女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集

厚生労働省

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2018年度

株式会社トマト銀行 (金融業、保険業)

女性社員のキャリア形成、活躍推進のため、育児休業からの早期復職支援や復職後のサポートに注力

認定マーク

企業プロフィール

設立
1931年
本社所在地
岡山県岡山市
事業内容
金融業(銀行業)
従業員数
1,094人(うち女性483人)
企業認定・表彰等
くるみん認定、プラチナくるみん認定、均等・両立推進企業表彰

取組内容

仕事と育児の両立支援男性育児参画女性活躍推進女性管理職登用

特徴的な制度・取組など

  • 女性がキャリアアップできる環境づくりのため、法の義務化に先駆けて育児短時間勤務制度を導入。
  • 育児休業からの早期復帰及び経済的支援を目的として、子どもの1歳の誕生月の月初までに復職した場合に、翌月から子どもが3歳になる前月までの間育児支援給付金を支給。
  • 毎年5月に育児短時間勤務者研修を行い、仕事と育児の両立に不安を抱える社員をサポート。

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インタビュー

  • 人事部長
    坪田 泰久さん(左)

    人事部 調査役
    ダイバーシティ推進チーム
    リーダー
    万殿 純子さん(右)

取組のきっかけ・経緯
「女性委員会」の活動を通じて女性社員がキャリアアップできる職場環境を整備

 2006年11月にポジティブアクションの一環として“女性の幅広く活躍できる職場環境”“女性が働きやすい職場環境”を検討するため、「女性委員会」が発足しました。「女性委員会」では、本部、営業店から選出された立場や 年代もさまざまな女性13名をメンバーとし(毎年交代)、毎月の会合で議論を重ねた内容を取りまとめ、経営に上申を行ってきました。2014年からは、「女性委員会」を「女性活躍推進委員会」と改めて活動を続け、2015年には人事部内にダイバーシティ推進チームを設置し、取組を強化しました。
 女性委員会の活動により、法の義務化に先駆けて2008年に子どもが小学校就学前まで利用できる育児短時間勤務制度を導入しました。また、30歳以上の女性を対象とした乳がん・子宮がん検診費用補助(検診費用の2/3を会社が負担)を導入したほか、営業部門における女性活躍推進のための「女性推進委員」を設置しました。これらの取組が評価され、2011年6月にくるみん認定を取得し、同年9月には、均等・両立推進企業表彰 ファミリー・フレンドリー企業部門 岡山労働局長優良賞を受賞しました。さらに、2015年12月には全役員および部室店長が「イクボス」宣言を行いました。2016年には育児短時間勤務制度の拡充(6時間、7時間から選択可能)、育児支援給付金制度の導入等を行いました。これらの取組の結果、2017年に中国地方の金融機関として初のプラチナくるみん認定を取得しました。

具体的な制度の内容
上司からの直筆レターで育休から復帰した社員の不安を解消

 育児休業制度は、子どもが1歳の誕生月の末日まで取得可能です(一定の条件を満たした場合は最長2歳の誕生月の末日まで)。また、男性の育児参画を促進するため、人事部では、子どもが産まれた男性社員とその上司に、育児休業取得を推奨するメールを送信しています。この結果、男性の育児休業取得率は、2016年度は42.9%、2017年度は51.5%となって います。女性社員の育児休業取得率は100%を維持しています。 育児休業からの早期復帰及び経済的支援を目的として、子どもが1歳の誕生日を迎える前に復職した場合、その翌月から子どもが3歳になる月の前月までの間、保育料の一部を補助する育児支援給付金制度を導入しました。また、保育園事情により復職が妨げられることのないよう、16か所の企業主導型保育園と提携しています。
 育児休業からの復職に際して、不安を抱える社員をサポートするため、保育園を決める時期や復職前に電話によるカウンセリングを行っています。その状況を復職予定の職場にも共有することで、スムーズな職場復帰につなげています。また、当社では育児休業から復職した女性職員はほぼ全員、育児短時間勤務制度を利用していることから、毎年5月に短時間勤務者研修を行っています。働き方等に不安を抱えがちな短時間勤務者に対して、直属の上司から直筆のメッセージを渡してもらうほか、育児経験者の先輩女性の体験談を聞くことにより、今後の働き方の参考にしてもらうもので、毎年とても好評です。また、従業員組合が育児支援・職場復帰プログラム「トマト・はぐはぐ・プログラム」を主催し、育児休業中の社員同士のコミュニケーション機会の提供や職場復帰支援を行っています。 このほか、社員の仕事と生活の調和を推進する目的で、2014年にワークライフバランス休暇を導入しました。半年ごとに1日、年間2日の特別有給休暇で、取得率は毎年99%以上となっています。

制度導入による効果等
女性社員の平均勤続年数が飛躍的に伸長、女性の役席者登用も進む

 各種の取組により、女性の平均勤続年数は大きく伸びました。女性の平均勤続年数は、取組開始前の1995年度では5.8年でしたが、2017年度には13.3年まで伸びました(男性は17.6年)。 また、女性の役席者登用も進んでおり、女性管理職は9名(全体の6.08%)、支店長代理・係長は44名(全体の22.2%)、女性役席者(管理職・支店長代理・係長)比率は15.2%となっています(2018年11月末時点)。
 また、会社のホームページや求人広告等に「プラチナくるみん認定」を取得していることを掲載したところ、就職活動中の学生も高い関心を持ってくれるようになりましたし、育児中の女性からパートタイムの問い合わせや応募が一気に増加しました。当社では、パートタイム勤務もかなりフレキシブルな勤務が可能であるため、多くの方にご応募いただいています。

今後の課題・展望
ライフイベント前に早期のキャリアの土台作りに注力

 仕事と育児の両立支援に関する制度は整ってきており、利用率も高いことからも、ニーズには応えられていると考えています。一方で、育児休業や育児短時間勤務制度を長期間利用することで、 キャリア形成が阻害されてしまう可能性のあることが課題と感じています。特に、キャリア形成において重要な時期と、出産・育児の時期は重なっているため、ライフイベントが始まる前の、できるだけ早い段階で、キャリアの土台を作ることに注力しています。また、今後、より多くの女性が役席や管理職を目指すようになって欲しいと考えており、そのために環境を整えていく必要があると考えています。

制度利用者の声制度利用者の声画像

将来的なキャリアのため、多くの経験を重ねることが大切

大供支店 係長
中澤 真理子さん

仕事と育児の両立のため、自分のキャパシティーを引き上げたうえで配分を調整

 私は2001年に入社し、営業店や本部で勤務してきました。2008年に第1子が産まれ、1年間の育児休業を取得した後、育児短時間勤務制度を利用し、10時~16時の勤務で復職しました。その後、勤務時間を1時間延ばし、9時半~16時半で勤務しました。2011年には第2子が産まれ、1年間の育児休業を取得しました。 復職後は育児短時間勤務制度を利用していましたが、今年4月に第2子が小学校に入学し、フルタイム勤務となりました。今年10月に現在の大供支店に異動となり、係長に昇進しました。
 仕事と育児の両立のため、家事や育児は夫と50:50で分担しています。また、近隣に実家があり、朝夕には、父母にサポートしてもらうことも多くあります。
 子どもが産まれるまでは、仕事100%でしたが、子どもが産まれてからは、育児も仕事も100%で行うことはできません。このため、自分のキャパシティーを120%まで引き上げつつ、その時々の状況で、仕事と育児のウェイトを変えています。子どもが成長するにつれて、仕事のウェイトを少しずつ上げられるようになってきました。

自分から積極的に動き、感謝の気持ちを忘れない

 育児短時間勤務をしていた頃は、毎日の朝礼、終礼に参加できないことを心苦しく感じ、周囲との距離感を感じていました。しかし、自分にできることを着実に行い、常に周囲に感謝の気持ちを忘れずに働くうちに、 次第に、短時間勤務をしている私を上司も同僚もいろいろと助けてくださっていることに気付きました。以前は、子育ては自分と家族だけでしていると考えていましたが、今では、上司や同僚など会社の人たちにも支えていただいていることを実感しており、いつかは恩返ししたいと思って働いています。
 短時間勤務をしていると、銀行では窓口業務等、担当できる業務が偏ってしまいがちですが、将来のキャリアを考えた時には、できる限り、いろいろな業務を経験すべきだと感じています。また、今後男女ともに活躍していくためには、育児についても、女性だけでなく、男性ももっと関われるような環境づくりが大事であると考えています。

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