女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集

厚生労働省

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2020年度

株式会社青森銀行 (金融業、保険業)

女性が意欲に満ち溢れ、活き活きと仕事ができる職場を目指して

認定マーク

企業プロフィール

設立
1943年
本社所在地
青森県青森市
事業内容
金融業、保険業
従業員数
2,072人(うち女性1,104人)
企業認定・表彰等
くるみん認定、えるぼし(認定段階2)

取組内容

仕事と育児の両立支援再雇用制度女性活躍推進女性職域拡大女性管理職登用

特徴的な制度・取組など

  • 雇用形態の転換
  • 管理職に占める女性労働者の割合向上にむけ各種セミナーを実施

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インタビュー

  • 人事部副部長
    柴崎 賢治さん

取組のきっかけ・経緯
女性の就業継続と多様な職位・職域への登用のために

 青森銀行では、10年以上前までは、せっかくスキルを身につけたにもかかわらず、結婚を機に退職する女性行員が多いことが課題でした。また、管理・監督職を目指したり、法人営業を担当したりする女性が少ないことも課題でした。
 そこで、女性が様々な場面で活躍しやすい環境づくりに取り組むとともに、一度退職した行員が再度当行で活躍するしくみに力を入れてきました。また、2016年には、女性の継続就業と職域拡大等による活躍を推進することが、当行の組織活性化・生産性向上に資するという考えのもと、あおぎん「ウーマン・アクティブ」プログラムを策定しました。このプログラムで掲げるさまざまな施策に取り組むことで、女性が意欲に満ち溢れ、活き活きと仕事ができる職場づくりを目指しています。

具体的な制度の内容
積極的な行員登用、キャリアアップ研修の充実

・行員登用制度
 当行では、退職した行員に再度活躍してもらいたいという思いがありました。一方、退職した女性行員の中にも、子育てが落ち着いたら再度当行で働きたいというニーズがありました。そこで、一度退職した行員に対して窓口担当の契約社員であるキャリアパートナーとして復帰するよう働きかけを行ってきました。また、2007年には、キャリアパートナーの中で行員としてさらにステップアップしたいという人向けに「行員登用制度」の運用を開始しました。この制度は、当行を退職した行員だけでなく、一定のスキルを持ったキャリアパートナーであれば登用試験を受験でき、合格すれば行員として登用されるものです。
 さらに、2015年度からは、育児や介護等を理由に当行を退職した行員であれば、キャリアパートナーを経験せずに行員として復帰することができる「キャリア・リターン制度」の運用を開始しました。
 これらの取り組みにより、毎年一定数の行員登用を行っており、2020年度は6名の行員登用を行うことができました。
・女性向けキャリアアップ研修
 当行では、女性のキャリアアップを推進するため、様々な研修を行ってきました。まず、女性が管理・監督職への意識を高めるため、若手行員向けに「Lady’s Step Upセミナー」、中堅行員向けに「Lady’s Jump Upセミナー」を実施しました。また、女性の法人営業担当者を増やすため、若手行員向けに「Lady’s財務ベーシックセミナー」、監督職向けに「女性法人営業推進研修」を実施しました。
・産後復帰サポート
 当行では、産休取得予定の職員を対象に「プレママセミナー」を実施しています。このセミナーでは、出産・育児にかかる当行の福利厚生制度を説明したり、先輩ママの体験談を共有することで、産休・育休から職場復帰までのイメージを持ち、職場を離れることや復帰に対する不安を軽減することを目的にしています。また、育児休業中の職員を対象に「育児休業者サポートセミナー」を実施しています。このセミナーでは、復帰後の両立支援を説明したり、育児休業者同士の交流することで、不安を解消しスムーズな職場復帰を目指すために開催しています。

取組の成果・取組を進めたことによる効果等
キャリアアップを目指す女性が増加

 これらの取組によって、結婚を機に退職する女性は減少し、一旦退職した行員が当行で再度活躍するケースも増えました。
 さらに、「キャリアアップしよう」「さまざまな業務にチャレンジしよう」という女性も増加してきました。当行では、あおぎん「ウーマン・アクティブ」プログラムにおいて、女性の管理・監督者数を増加させるという目標を掲げていましたが、2016年から2019年の3年間で14名増加させることができました。

取組を進めるにあたっての工夫・苦労
ロールモデルを増やすことで意識を変える

 銀行では、女性は窓口業務が中心で、法人営業は男性の仕事という意識がいまだに残っており、これを払拭するのは簡単ではありません。
 女性活躍推進に取り組み始めたころは、女性のロールモデルが少ないこともあり、幅広い業務に取り組むことや管理・監督職に就くことに自信が持てず、自ら「やってみたい」と考える人がなかなか増えませんでした。
 そのような中で、女性の管理職の方々が後輩の女性達に積極的に声掛けを行い、キャリアアップについて少しずつ機運を盛り上げていきました。そうすることで、「自分にもできる」「がんばってみよう」と考える女性が徐々に増え、その人たちがロールモデルになっていくというサイクルができてきました。

今後の課題・展望
管理・監督職比率を30%に

 なるべく早く女性の管理・監督職比率を30%以上にしていきたいと考えており、今後も女性のキャリアアップに関する施策に取り組んでいきたいと思います。
 また、女性活躍推進が、男性職員のモチベーションを下げるものであってはなりません。バランスを保ちつつ今後も推進していきたいと考えています。

女性従業員の声 制度利用者の声画像

チャンスを与えられ、
背中を押されたことで
成長できた

人事部人事課主査
工藤 里子さん

契約社員から行員へ登用、さらに監督職に昇進

 2005年に契約社員として採用、2012年に行員に登用され、2016年に現在の人事部に異動。2020年7月に監督職に昇進しました。当行に入行する前は別の仕事をしていましたが、出産を機に退職。3年間育児に専念した後に再就職しました。当時は契約社員であるキャリアパートナーとして営業店で窓口業務を担当していましたが、キャリアアップなどは全く考えていませんでした。しかし、当時の女性管理職を間近で見ているうちに、徐々にキャリアアップを意識するようになりました。また、契約社員から行員になる道があることを教わり、「さらに活躍したいのであれば行員になるべき」という言葉に背中を押され、子どもが小学校高学年になった頃、行員登用試験を受験し合格しました。
 行員になると、窓口業務以外にも融資、渉外、法人営業などいろいろな仕事の選択肢が広がりました。また、女性向けキャリアアップ研修の制度も整っていたので、自ら手を挙げて参加していくうちに、さらに上を目指したいと思うようになりました。そこで、行内の監督職登用試験を受験、合格し、今では監督職として責任ある仕事を任せてもらっています。女性上司や研修のおかげで、自分の可能性を広げることができたと思います。

先輩の背中を見て学び、背中を押していただいた

 人事部に異動になってからは、行員の制服を廃止し服装を自由化する施策に取り組みました。自分が主担当として施策を実現したことは大きな自信になり、チャンスを与えられることで、人は成長できると実感しました。
 幸運だったのは、女性管理職のもとで働くことが多く、いかにしてキャリアをデザインしてくかを肌で学べたことです。要所要所で女性管理職に背中を押していただいたことで、様々なことにチャレンジすることができました。
 女性の場合、自ら積極的に手を上げる人は少なく、新しいチャレンジに対して躊躇する人が多いのではないでしょうか。そんな時に背中を押してあげられる存在はとても大切です。私が先輩方にしてもらったように、後輩達の背中を押してあげられる存在でありたいと思っています。

(データの取材時点:2020年10月)

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