女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集

厚生労働省

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2019年度

ミドリオートレザー株式会社 (製造業)

繁忙な現場で従業員のワーク・ライフ・バランスを推進し、休暇取得しやすい職場環境に

認定マーク

企業プロフィール

設立
1946年
本社所在地
山形県山形市
事業内容
製造業(カーシート用高級皮革の製造販売等)
従業員数
423人(うち女性124人)
企業認定・表彰等
くるみん認定

取組内容

仕事と育児の両立支援仕事と介護の両立支援男性育児参画女性活躍推進

特徴的な制度・取組など

  • 繁忙で残業が多かった職場を、労務管理の意識向上、生産工程の見直し、業務効率化と休暇時のバックアップ体制構築により、誰もが休暇取得しやすい職場環境に転換。
  • 介護関連制度は法定通りとし、制度を利用しやすい職場環境整備に注力。

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インタビュー

  • 理事
    総務部 部長
    加勢 邦雄 さん(左)

    常務取締役
    工場長
    斎藤 慎夫 さん(右)

取組のきっかけ・経緯
技術と経験を有する従業員が働き続けやすい労働環境を整備

 当社は、自動車のカーシート用高級皮革の製造販売を中心とする皮革関連製品のメーカーです。カーシートのシェアは国内トップ、世界第3位であり、高度な技術力と充実した生産設備を有しています。皮革製品の製造、取扱いにおいては、高い専門性や熟練の技術が必要となることから、知識や経験を有する従業員に長く働き続けて欲しいと考え、仕事と家庭の両立支援に取り組みました。
 当社は自動車メーカーからの受注生産であり、需給をコントロールすることが難しく、繁忙な状態が続くと長時間労働になりがちでした。 長時間労働は不良品増加も誘発し、それを補填するために残業が生じてしまい、悪循環となっていました。現場が繁忙なため、従業員が休暇を取得しにくい雰囲気もありました。そこで、長時間労働をなくし、労働環境を改善する取組から始めました。
 まずは職場全体で労務管理に関して正しい認識を持ち、一人ひとりが残業を削減するよう意識付けを行いました。月1回のノー残業デーを導入したほか、工場長が毎日のミーティングの場でメッセージを伝えました。また、生産工程を見直し、業務の効率化も進めました。残業に頼らず時間内に一日の予定数量を完了できるよう生産管理体制を改善していきました。労働環境の見直しに合わせて、両立支援制度の整備も進めました。くるみん認定の取得を目指して一般事業主行動計画を策定し、仕事と育児の両立支援制度を整備すると同時に、仕事と介護の両立支援制度も整備しました。取組の結果、2015年に1回目のくるみん認定を、2019年に2回目のくるみん認定を取得しています。

具体的な制度の内容
介護関連制度は法定通り導入し、制度を利用しやすい職場環境を構築

 当社の仕事と介護の両立支援制度は法定通りであり、介護休業制度は1人につき3回まで、のべ93日間取得可能です。介護休暇は1人につき5日まで、半日単位で取得可能です。介護短時間勤務は1日の所定労働時間を6時間まで短縮可能で、制度の利用開始から3年の間、2回まで利用可能としています。介護休業制度の利用者は直近の3年間ではのべ4人、介護休暇の取得者は1名います。
 仕事と育児の両立支援制度については、育児休業制度は法定通り、育児短時間勤務制度は子が小学校就学まで利用可能としています。育児休業は直近の3年間では男性が11名、女性が22名取得しています。育児短時間勤務制度は6名の従業員が利用しています。

取組を進める上での工夫や配慮等
残業削減とバックアップ体制の構築で互いにサポートし合える職場づくり

 労働時間の改善に取り組む以前は、現場は非常に繁忙で、休暇を取得しづらい雰囲気がありました。このため、育児短時間勤務制度の利用上限を小学校就学まで拡充しようとした際には、生産現場から、長期間制度を利用する従業員が増えて現場が回らなくなるのではないか、という懸念の声も出ました。しかし、実際に導入してみたところ、誰もが制度を利用したわけではなく、 互いに助け合って工夫して利用していたため、現場に大きな混乱は生じませんでした。また、労働環境の整備が進むとともに、誰もが休みやすい環境とするため、予め休暇がわかっている場合には工程間で人員を融通しあったり、補充をして対応し、従業員の急な休暇に対しては、現場のマネージャーがバックアップするような仕組みにしました。これによって、従業員が休暇を取得しても生産現場にしわ寄せがこない環境を整えることができました。また、仕事と家庭を両立する従業員が増えるにつれ、従業員同士が互いにサポートし合う雰囲気もできてきていると感じています。

取組による効果等
制度利用者が増加し、継続就業に貢献。従業員の家族からも評価

 労働環境を整備するとともに、仕事と育児・介護の両立支援制度について、従業員に対して毎日のミーティングや部門間連絡書(社内回覧資料)等で周知を行ったところ、次第に制度利用者が出てきました。育児休業の取得者は女性のみならず、男性の取得者も増えています。女性の育児休業取得率は100%、復職率も100%となっていますし、男性従業員の取得日数は最短で14日、 長期では約2か月取得しています。両立支援制度の利用者が増加し、従業員の継続就業につながっていると感じています。
 また、取組を進め、くるみん認定を取得したことで、高校や大学の就職課にも好感を持っていただき、積極的に当社を紹介いただけるようになり、採用面で効果があったと感じています。また、当社に就職した高校生のご家族からも、「良い会社に就職して良かった」と高く評価いただいています。

今後の課題・展望
仕事と介護の両立支援制度の拡充検討と女性活躍推進に注力

 仕事と介護の両立支援制度は企業努力では限界もあります。例えば要介護者が重度障害者であったり、認知症の症状があるような場合、当社の支援制度だけでは継続就業が難しいようなケースも出てくると思います。そのような場合にどうしていくか、今後の国の政策動向等も踏まえて検討されるべきと考えています。
 また、企業が今後も発展していくためには、 女性の視点をもっと取り入れた方が良いと考えており、女性の活躍推進に取り組んでいますが、今後さらに力を入れていきたいと考えています。まずは女性の採用を増やしていくとともに、育成にも注力し、管理監督層に就く女性を増やしたいと思っています。

制度利用者の声制度利用者の声画像

仕事と介護の両立支援制度が精神的な支えとなりました

生産準備室
サブリーダー
八鍬 陽子さん

突然介護の必要が生じ、介護休業制度を思い出しました

 私は当社に2006年に入社し、生産準備室で新しい製品の設計、試作工程に携わっています。試作にあたり、皮革製品の縫製も担当していますが、皮革製品の縫製には特殊な技術が必要であり、当社でこの業務を担当できるのは私と後輩の2名しかいません。
 今から2年ほど前の冬に、同居している母が除雪をしている際に転倒し、骨折してしまいました。幸い、入院には至らなかったのですが、 しばらくはサポートが必要な状態でした。まずは年次有給休暇を取得し、これからどうしよう、と思っていた時、ふと以前回覧された資料に介護休業制度が紹介されていたことを思い出し、総務部に相談したところ、利用できることが分かったため、母が回復するまで約1か月、介護休業を取得しました。その後さらに同じ年の7月、母が家の中で転倒し、大腿骨を骨折してしまいました。今回は1か月超の入院とリハビリが必要な状況でした。このため母の入院から退院後少し落ち着くまで、再度介護休業を取得しました。その後の通院等には、年次有給休暇を半日単位で取得して対応しています。

休職が後輩の成長機会に

 ある日突然母が骨折し、介護が必要であるとわかった時には、これからどうしたらよいのか、仕事を続けられるのか、という不安が一気に押し寄せ、精神的に追い詰められた感じがしました。その時、介護関連制度のことを思い出し、総務部に相談できたので、本当にほっとしました。手続きもスムーズでとても安心しました。
 年次有給休暇にもある程度余裕はありましたが、介護休業を取得できることが分かったので、心強く感じました。また、以前と比較して残業が少なくなり、急な休暇の際のバックアップ体制も整ったため、復職後も安心して両立ができています。長時間労働の職場では仕事と家庭の両立は難しくなるので、できるだけ残業のない職場であることが望ましいと感じています。
 母の骨折は突発的でしたが、後輩には以前から、いずれは代替わりの時期が来ると話していたため、大きな混乱もなく休職することができました。私の休職は、結果的に本人の成長につながる良い機会にもなったと思っています。

(データの取材時点:2019年9月)

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