをもって仕事に取り組めるようになったのではと感じています。当社のイメージアップにもつながっていると思います。

取組を進めるにあたっての工夫・苦労
だれもが犠牲にならずに休める環境に

 「助け合いの職場」というスローガンを掲げて、平等に女性だけではなく男性にも配慮をしています。最近では男性でも親の介護をがんばっている方も多いです。
 育休や有給などの取得を、誰かの犠牲の上で成り立たせようとすると、継続が困難になってしまいます。「より遠慮なく相談しやすくなる、働きやすくなれる」という考えから、全従業員での取得率を重視して取り組んでいます。
 私も、管理職ですが育休を取得し、それを社内報等でもアピールしました。このように、会社全体で協力して地道に取り組みを進めています。

今後の課題・展望
大切な人材が輝ける職場に

 少子高齢化が進み、えびの市でも人口減少が進んでいますが、一度故郷を離れたけれど、高齢の親のそばに住むためにUターンしたいという人もいるかもしれません。そういう方にも、当社のことを「こういう働きやすい会社がある」と、知っていただけると嬉しいですね。
 弊社は今年、創業45周年を迎えましたが、「地域で豊かさを創造し発展を続ける100年企業」を目指しています。
 そのために一番大切なのは人材です。性別や年齢などに関係なく、本人の能力や意欲、家庭環境や健康状態などが異なっていても、皆で助け合って活躍できる職場環境を作り、社員が皆、元気にのびのび活躍できる組織作りに取り組んでゆきます。

女性従業員の声 制度利用者の声画像

助け合い精神で
両立を支援
後進にも道を開きたい

総務部 主任
総務・経理担当
松岡 みどりさん

子どもの看護にも利用できる介護休業制度

 女性が長く働きやすい職場だと知人から聞き、1人で子育てしている私にとっては願ってもない環境だと思い、子どもが小学校1年生のときに、関連子会社に総務担当のパートとして入社。約2年後、子どもが小学校3年になったときに、親会社である当社へ正社員として転籍しました。それから6年、先輩から業務を引き継ぎ、リーダーを経て主任として総務・経理を担当しています。
 私は、育児休業制度は利用しませんでしたが、介護休暇制度を利用しました。当社では、要介護者以外にも介護休暇が使えるため、子どもの通院や、親の入院時にも休むことができ、大変助かりました。ほかの女性社員もよく利用している制度で、皆、助かっているのではと思います。
 子どもの看護だけでなく、授業参観等、学校行事の際にも、上司に相談して午後に半休をいただくなどし、仕事と家庭を両立してきました。家庭や学校行事を優先することに対し、会社の理解があるのでとても働きやすいです。

お互い様の精神で、助け合う社風

 社内にはお互い様の精神が行き渡っていて、休むときに後ろめたいといったストレスはないですね。先輩に相談しやすい雰囲気がありますし、上司も女性であることが多く、男性上司には相談しづらいことも気軽に相談できるので、とても働きやすい環境だと思います。
 正社員になり、リーダーを経て主任になりました。やりがいを感じることも多いですが、作業が増え、また、広範囲の業務を理解してこなさねばならないため、様々な苦労があります。しかし、仲間や上司に相談し、助けていただきながら乗り越えてきました。
 子どもは現在中学生となり、だいぶ手が離れましたが、まだしばらくは子ども優先の生活なので、制度を利用しながら、仕事を継続していきたいです。
 また、後進のためにも、業務を簡素化したり、IT化をさらに進めて、より働きやすい環境づくりをしていきたいですね。家庭や職場の業務で忙しい人でもネットで研修を受けられる環境も整備し、より楽しく、長く仕事が続けられるようにしてきたいと思っています。

(データの取材時点:2020年10月)

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